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9月議会にて「この声よ届け」と一般質問

本日は9月23日、秋分の日。

私は相変わらず朝イチに登庁後、業務に勤しんでおりますけども。

ここにワンクッション入れて、“この数日間”を振り返って参りますと。

昨日(22日)は、9月議会・一般質問の2日目だったのですが。

同日、私が大感激したのは、太田川沿いに幾つも設置されている…

多くの子ども達がスポーツに興じる「河川敷グランド」について。

豪雨に見舞われる度、河川の増水でグランド表面の土が流され、傷み。

当HPのトップ画面“市政リポート”にも掲載の通り…

「被災後の早急なる復旧」を、かねてより訴えては。

実際、行政も可能な限り速やかに対応して下さっていたところ。

なんと。

あの台風14号が日本列島を縦断したのが、今週の月曜日。

ながら、昨日には重機が入って、早くも復旧に着手されており。

無論、再びプレーが出来るまでには一定の期間を要する事になるにせよ。

「スポーツの秋」真っ盛りを前に、この迅速ぶり!誠に嬉しいですね。

(台風通過直後の「20日」と重機が入った「22日」の模様)

では。

更に1日ほど遡り、21日(火)は9月議会・一般質問の1日目。

私も「会派を代表して」とまでは申しませぬが、午前中に登壇し。

本会議場にて、思いの丈を訴えて参りました。

その後、15時に閉会を迎え、議会広報紙等の作業を終えて16時。

そう。掲げるは「一日一生」であり。

常に「この1日が終わるまで、まだまだ何か出来るのではないか?」

が、非常に暑苦しきかな、でも私のライフ・スタイルゆえ。

昨今「不足」を幾度となく報じられ、かつ「協力依頼」のメールを受信しながら。

一般質問の準備で、なかなか足を運べなかった「献血」へ急行。

今なお、コロナ禍も手伝い、血液(献血)不足は“常態化”しています。

ご協力の出来る人々は、何卒。

m(_ _)m

さて。世の中には。

「3連休を迎え、時間に余裕があります」との方々もいらっしゃるかと思われ。

宜しければ少々、長文にはなりますけども。

先述、私が一般質問で喋った原稿(全文)を記しますので是非とも一読を。

つきましては、先に「言い訳」を綴っておきますと。

「この件につき広島市は、どう思いますか?」「どう取り組んでいますか?」

めいた、漠然と申しましょうか“受動的な質問”を私は基本的に致しません。

しかし、その前段に行政側と数々の折衝、協議を重ねた結果。

(例えば「こうした広島モデルを創設すべきでは?」等々)

私サイドの提言が先鋭的ゆえ、現段階での着地点を見出すべく…

敢えて受動的な種の質問を行ない「先へ繋げておく」時もありまして。

(そこで「NG」の答弁を貰うと後々、盛り返すのが一層、大変となるので)

他にも、行政側からの答弁に対して…

「えっ?!この案件について『研究』なのですか?」

「もう一段、踏み込んでの『検討』なり『検討を深めて』はくれないのですか?」

うぅむ。

等々、綴りたい思いは山積しております。おりますけども。

私が一般質問をする「前」と「後」では、市に変化が生じているのも確かなので。

止まっている暇などなく、引き続き。前を見据えて。

そして、先日の夜でした。東広島市にて。

中学生姉妹が列車にはねられ死亡する事故が発生いたしました。

現場の状況などから、自殺の可能性が高いとみられています。

8月下旬にも同様の事故が起きており。

一般質問でも唱えましたが「社会」全体で防いで行かなければ。

「社会」全体で護(まも)って行かなければなりません。

では、原稿をご覧下さい。


これより「広島市の自殺(自死)対策」について伺うにあたり、まずは冒頭、私が昨年の予算特別委員会において、自殺(自死)対策について発言した際にも述べましたように、昨今は「自殺と自死」を併記するケースや「自死」との表現に統一する自治体もありますが、本日は公の統計データが用いる表現や定着状況なども踏まえ「自殺」との文言に統一して喋る事を何卒、ご了承ください。

