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石橋りゅうじ 議会棟控室

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2022年 6月議会 一般質問

まずは、現在の不安定な世界情勢も踏まえながら、本市における「多文化共生のまちづくり」について伺います。

常に、幾つもの火種はくすぶっていたところ、人間の業とは、かくも罪深く、やはり歴史は繰り返されてしまうのでしょうか。

あのロシアによる衝撃的なウクライナ侵攻から3カ月半が経過し、この間に欧州では、長年に亘り東西の均衡を保つ“緩衝帯”の役割を担って来たフィンランドやスェーデンが正式に「NATOへの加盟」に動き、一方、一枚岩とされたロシア主導の軍事同盟「CSTO」集団安全保障条約機構でも、国家間での不和が垣間見られるなど、昨今、世界秩序に劇的な変化が生まれています。

重ねて、エネルギー資源や穀物の輸出入も滞り、広範に波及した物価高は世界経済を揺るがすなど、今般、一連の報道内容は、その多くが軍事侵攻により生じる「余波の部分」で占められていますが、決して耳慣れてはならないのは、事の発端から現在までもウクライナに於いて「無辜なる人々の尊い命が奪われ続けている」事実であり、此処に改めて、衷心より哀悼の意を表すると共に、一刻も早く停戦へ導かれる事を願うばかりです。

現地に話を戻し、国連難民高等弁務官事務所によりますと、今月1日時点で、母国ウクライナを脱して、欧州の周辺国へ退避された難民は「417万人」と発表され、現在は戦況により、かなりの人々が母国へ戻り始めている状況ですが、それでも難民が最も多く国境をまたいだ隣国ポーランドでは、年末を迎えても“長期避難”せざるを得ない人々が「約260万人は留まるであろう」と予想されています。

つまりは、不穏当な表現になりますけども、日本の85%ほどの国土に約3800万人が暮らすポーランドへ「広島県民が丸々、移り住んでいる」様な状況にあり、今後は教育や衣食住などの難民支援に、概算で「950億円」相当の費用が必要とされ、しかしポーランドは国境を閉ざす事なく、また周辺各国にせよ、同様に多くの難民を受け入るなど、現在も国籍を問わぬ人道支援が続いています。

ならばと続いては、早期段階の3月上旬より特例的に「ウクライナからの避難民受入」を表明し、対応を進める我らが日本国に目を向けてみると致します。

本邦でも一様に「避難民」との表現が用いられる通り、国連の「難民条約」では人種や宗教、政治的な思想、活動などを理由に迫害を受ける恐れが生じ、母国から逃れて来た人を「難民」と定義しており、この度の様な「国家間の戦争で退避する人々」は条約にも記述の無い事から、これまで世界では「難民の定義に当たらない」とされていました。

しかし近年、国際社会では人道的な観点からも、こうした人々を難民として認定する風潮にあるところ、日本の場合は一線を画しており、例えば先の「迫害を受ける恐れ」についても、厳格に“個別把握論”を採用し、つまりはOne of them.「迫害を受ける大勢の中の一人」では容易に難民認定される事はなく、Only one.「その人物であったからこそ、個別に迫害の恐れが生じ得る」。

ここまでを証明して、ようやく「審査の入口に立った」に過ぎず、この辺りは地政学的にも他国と同列に比較する事は難しいにせよ、難民を積極的に受け入れて来た2020年のドイツでは、難民の認定率が41.7%、認定数は約64,000人に上り、また建国以来、柔軟な対応を続ける移民大国、カナダの場合。

難民認定率は55.2%、認定数は約2万人に及ぶのですが、同年における日本の場合は、認定率が0.5%で、認定数は47人です。

その後、ミャンマーでのクーデター発生などを受けて、昨年の日本は“過去最多”の難民を認定しましたが、それでも申請「約2400人中の74人」であり、参考までに過去40年間を振り返っても、トータルの認定数が915人ですので、この3カ月強で国内へ、ウクライナからの避難民1200人以上を受け入れている今回が「如何に超法規的措置であるか」が分かります。

