4週間にわたり、NYの国連本部で開かれていた…
NPT(核拡散防止条約)再検討会議が閉幕いたしました。
既に周知の方々も多いかと存じますが。
「最終文章」(いわゆる“今後”取り組むテーマ・目標・その内容)の採択は?
191の国や地域が加盟するNPTにあって「全会一致」が原則であり。
(全ての国や地域が「意義なし」と賛同してはじめて採択、正式採用に至る)
最終日の26日、間もなく最後の全体会議を迎えんとしていた数時間前に…
ロシアが幾つかの最終文章(案)に対して、意義を唱え「反対」を主張。
その後、議長が1、2、3、4時間以上も費やして調整に走りましたが及ばず。
先述の通り、全ての賛意を得ての「採択」ですから、結果は「不採択」。
前回、2015年の再検討会議に続いて“2回連続”の不採択は史上初です。
この、いわゆる「世界が導き出した」現時点での結論(結果)に際し。
コロナ禍で延期に延期を重ねての”今回”だっただけに、関係者の落胆は大きく。
(関係者とは「出席者」の意で勿論、落胆は「人類」規模の話となれ)
しかしながら一方、今回の会議”開会前”からロシアのウクライナ侵攻など。
「戦時下でのNPT開催」と申しましょうか。
ロシアに、そこへ付かず離れず(の姿勢を取らざるを得ない)国々も含め。
最終文章の採択には、当初より諦念(ていねん:諦めの気持ち)や悲観論も…
色濃く渦巻いていた故、その着地点を多くの関係者が予想していた事も確か。
さて。
そんな「結論が分かりきっているなら何故?」との素朴な疑問も湧きますが。
だからこそ、最終文章の「案」を作成するまでのプロセス段階では?
「折衷案」にあらず、「妥協案」へのシフト、その連続でした。
「核の先制不使用を盛り込もう」。核保有国が懸念を示すので却下。
「核不所持の国へ対して核攻撃をしない約束を」。これも物議を呼ぶので却下。
具体的な軍縮の道のりを、その内容を。却下、却下、不記載、不記載の連続で。
結局、最終文章の案は「骨抜き」の状態で最終日を迎え。
「これなら返って、採択されない方が今後に繋がるのでは?」そんな声も。
ついては、自らの所感を述べたらば。
まず、この度の4週間は決して無意味ではございません。
「ご承知の様に」との表現は、あまり好まないのですが、皆様ご承知の様に。
(よく役人が慇懃無礼に使用「貴方もご承知の様に」それ位、知ってるでしょ?と)
先だって行われた「核兵器禁止条約の締約国会議」の場合…
「核廃絶」に賛同した国や地域しか会議に参加しませんので。
(核の傘の下にあるNATOに加盟しながらもオブザーバー参加した例外はあれ)
翻り、NPTの再検討会議の場合は、多くの関係者が集い、協議をする。
「この時間」が、築かれた「新たな関係性」が無駄な訳はなく。
他方、「ロシアが、ロシアが、ロシアが悪い」と憤りを吐露する為政者も多く。
私なんぞも、ロシアを擁護するつもりなど、毛頭なくとも。
国境を問わず、人類全体の危機感を持ち…
「このNPTで、この閉塞感を絶対に打破する!」との本気度の伴わない。
裏を返せば「今、核兵器を無くす必要がない」と胸中に抱く相応の数の国々が。
”あれだけ”出席する会議で、何が、どれだけ動くのか。
こうした状況が何十年間も続いていたので。(結局は半世紀以上も続く)
20年以上も前から「核兵器禁止条約」の構想が始まっていた訳であり。
とどのつまり。
世界各国が安全保障を勘案した結果の「今じゃない」結論なのでしょうけども。
ならば「いつ?」って話。
いずれにせよ、この度のNPTの結果で厭世観に包まれている場合ではなく。
(えんせいかん:物事を悪い方向ばかりに考える)
四半世紀にもわたる被爆者の方々のご労苦に比べれば。「前へ」です。
“戦略”核使用の「ハードルが上がる」以前に、選択肢としても消え得る近年は。
”戦術”核を通常兵器でも抑止し得る近年とも言い換えられ。
まだまだ、人類で「見出せる」はず。
A.S.A.P.
As Soon As Possible.
出来る限り早く。
投稿日 : 2022年8月28日
『NPT』