それでは始めに、広域連携を推進する本市にあって、地元民の平穏無事“のみ”を希求する訳には参りませんので、厚労省が作成した資料に基づき「広島県」の状況を鑑みますと一昨年、2020年の自殺者数は県下で430人でしたが、昨年は492人と「62人」増加いたしました。

これは都道府県別で比較しても、増加者数は全国ワースト1位であり、自殺死亡率は青森県、岡山県に次いで3位に位置します。

補足までに昨年、全国での交通事故・死亡者数は「2636人」で自殺者数は「2万1007人」。

いずれも尊い命が失われ、死因云々ではありませんけども、一方が「交通戦争」とまで表現されながら、自殺者数はその8倍に及んでおり、またフランスなどは未遂者を「実数の20倍」と推計しています。

ならばと、本市としては時々の社会情勢も勘案しながら、如何なる対策を講じ、平安なる市民社会を築いて行くのか?

かけがえのない命を支え合い、生きる喜びを分かち合えるまち「ひろしま」
〜ささえあい、みとめあい、ゆるしあえる社会を目指して〜

こちらは本年3月に策定された、第3次「広島市うつ病・自殺(自死)対策推進計画」の基本理念ですが、そもそもこの第3次計画は、2008年に策定の第1次、続いて2017年に策定された第2次の成果と課題を反映させ、更には2020年11月に実施された「市民アンケートの調査結果」も踏まえた上で、期間を5ヵ年とし、国の自殺総合対策大綱などにも即した形で策定されました。

計画の全体は、先に述べました基本理念の下、「3つの基本方針」から構成され、1つ目の基本方針は「自殺(自死)ハイリスク者への対策の充実」を図ろう」とするモノで、ここへ付随しては「SOSの出し方に関する教育の充実」や「インターネットを活用した相談支援体制の構築」など、幾つかの重点施策が掲げられています。

まずもって自殺を企図、考えては図ろうとする人々へは、気持ちを吐き出させる場所が欠かせず、相談する相手や窓口、カウンセリングを受けられる体制に社会での居場所づくりの拡充などが急務となる今般。

あらゆるツールを用いて、相談体制の強化を図る事は有用であり、本年度の当初予算審議の場でも、行政より拡充内容として「若年層の自殺者数が増加傾向にある事から、相談体制の更なる充実を図る為、休日を含め、専門家へのメール相談等が可能な相談窓口を設置する」旨、報告がなされました。

コチラの施策は、居場所や平日に休日を問わず、ネットを通じて「専門家への相談が可能」となるなど、相談支援のプラットフォームが拡充される非常に有益なアプローチ法かと思われ、現在は「本年7月から12月までのモデル事業」として取り組まれている最中にあります。

私としては、小中高生の自殺者が一昨年、過去最多を記録した後、昨年も同様、そして本年も速報値ながら高止まりの状況下、一義的には「モデル事業で如何なる効果が生まれているのか?」また副次的には、近年のコロナ禍を除き元々、国内で自殺者が最も多いのは3月であり、この短期間のサンプルによって「如何なる成果が見出せるのか?」おぼつかない感情も抱いており、ここに伺います。

本年3月に策定された、第3次の「広島市うつ病・自殺(自死)対策推進計画」の重点施策として「インターネットを活用した相談支援体制の構築」が設けられ、本年度からモデル事業に取り組まれていますが、現段階での状況、並びに今後も含めた展望をお聞かせ下さい。

次に「SOSの出し方に関する教育の充実」に関しまして現在、公立の小中学校ではスクールカウンセラーと教員がタッグを組み、児童生徒が命や暮らしの危機に面した際に「辛い時や苦しい時は、助けを求めても良い」。またその際は「誰に、どうやって助けを求めれば良いのか?」。具体で実践的な方法を学ぶ教育を実施しており、今なお全校実施へ向け、計画的に拡大が図られています。