此処に、誤解の生じぬよう付言をしておきますと、私は「難民鎖国」とも揶揄されて参りました日本の難民対策をあげつらい、糾弾しているのではありません。

この度のウクライナにせよ、難民認定との括りにすると遵法に則り、日本への「永住」も前提になって参りますので、入国審査にも応分の時間を要してしまう。

そこを政府は、特例措置として迅速に受入れ体制を整え、受け入れ後も、3カ月の短期ビザから就労可能で1年間の在留資格が得られる“特定活動へ切替え”の際、原則必要となる「いったんの出国」まで免除し、且つ、まとまった一時金や生活費に至るまで、非常に手厚い生活支援を打ち出されています。

更には法務相も、戦争・紛争から逃れて来た人々を「難民に準じた補完的保護対象者」として認定できるような、時代にそぐう法制度に整える事を急務と捉え、この秋の臨時国会では「出入国管理法の改正案を再提出する」方向にあり、人道的にも更に国際社会へ寄与すべく、国は舵を切り始めました。

さて。国際社会への貢献となれば、何も国単位に留まらず「各自治体でも果たせる」事は言うまでもありません。

国内の「ウクライナに関する支援体制」に目を向けてみますと、お隣の岡山市では、生活全般からコミュニケーションに至るまで、各種をまとめた「支援パッケージ」を組まれては、早くから本庁舎の1階にウクライナ関連の「避難民相談窓口」を設置され、他方、全国でも「ふるさと納税を活用」しては支援に乗り出す自治体が幾つも現れるなど、現在も多様なる支援手段が各方面で闊達に用いられています。

また私は「本市による支援」の動向も気になり、過去に担当課とも意見交換を行ったのですが、そこは「一日の長」と申しましょうか国際平和文化都市だけあって、大々的に謳わず、派手さは伴わずとも、確実に日々動きを見せる状況に対応して下さっており、今なお、あらゆるチャンネルとリソースを駆使し、取り組んでいる状況にあります。

縷々述べて参りましたけども、此処までは、あくまで「現状の確認」を重ねていたに過ぎず、これより本論へと移らせて頂きます。

今回、私は何もウクライナの一件だけを捉え難民政策、人道支援について言明しているのではなく、ウクライナを上回る難民の人々が助けを求めるシリア、そこへ迫る規模のコンゴ民主共和国を持ち出すまでもなく、国連難民高等弁務官事務所の発表によりますと、紛争や迫害で各国の内外へ生まれている難民や避難民などの総人数が先月末、世界で初めて「1億人」を突破しています。

加えて、一定のスパンで将来を見据えて参りますと、「向こう数年の内に」とも危惧される台湾有事に、依然くすぶり続ける朝鮮半島有事など、いざ発生した際は「日本列島へ一気に避難民が押し寄せる」事も想定され、ともすれば近い将来に遠い未来、温暖化による海面上昇や大規模な干ばつにより、母国を離れ日本を目指す避難民にせよ、相応の人数に上る可能性は否定できません。

しかも私共は“歴史観から”なのか、つい「受け入れる側」に立ってしまいますが、有事によっては「受け入れられる側」に回るケースも想定され、いずれにせよ本市が標榜するのは“国際平和文化都市”であり、最上位にある第6次の基本計画に於いても、第4節には「国際交流・国際協力や多文化共生の推進」を定めています。

今一度、先程より持ち寄る難民条約では「出身国による差別が禁じられている」事を忘れてはならず、国は国で取り組める事に邁進して頂きながら、そこへ連動し、本市も国際平和文化都市として一層の「多文化共生の道」を確立するに当たり、此処に伺います。

2006年に策定、2014年に改訂された「広島市多文化共生のまちづくり推進指針」における、その共生を目指した着眼点や目標、総合的に挑む取組の内容は、本市が抱える数多の事務事業の中でも非常に特異で、また近年、需要も増している事から、アップデイトを図り、更に取組を拡充すべきと望むものですが、本市の御所見をお聞かせ下さい。