成人と比較しても、物事への対処法の選択肢がまだまだ少ない児童生徒へ対しての「実践的な教育」には私も賛意を示すところですが、学んだモノを活かすには物理的な面でもより一層、児童生徒が「SOSの出し易い」環境整備が必須となって参ります。

改めて自殺に至るには、背景に様々な原因や動機が存在し、本市の場合、2020年のデータによりますと、最も多かった原因・動機は、うつ病をはじめとした「健康問題」。

続いてコロナ禍の世相を反映して「家庭問題」。次に「経済・生活問題」へと続くのですが、中には遺書も残されていなければ、その兆候も把握できず、自殺に至る原因・動機が「不詳」でハッキリ掴めていないケースも一定数、存在いたします。

本市における直近3年間のデータによると、「19歳以下」の自殺者のウチ、原因や動機が不肖のケースは「45.5%」に上り、これは他の年齢層と比較しても突出しているのですが、未来ある若者が自ら死を選ばざるを得なくなり、しかもその原因・動機が分からないなど、こんなにも悲しい社会を看過して良いのでしょうか。

そこで学校現場に目を向けますと、GIGAスクール構想により小中学生全員にタブレット端末が行き渡る昨今、全国各地ではこのタブレット機能を使い、児童生徒の心身のコンディションや悩み、いじめなどを早期に発見しては対応すべく、様々な取組が行われています。

例えば、静岡県の掛川市の場合、まずタブレットのホーム画面に「こころの相談ノート」というアイコンを設置し、ひとたびタッチすると「勉強」「おうち」「いじめ」「からだ」「そのほか」と5つの相談窓口が表示され、そこで記名、無記名を選んだ後、続いて相談したい相手を選択するのですが、担任の教諭が良いのか?それとも担任以外を望むのか?

鎌倉市の場合も同様で、スクールカウンセラーや市の相談員にまで選択が可能であり、その後、教育委員会の担当者が、児童生徒と相談先の人物を繋げます。

また岐阜市の小中学校では、朝の会と帰りの会の1日2回、タブレット機能を使い、児童生徒が自身の体調の変化や先生への相談要望を伝える環境整備を進めており、他方、三島市などは家庭の通信環境に関わらず「インターネット接続が可能となるシステム」を導入し、児童生徒がタブレットを自宅に持ち帰った後も相談窓口に繋がるよう努めていらっしゃいます。

私は何も「世界で最も多忙を極める」と称される国内の教員の方々や学校現場へ“新たなる取り組み”を次々と負わせたくありませんし、一方、東京の町田市では、タブレット端末に悪口が書き込まれ、小学6年生の児童が自殺に追い込まれたように、学習端末の使い方も改めて今、問われています。

しかし、いつの時代も思春期を迎える児童生徒たちは、苛まれる孤独感に閉塞感と非常に繊細な心を持ち合わせ、しかもコロナ禍の数年間は、対話や数々の学校行事を奪われ、かの著名な解剖学者、養老孟子氏も口にされていました。

「若い世代の自殺が多いのは、幸せな瞬間が未来に回されるばかりで、今を体感できないからだ」と。

私は現在「コロナ禍で家庭や学校の支援機能が低下傾向にある現状」を大変危惧しており、また文科省の有識者会議からも「子どもの精神状況の変化を察知する仕組み作りの必要性がある」との声が上がっています。

他の自治体では、先にも触れましたように様々な工夫がなされている事から、本市に於いても「児童生徒から発せられるサインを、タブレット等を通じて教員が把握し得る」環境整備を早急に進めて頂きたいと切に願うところであり、そこで伺います。

現状、児童生徒の発せられるサインをどのように教員が把握しようとしているのか?また「タブレット等を教育相談に役立てる」事について、今後の展望も含め、本市のご所見をお聞かせ下さい。

次に自殺対策に繋がる教育環境につき少々、飛躍させますと、国立成育医療研究センターが昨年末に実施したウェブ調査では、小学4年生から6年生の1割、中高生の約2割に「中等度以上の鬱症状があった」とされ衝撃が走ったのですが、私共は、こうした発症に繋がる生活環境の危険因子を一つ一つ取り除いて行かなければなりません。