重ねて、多様なる国のバックボーンを持つ市民のご参集を願い、市政の抱える諸課題を実体験から洗い出すなど「年に2回」意見交換を行っては、より良いまちづくりへ向けて取り組まれている「広島市多文化共生市民会議」について、私は非常に有益なる会議と捉えており、また参加委員からも提言のありました様に、その「開催頻度を増やすべき」かと存じますが、本市の御所見をお聞かせ下さい。

では続いて「外国人技能実習制度」について伺って参ります。

この3月、日本の在留資格となる「特定技能」を取得している人々の入国規制が、ようやく緩和され、コロナ禍で滞っていた外国人労働者の受け入れが再開しては、各業界からも安堵の声が上がり始めていますが、裏を返しますと私共は、パンデミックにより強いられた入国規制によって「近年、我が国の様々な産業が、如何に外国人労働者の方々により支えられていたのか?」を改めて実感させられる事となりました。

しかも今後は、事態が深刻化する可能性を、より一層、孕んで参ります。

先般「JICA」国際協力機構などの発表によりますと、今後、政府の目指す経済成長を2040年に達成する為に「必要とされる外国人労働者」を推計したところ、現在の4倍近くに迫る674万人が必要とされ、同時に「40万人以上の労働力不足が発生する」との試算も報告されました。

ご承知の様に、日本へ就労で訪れる外国人、その多くはアジア系の方々で占められていますが、多様なる専門分野の業種も含め、既に労働者の争奪戦が世界規模で激化しており、現行“円安の長期化”にしても母国への送金となれば、現地のレート換算で「相応の額」が目減りしますので、日本選択へ二の足を踏むマイナス要因にも成り得ます。

また送り出す側のアジア諸国も近年、着実に経済発展を遂げており、大仰な表現ではなく「如何に働きにお越し頂けるのか」は、日本が社会制度を維持して行く上でも“喫緊の課題”となりて、既に久しい月日が流れています。

無論、政府も手をこまねいている訳ではなく、2018年12月に入管難民法が改訂され、在留資格に「特定技能」1号・2号を創設しては、2号の場合、在留に制限は無く、家族の帯同も認められるなど、一昔前の入管法と比較すれば「隔世の感」を覚えますが、それだけ立ち行かない現状の証左とも言えます。

つきましては近年、技能実習生を取り巻く環境に大きな変化が生じた一つに「新型コロナウイルスによる影響」が挙げられ、コロナ禍により、受け入れ先の倒産や解雇の憂き目に遭い、しかも短期間に次々と職を失った外国人の約4割は「住居」まで失ってしまいました。

しかし、帰国しようにも、渡航制限で母国には帰れず、宙に浮いた状態に陥ってしまい、かねてより米国務省をはじめ、国際社会からも問題視されて参りました「技能実習制度に内在する課題」が改めて露呈する格好となり、制度上、転職は許されぬところ、政府は特例として「特定技能への移行」を認めるなど、事態収束までの紆余曲折は記憶にも新しいところです。

勿論、一連を俯瞰すれば、コロナ禍前には過去最多となる約41万人もの技能実習生が国内で働くなど、制度の全てを性悪説で捉えてはなりませんが、外国人労働者への暴力、低賃金などの不当な扱いは後を絶たず、此処に幾つか問題を提起させて頂きます。

私は過去の一般質問で、全国ワースト・クラスとなります広島県、並びに広島市の「人口流出」について触れましたが、内訳として、進学や就職を機に首都圏をはじめ、県外へ流出する「若者」が顕著であるところ、一方でも雇用される技能実習生の人数が全国トップ・クラスの広島県にあって「外国人の流出が多い」事実にも目を向ける必要があります。

たとえ日本人でも、国内で孤立化する現代社会に於いて、兎角、職場と会社の寮を往復する毎日で、外界との結びつきが希薄になりがちな技能実習生にあり、その実情を如実に物語る「関連ニュース」が、つい先だっても飛び込んで参りました。

県内の元技能実習生の女性が「乳児を遺棄した事件」について、地裁判決の出た一報になりますけども、養育費を稼ごうと来日を目指すにあたり、まずは仲介手数料を支払う為に多額の借金を抱え、幼い娘さんを母国に残したまま来日を果たした後、真面目に働いては月給の9割近くを家族に仕送りする、こうした暮らしの中で妊娠に気づかれるのですが…