ついては、児童生徒の抱える問題の一つに2018年あたり全国的にも高頻度に取り上げられ、本市に於いても本会議や文教委員会で議論を呼んだ「重い通学カバン」がありました。

端的に振り返れば、学習指導要領の改訂などにより教科書のボリュームが「約2倍」近くに増加し、持ち運ぶ子ども達の心身に負担が掛かっては、通学が憂鬱に感じる児童も増えた事で当時、文科省が「家庭学習で使わない教科書や用具を学校に置いて帰る」いわゆる“置き勉”を認め、この辺りを工夫、配慮するよう全国の教育委員会にも通達がなされました。

これ以上の詳述は割愛しますけども、近年でも「通学カバンの重み」で心身に不調を来たすランドセル症候群の子どもが「3人に1人」に及ぶと言われ、米国の医学論文にも「成長期の子どもに重い荷を背負わせると、成長の阻害や精神面でも悪影響を及ぼす」データが明示されています。

本市も児童生徒の負担軽減へ向けては、既に着手しておりますが、コロナ禍もあれば温暖化も進む近年、携帯する大きな水筒に雨具、タブレット端末と「児童生徒のカバンは一向に軽くならない」こうした声は、未だ私共の耳へ頻繁に届いて参ります。

そこで伺いますが、本市は重い通学カバンについて「各学校の現状」を如何に捉えていらっしゃるのでしょうか?

加えて、時々の多様なる状況変化によって「毎日が軽いカバン」には成り難いでしょうが、あの本市、各校への9月の通知から丁度4年が経過したところ、改めてどのような対応が考えられるのか?本市のご見解をお聞かせ下さい。

続いては3つの基本方針から成る「第3次計画」のウチ、2つ目の基本方針に目を向けて参りますが、ここでは「共助の精神に基づく自殺(自死)対策の取組等への支援」が打ち出されており、ここへ付随した重点施策は次の4つ。

まずは「心の不調を抱える人を支援する人材の育成」。次に「生活困窮者等を支援する団体への支援強化」。続いて「孤立・孤独化しやすい人々の居場所づくり」。そして「地域の実情に応じた高齢者の見守り」となります。

再度、用いますが、自殺には原因や動機が存在し、そこには「健康面」と貧困など「経済面」の問題が常に上位を占めるのですが、私が現在、極々近未来を見据えた上で「自殺増加に繋がらなければ」と懸念する社会背景に、新たな局面に伴う「経済的な生活困窮」が挙げられます。

顕在化し、今まさに人々の暮らしが直面している“物価高騰”は言うに及ばず、これまでコロナ禍による数々の自粛・制限下、家計、商売、企業経営の継続のため資金繰りを重ね、まさしく自転車操業で急場を凌ぎ、懸命に踏ん張って来られた人々は今後、猶予されていた「借入金の償還」。また「利子の返済」などに迫られる、次なるフェーズを迎えます。

まずは個人や家族単位の“家計”事情に追ってみますと、新型コロナの影響で収入が減った人々に全国の社会福祉協議会が無利子、保証人不要でお金を貸し出す「特例貸付制度」が挙げられ、一定の条件を満たせば、緊急小口資金と総合支援資金の2種類を併せ最大80万円。

以前は再貸付などもあり、最大200万円まで借りられましたが、これまでも全国で累計330万件以上、1兆4000億円に上る貸付が行われており、最も早い人で来年「2023年1月」から一月、最大で約18,000円、最長10年間の返済が始まります。

更に特例貸付を利用した人々の中には、別にローンを組むなど多重債務を抱えているケースも多く、今後、困窮から抜け出せず「自己破産が相次ぐ」懸念もあり、仮に生活保護を受給できたにせよ、光熱費や食糧価格の上昇で生活保護世帯の支出増加も現在、非常に深刻化している状況です。

一方、企業へ目を向けますと、例えば実質無利子・無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資や協力金により、これまで倒産件数は歴史的な低水準に抑えられていましたが、帝国データバンクによると、先の7月の倒産件数は2020年3月のコロナ禍に突入以来、初めて3カ月連続で前年同月を上回り、コロナ関連倒産も、先の5月から8月の間で「約700件」と、前年比22%の増加。

つまりは延命措置を図りながらも、コロナの長期化で業績不振は拭えず、逼迫したタイミングに「コロナ関連融資の返済」を迎えるなど、過剰債務での“息切れ倒産”が既に生じ始めており、そこへ追い打ちを掛けるように、ゼロゼロ融資で免除されていた「利子分の支払い」が2023年の3月から始まります。

他方、日銀の発表する「企業物価指数」では、物価高騰分の「価格転嫁が難しい」業種、企業の窮状も見て取れるなど、今後の社会情勢、如何では自己破産や企業の倒産・廃業が向こう半年、1年の間に、雪崩現象のように発生する可能性も十分に孕む現在地。

この辺りを裏付けるかの如く、先月中旬の新聞報道では、東京大学などの研究チームによる試算結果、「新型コロナの影響により 自殺8000人増」。「20代女性最多、経済的困窮」との見出しが並びました。

このパートではここまで、命題ではなく伏線として極力「客観的事実ばかり」を羅列しましたが、これより「伏線の回収」として、自らの主観も挟んで参ります。

例えば、欧州では「鬱などの病気や景気による失業と自殺率」が日本ほど相関性を持っておらず、「新型コロナの影響に起因して、若年層の自殺が急増した」。この様な連動性も諸外国では殆ど見られません。

つまりは本市にせよ、諸外国が事実、具現化しているように、景気動向やパンデミック如何でも人々が「自殺に追い込まれ難い都市」が必ずや築けるのです。

そこへの答えが先の施策、心の不調を抱える人へ寄り添い、また困窮者を支援する団体への支援や孤立・孤独化する人々の居場所づくりに高齢者の見守りなど、互いに助け合う「共助の結集」とも言えるのではないでしょうか。

しかし、8つの区域から構成される本市を細分化いたしますと、歴史ある団地で高齢化率の高いエリアもあれば、マンションが林立し転勤族も多く、町内会加入率の低いエリアもあるなど地域性が見られるところ、住まう場所によって住民に「共助の地域間格差」が生じぬよう、これより伺います。

第3次の自殺対策計画、その基本方針には「共助の精神に基づく自殺(自死)の取組等への支援」を掲げられていますが、本市としては地域の現状をどのように受け止め、地域へ働き掛けては、目標の実現に努めるのか?ご所見をお聞かせ下さい。

続いて、第3次計画「基本方針」の3つ目には「関連機関のネットワーク強化」が掲げられており、ここへは「相談機関の効果的な周知」や「相談機関間の連携強化」などの重点施策が設けられているのですが、「重点的」の裏を返せば「これまでの諸課題であった」とも言い換えられます。

そこでまずは、現状を再認識すべく、つい先日の報道にもありました「児童虐待」に着目して参りますが昨年度、全国の児童虐待の相談件数は、速報値で約20万8000件。

これは統計開始以来31年連続で「最多」を更新しており、一方「児相への相談連絡」の内訳を見ると、警察からが約10万3000件であったのに対し、児童本人からは2500件あまりと全体の「1.2%」に過ぎません。

実状として「家庭事情を周囲に知られたくない」など、問題を抱える児童の全てが必ずや何処かへコンタクトする訳ではないのですが一方、近年ではLINEやチャットなどデジタルツールを使用した「若者世代に寄り添う」相談窓口も確立され、着実に「利用者も増加する」傾向にはあります。

重ねて、本市のアンケート結果にもあるように、老若男女を問わず、直接会っての「対面」での相談や「電話」相談を希望する人々は依然、かなりの割合を占めており、多様な相談チャンネルの“相互補完”を推進しなければなりません。

ついては今後、本市は「自殺対策の相談窓口として、その認知度を重点的に高めて行きたい」と計画に盛り込む機関に「広島いのちの電話」や「ひろしまチャイルドライン」「くらしサポートセンター」などを挙げられているのですが、ならば繋がる先の相談機関は現在、如何なる状況にあるのでしょうか?