「妊娠すると強制帰国させられる」との噂が、実習生の間では実(まこと)しやかに広められており、病院へも2回訪れながら、いずれも通訳が居ない事を理由に診察は叶いません。

交際相手にも逃げられ、誰にも相談が出来ず、結局は誰も居ない寮の廊下で女児を出産。産声が響き渡り、会社にバレるのが怖くなって、愛しく感じる赤ちゃんを已む無く、窒息死させてしまいました。

国内に於いて、実習生には産休に育休、出産一時金や育休手当てなどが認められており、この様な保護や各種支援制度を説明する機会があったなら。周囲や社会が関心を寄せ、彼女の孤立に寄り添えていたなら。防げたかも知れぬ非常に悲しい事件であり、実習生の乳児遺棄は、この他にも過去数年間、全国各地で幾度も発生しています。

参考までに、国会でも取り上げられた通り、2020年末までの約3年間では、妊娠や出産を理由に637人が技能実習を中断し、その後、再開できたのは僅か11人にとどまるなど、これが日本人女性であったなら間違いなく社会問題として注目を浴びており、今後、外国人を単なる期限付きの労働力と見なすのではなく、地域社会の大事な構成員として、共生して行ける未来の構築へ。

今一度、家族の帯同も許されない外国人労働者の方々が、異国の地で農業や漁業、物づくりや介護の現場で懸命に働き、日本社会を支えて下さっています。

果たして公的サポートは、キチンと届いているのでしょうか?

技法実習法に基づき、各地域の管理団体及び自習実施者に対する実地検査、自習計画の認定や技能自習生からの相談対応などの業務を担うべく、今から5年前に認可法人となる「外国人技能自習機構」が全国各所に設立されました。

同団体は、技能実習生を雇う事業者の監督指導にも当たるのですが、2020年の1年間だけでも「約5700件」の労働基準法令違反、その摘発に至るなど、機構の設立前まで「如何に法令違反の労働環境が見逃されて来たのか?」想像に難くありません。

また技能実習生の就労までの道筋は、海外の民間団体の斡旋を受け、主に低賃金の労働者を必要とする民間企業を中心に設立された「監理団体」の仲介を経ては国内の民間会社に就職する、こうしたケースが殆どを占めており、いわゆる「外部からの目」が届き難い構造となっています。

この様な状況下、果たして外国人労働者の尊厳は、守られているのでしょうか?

一方、本市の外国人相談窓口は、令和2年から「ベトナム語を母語とする」相談員を常駐させるなど、技能実習生の相談を受け入れ易くする体制強化を図り、その現場を紐解いてみますと、本市の外国人人口16.9%を占める技能実習生からの相談件数は、全体の相談件数1120件中の62件、5.5%と決して多い部類ではありませんが、 今後、コロナ禍が落ち着き、多くの技能実習生が訪れる可能性に、一方“本市のみ”の環境整備が進んでも是とは言えません。

そこで伺います。技能実習生が置かれている現状を鑑みれば、雇用関係に影響しない第三者的な立場から「相談支援を行える場が各所に存在する」事を、もっと積極的に伝えるアプローチが必要であると考えますが今後、如何に推進して行かれるのか?

加えて、技能実習生への情報提供や支援について、近隣市町や広域連携を結ぶ市町などとも問題意識を共有し、「共に解決策を検討すべき」と考えますが、本市の御所見をお聞かせ下さい。

では次に、「核兵器廃絶へ向けた本市の取組」について伺って参りますが、いよいよ新たな時代の1ページを刻む「核兵器禁止条約・第一回締約国会議」が間近に迫って参りました。

遡ること、半年前。昨年の12月議会に於いても、私は目前に迫ったNYでのNPT再検討会議を前に本日と同様、一般質問にて核兵器廃絶を取り上げましたので、どこか既視感を覚える方がいらっしゃるかも知れませんが、たとえ末席に位置する“いち地方議員”であろうとも、その時々に「何か出来る事があるはず」と居ても立っても居られず、今回の登壇に至っております。