適例として、上位の認知度があり利用者も多い「広島いのちの電話」の実情に迫ってみれば、1988年の開局から今日まで30年以上に亘り、365日24時間体制で「眠らぬダイヤル」を維持されており、現在も無償ボランティアの相談員、約100人がシフトを組み、電話対応に当たられています。

また相談員の方々は、窓口で受話器を握られる前段に平均で「月に2回」、1年間に亘る講義と実習を重ね“対人ノウハウ”を習得されており、中には高速道路や公共交通機関を利用して何十分も要する自宅から、交通費も自己負担の上で現場に従事されており、その社会へ対しての献身的な姿には、敬服の念を禁じ得ません。

しかし、相談員の方々も開局当時より人数は「半減」し、平均年齢も70歳あたりと近年、高齢化が進み、勿論、後進を育てるべく毎年、募集を掛けては若い世代の相談員も誕生しているのですが、ここ数年はコロナ禍で室内研修を行うにも苦慮するなど、団体が抱える大きな問題の1つに、絶対的な「マンパワー不足」が挙げられます。

一例ですが、広島いのちの電話には、昨年1年間で約17万3000件の着信がありましたが、受話器を取れたのは約8000件と全体の「4.7%」に留まり、そこにはコロナ禍で密を避ける為、シフトの人員を削減するなど苦しい胸の内が存在するところ、こうした問題解決へ向けては、取っ掛かりとなる「相談員の募集」その“広報”一つを取っても、行政や周辺社会が一層の協力を果たせるのではないでしょうか。

そして現場が抱えるもう1つの大きな問題が、運営して行く上で、表現は誠に申し訳なくも“綱渡りの状態”が恒常化している「財政面」となります。

運営資金に際し、市からの補助金に県市からの委託料と行政もバックアップはされているのですが、事実、運営の大半は浄財、寄付金で賄われており、しかし社会情勢などその年々で額にも増減が生じる事から、運営側の限られた人員も、更なる各方面からのご寄付を募るため、多くの時間と労力を“そこへ割かざるを得ない”のも実状で、こうした苦境は何もいのちの電話に限った境遇ではありません。

捕捉までに、私は勢いに任せ、いち団体の内部事情を詳らかにしているのではなく、社会福祉法に定められた“情報公開”で把握し得る部分や広報紙に“掲載”の内容を口にしている事をご承知おき下さい。

この他にも、各社会福祉法人や民間団体は、限られたリソースで懸命に人々の命を繋ぎ止めて下さっており、本市としても「相談機関の効果的な周知」や「相談機関間の連携強化」を図りながらも今一度、「各相談機関が置かれている現状の把握」に努めて頂いては引き続き、多方面にわたりでき得る限りのサポートして頂く事を、ここに要望しておきます。

ここまで縷々述べて参りましたが、本市でも、うつ病・自殺(自死)対策を本庁内で総合的に推進させるため「庁内関係者会議」が設置されているように今一度、多面的なアプローチから自殺を未然に防ぐべく、これより1人の人物を紹介させて頂きます。

「冨江洋二郎さん」、1979年、広島市出身。名門「広商・野球部」で活躍された後、上京し、そこで接客業などのビジネスに魅せられては関東圏で修行を積み、その後、地元に戻りバーを出店されます。

バーテンダーを務めながらカウンター越し、事ある毎にお客様から原爆や平和について訪ねられ、そこで明確な返答の出来ぬ自らの不勉強を悔いては、平和記念資料館や図書館へ通い始めるなど、改めて「広島」を学び直すのでした。

このような機会も手伝い、被爆者の方々の実体験を見聞きするたび、生き抜かれる姿に感銘を、また復興への尽力に感謝の念を覚え、次第に「一人でも多くの人々に被爆者の話を聴いて欲しい」との感情が芽生えては、2006年より毎月6日、被爆者の方々を自らのバーにお招きしてお客様を前に語って頂く「証言者の会」を催し始めます。

そこで、体験談を伺えば伺うほどに知への探求は深まり、2008年からは仕事の合間を縫って平和公園でボランティアガイドも開始するなど、被爆の実相を世に継承する活動を地道に続けられるのですが、2017年の1月に肺がんが見つかります。ステージ4でした。そして半年後に永眠。

私も野球の硬式ボールを手に、病床の彼を見舞いましたが、あまりにも若い死に残念でなりませんでした。

ただ洋次郎さんは、闘病中に執筆活動を続けては、著書「カウンターの向こうの8月6日」の出版に漕ぎ着け、この第三章に「自殺大国日本で生きるメッセージ」とあります。

飽食の時代にも拘わらず、全国では自殺で何万人もが命を落とし、カウンターで楽しく飲んでいたお客様の中にも後日、自ら命を絶った人が幾人もいらっしゃり、「もしあの時、サインに気づき何か言葉を掛けていれば」と洋次郎さんは自らの無力感を咎めるのでした。

そこで、若輩なる自らより、今日まで生き抜いて来られた被爆者の方々の言葉の方が、遥かに重みがあり、人々の「励ましにもなるはず」と思い立ち、それからは「少し元気がないな」と感じたお客様には、さりげなく「毎月6日の証言者の会」へ誘い始めたそうです。

当時18歳で被爆した女性は体に大きな火傷を負い、「もう幸せな結婚はできない」と人生に絶望し、列車に投身自殺を図ろうとしたところ、後から追って来た父親に寸前で助けられ、「お前の姉達は『死にたくない』と言い残し、死んで行ったんだ」「頼むから生きてくれ」と告げられました。

洋次郎さんは、このお父様の言葉を「今こそ伝えたい」「命を絶とうとする人たちの救いになって欲しい」と熱望され、証言者の会では、生きる過酷さに圧し潰されそうになりながら「懸命に真っすぐ生きて来た人々」の話が聴ける。

これこそが「この会を継続する大切な意義の一つなんだ」「回を追う毎に実感できた」と綴られています。

人々が孤立している時、また落ち込んでいる時など、兎にも角にも元気づけ、希望を持たせようとする「過度なアウトリーチ」は返って「相手方が自らを否定する」感情にも繋がりますが、洋次郎さんは百数十回にも亘り「証言者の会」を開いては、先達の生き様、その人生を通じて命の尊さを伝え続け、そして旅立たれる前に次の言葉を残されました。

「今ある身近な幸せに気付こう」と。

そんな洋次郎さんの想いを、改めて広島市に生かし、後世にも繋げたく、ここに伺います。

「自殺」は個人や各家庭の問題ではなく「社会」の問題であり改めて、かけがえのないお一人おひとりの命、その尊さを学び、支え合える本市を築いて行くべきかと存じますが、自殺対策にかける本市の思いをお聞かせ下さい。

結びに「亡くなられた人は、残された人々の記憶から忘れ去られると二度目の死を遂げる」とも言われますが、本市は洋次郎さんが亡くなられた後、そのご功績に敬意を表し、感謝を込めて「広島市民賞」を贈って下さいました。

不肖、私なんぞ友人代表ではありませんけども、本市の計らいに対し、ここに今一度、お礼を申し上げ、重ねて現世へ確かに刻まれた洋次郎さんの歩みを引き続き、未来へ繋げて行かなければなりません。

自殺に関しましても昨今では、周囲の人々まで巻き込む「拡大自殺」と表現される、傷ましいニュースも後を絶ちませんが、あくまで目標は「前年度比」云々ではなく「ゼロ」です。

今後とも何かと条件の整った「いついつから」ではなく本日、この後の答弁からお力添えを頂けますよう、衷心よりお願いを申し上げ、私の一般質問を以上と致します。

投稿日 : 2022年9月23日
9月議会にて「この声よ届け」と一般質問

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