そして前回では、「現在は、第二次世界大戦の戦後にあらず、第三次世界大戦の戦前である」との話をしましたが、あれから僅か半年の間に“核兵器を取り巻く状況”は著しい変化を見せており、端を発したのは勿論、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻です。

私も数年前に、首都キーウをはじめウクライナを訪れては、歴史の伴う大変美しい街並みに魅了された1人であっただけに、あの穏やかな都市に空襲警報が鳴り響き、ミサイルが着弾する惨状、人々が逃げ惑う光景には正直、目を疑うばかりでした。

一方、この様なロシアの暴挙に対して、国連をはじめ国際社会が講じる手立てが「最大限」でありながら、かくも「限定」されている背景には、ご承知の通りロシアが事ある毎に、その使用を示唆する「核兵器の存在」に他なりません。

そもそも持ち出す事すら憚られますが、世界の安全保障環境を保つ上で、土台には米ソ冷戦時代より提唱され、連綿と存在する「MAD体制」があり、この相互確証破壊と言う抑止力は「もしもアナタ方が攻撃を仕掛ければ、我々は報復攻撃によりアナタの国家を完全破壊する」との概念に依拠するモノで、脅しに用いられるのは無論、核兵器です。

しかし近年は、相手国を壊滅させるまでの選択は困難な事から、ある程度の規模で都市や人命に被害を与える「カウンターバリュー」。そこから更に、相手国の基地や軍事関連施設に攻撃を絞る「カウンターフォース」へと軍事戦略も先鋭化しては、伴う形で核兵器の高度化が図られており、米国防省によりますと、中国は2030年までに現行の3倍近い「1000発の核弾頭を手にする」と分析され、分析した側の米国にせよ「核兵器の近代化計画」に於いて、今後30年間で「155兆円の軍事予算が注がれる」見込みです。

世界の核開発競争が激化の一途を辿る中、改めて日本政府、当面の方向性を再確認しておきますと、外務省の作成する外交記録の綴られた外交青書には、「安全保障の観点を踏まえず、人道の観点から核抑止力を直ちに規制する事は、国民の生命財産を危機に晒す事を容認する結果になる」との一貫するスタンスが明示されており、かく言う私も、依然として高い緊張感を保つ東アジアに於いて、自国の安全保障も国民の生命も顧みず、兎にも角にも理想を謳い、過去よりこの本会議場で「核兵器廃絶」を訴えている訳ではありません。

しかしながら、時間が後ろ倒しになれば、なる程に、一例では、覇権国家の隆盛を極めんとする中国が昨年、米露が延長させた新START(新戦略兵器削減条約)その枠組みへの参画に一瞥すら見せなかった様に、整然と並ぶ核兵器の破棄へ「ハードルが上がる」のは自明であり、自国や世界の安全保障環境を担保する具体策を確立の上、可及的速やかに廃絶へ繋がるよう、道筋が示されないのであれば、此方から能動的に示すべきです。

そこで私の愚見を少々、請け売りも交え、これより披瀝させて頂きますと、今月の締約国会議に8月のNPT再検討会議、続いて来年のG7サミット広島開催と、核兵器廃絶へと加速させる機会は矢継ぎ早に訪れ、広島出身の総理に核廃絶を肯定する民主党の米国大統領と「雁字搦めの現状打破へ」ここまで御膳立てが揃う確率は、ある意味、天文学的数値とも言えます。

更にタイミングで事態を捉えますと、米国は、あの軍事侵攻から今日まで莫大なる費用、軍備を、ウクライナをはじめ欧州方面へ注ぎ続けており、一方のロシアも、多大な軍備を投入しながら戦況は長期化し、今後は一層、経済制裁が効いて来る可能性を抱えるなど、核超大国の両国とも、マイナスに触れるかも知れぬ国内世論は軽視できません。

故に、例えばキューバ危機などの過去が物語る通り、国家が高まる危機に直面、または多大なる損失が生じた際に都度、歩み寄りの姿勢を示して来た様に、これより向こう1年は「軍縮への道」を探り、そこへ方向転換を図る“好機”には違いなく、念願成就へ向けた「正解となる前例」が無いのですから、あらゆる手段を尽くしてみるべきかと存じます。

そこでまずは「世界の安全保障環境」を最低限、強化すべく、顧みれば1995年のNPT再検討会議では「NPTの無期限延長」が決定した一つの大きな契機を迎えましたが、一方でも国連安保理のパーマネント・メンバー、つまりは核を保有する5カ国「P5」が「NSA」について、このNSA消極的安全保証とは「核兵器国が非核兵器国に対して核兵器の使用も、核兵器での威嚇もしない保証」の約束ですが、P5は当時、此方の法制化へ向けて検討を進める同意も示しています。

改めて、核禁条約を確たるモノへと高めていきながらも並行して、各国の有志からP5に向けて「NSAの法制化」を働き掛けるべきではないでしょうか。

そして、たとえ夢物語と言われようとも、やはり「究極の理想形」を訴える価値はあると思われ、このロシア軍事侵攻に際した3カ月半の間では、国連が和平へ向けて機能を果たして来た一面と、「安保理の拒否権」然り、国連が機能しなかった一面が浮き彫りとなりました。

しかし、世界が1900年代に二つの大戦を繰り返し、そこでの教訓を反映した人類の英知が、1945年に誕生した「国家の枠組みを超えた存在の国連」であり、国家が個別に軍備を抱え、自国の安全を自ら護って来た“これまでの過去”と決別し、国連が統一された軍事力を備え、主体的な立場から、世界平和の秩序を乱す、ならず者国家を制裁する「新たな安全保障の構築」が出発点の構想には存在しました。

未だ地球上では、貧困などの格差社会や地球温暖化など、人類で協働しては解決しなければならない課題が山積しています。

莫大な資金を、互いが睨みを利かす為に費やしては、刹那の安全を享受して安堵している場合ではなく、乱世なる今こそ、大戦を繰り返さぬよう原点へ戻るべきであり、極言すれば、世界各国が自国の軍備を必要最小限にとどめ、国連加盟国が、国連へ対して相応の防衛費を拠出し、結成された「国連の抱える多国籍の防衛隊」によって世界秩序を護る。こうした「新たな安全保障体制」構築への提言を行い、世界規模で「まずは検討すべき」ではないでしょうか。

これは決してサイエンス・フィクション、SF的な妄想を口にしているのではなく、近代史では1959年、旧ソ連のフルシチョフ首相が国連総会で演説を行った際に、全面完全軍縮に関する政府宣言にて「4年間で世界各国の軍備を全廃しよう」と提案。

これが契機となり、米ソを中心とした多国間交渉が開始され、1962年3月には、まずソ連より「厳重な国際管理のもとにおける全面的完全軍備撤廃条約」の草案が示され、その翌月には、米国側から同条約の「基本的規定の概要」提出に至っています。

結果、条約案は激動なる歴史の波間に消えて行くのですが、約20年後には、レーガン、ゴルバチョフの両氏により「核軍縮交渉の加速化」についての共同声明が行われ、当時7万発近くの核兵器が一気に削減へ向かうなど、つくづく立ちはだかる障壁とは、私共が常識とする「既成概念にある」と言って過言ではありません。

そこで伺います。いつも無理難題をご提案して誠に恐縮ですが、6月議会終了後、松井市長は核禁条約の第一回締約国会議に出席されますけども、是非、発言の機会にて「国連の原点回帰」に基づいた、新たな世界の安全保障体制の創設をご提案頂きたいと望むものですが、御所見をお聞かせ下さい。

そして時系列では、続いて8月6日がやって参りますが、この1億2千万人もの国民を擁する日本国にあって、核禁条約・第一回締約国会議に参加されては、現地で同会議の熱量を肌で感じられる人は極々限られます。

出来れば、現地で得られた知見などを今年の「平和宣言の中へ盛り込む」事を念頭にウィーンへ。また帰国後は、平和宣言を通じて市民・国民に語り掛け、次回2年後の締約国会議に「日本国が参加する」方向へ是非とも導いて頂きたいと熱望するものですが、御所見をお聞かせ下さい。

私の一般質問は以上と致します。ご静聴、誠に有り難うございました。