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2020年12月議会 一般質問

これより一般質問を行うにあたり、まずはゼロカーボンシティへ向けた「本市のエネルギー政策」について伺います。

先の10月、菅新総理は就任に際しての所信表明に於いて「温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする」と力強い口調で宣言され、経済界からは「極めて困難な挑戦である」との声や、一方では「またと無いビジネスチャンス」とも捉えられるなど、悲喜こもごも、国内の業界を震撼させました。

そこへ加え、パリ協定を批准する189の国や地域の内で「2050年ゼロ」を宣言するのは、既に120以上にも及ぶ通り、この度の日本政府の態度表明は、世界の潮流と相まって「ようやく足並みを揃えてくれた」と、先進的に取り組む各国からは歓迎を受けたところです。

さて。目標の達成へ向け、今後は企業や自治体のみならず、国民一人一人の意識と行動が、より一層、求められて参りますが、その出発点として、そもそも“2050年ゼロ”は「どれだけ高いハードル」なのでしょうか?

「国連環境計画」によりますと、産業革命以降からの気温上昇を1.5度に抑えるには、世界の温室効果ガスの排出を、2020年から毎年「7.6%ずつ削減」する必要があると言われます。

参考までに、今年は新型コロナウイルスの影響で、多くの温室効果ガスを排出する「産業界」が軒並み機能停止に、また排出量の多い「運輸部門」でも、経済の動脈となるサプライチェーンが寸断され、一時は各航空会社の減便数も「9割」に及ぶなど、各国がロックダウンを図り、経済活動や人々の行動が「長期に亘り制限される」生活を1年間、世界規模で送って、ようやく「減少の見込まれる排出量」が、先の通り“毎年”必要とされる削減目標「8%前後」です。

重ねて「カーボンニュートラル」とは、たとえ排出量が増えようとも、森林などによる吸収量が追い付けば相殺されますが、この吸収量とは、締約国会議の数式で個別に算出されており、例えば我が国の“2018年度の吸収量”は5590万トンと定められながら、経済活動や人々の暮らしによって発生した温室効果ガスの総排出量は12億4000万トンと「吸収量の20倍以上」にも及ぶ、コレが私共の現在地です。

つきましては、本市は今年度末までに「環境基本計画」を、また国は中期的な指針となる「エネルギー基本計画」を来年の夏までに改定する方針であり、この内容が如何なる変容を遂げるのか?今から期待する次第ですが、私も今日まで、環境やエネルギー分野の政策提言を繰り返して来たのは、ひとえに自らが描く「本市の未来像」を実現したいが故であり、それは大別すると「3つの要素から」成り立ちます。

先ず1つ目は、自然災害が頻発化、激甚化する近年、例えば2年前の「北海道胆振東部地震」では、広域に渡り大規模な停電、ブラックアウトが発生した様に、一箇所の大型発電所に電源を依存するリスクは回避すべきで、その為にも各所で地域特性に応じた電力の自給自足に努めては「エネルギーの地産地消」を図り、エネルギー面で自立した各クラスターが、災害時には周辺エリアをカバーするなど「有事の回復力、レジリエンス強化」を確立する事。

2点目は、エネルギーの大半を輸入に頼る現実が当たり前になり、無自覚となって久しい日本ですが、それはイコール、国民が額に汗して稼ぎ、納めた税金が、島国のエネルギー対価とは言え「海外へ流出し続けて」おり、こうした構造の縮図とも化している各自治体や本市でも「エネルギーを域内で生み出し、循環させるシステム」へ早急に転換を図るべきである事。

そして3点目は、環境対策やエネルギー政策の展開に伴い、特に再エネの分野などは「伸び代の宝庫」とも言え、再エネを主力電源に据えんとする取り組みは、地域の産業振興や、そこへ伴う雇用創出など地方の成長戦略に資するアプローチでもあって、環境と経済、二つの課題解決を同時に図る「グリーンリカバリー」へ傾注する事、以上の3点となります。

そこで、非常に示唆に富む事例を紹介させて頂きますと、東日本大震災で甚大なる被害を受けた「岩手県の宮古市」では、被災に屈する事なく、市民の総力を結集して復興を果たそうと、先ずは震災でエネルギー供給が断たれた経験を教訓に「森・川・海の再生可能エネルギープロジェクト」を重点施策に据えられます。

このプロジェクトは、メガソーラーやバイオマスなど、地域で作られた再エネを持ち寄り、地域内のあらゆるエネルギー需要を満たして行く「再エネの地産地消」を掲げるモノで、推進協議会には多くの企業や大学が名を連ねるなど“産学官”一体となって施策を展開、現在もエネルギー総需要の約3割を再エネで補完し、2050年には全ての需要を賄うべく、取り組んでいらっしゃいます。

そして、一連のプロセスを紐解けば、原発の事故後「大胆に再エネへシフト・チェンジを図る」際に、当初は当然の如く、利害のすれ違う自治体と大手電力会社の間で軋轢が生じたのですが、地域の未来の為に折衝を重ねては、そこへ否応無しに「クリーンエネルギーへ向かう」時代も手伝い、その結果、自治体に住民、大手電力会社の良好なる関係性が築かれ、三方ヨシのプロジェクトは飛躍的な前進を遂げて行きます。

縷々述べて参りましたが、折しも時代の追い風を感じますのは、今日まで再エネ普及への牽引役をFIT(固定価格買い取り制度)が担って来ましたけども、クリーンエネルギーの分野が確立される程に、同制度は受給バランスへの対応が叶わず、マーケットに歪みを与えていたのも事実です。

そこへ更なる再エネ普及と経済性を担保しようと、2022年度より電力マーケットで、市場価格に補助金を上乗せするFIP(フィードinプレミアム)制度が新たに導入される予定であり、更に国は、こうした転換点を契機に「アグリゲーションビジネス」の活性化を、言うなれば多様なる小型電源の統合を図り、一つの発電所の様に機能させる、その為の環境整備に「本腰を入れて着手する」と言われています。

いずれにせよ、遥か昔より既に、温室効果ガスは私共の青い空へ放たれ続けており、近代社会でも「統一の数値」を掲げては、ココまで世界規模で目標をイツにして取り組む機会は前例が無く、そこで伺います。

今を懸命に生きる人々の生活環境を必ずや守って行く為にも、そして子や孫の世代に、この青い地球をキチンと残し、受け渡して行く為にも「2050年までに温室効果ガスの排出ゼロ」へ向けて、本市は更に“全力を尽くして行く旨を” 宣言しては如何でしょうか。お聞かせ下さい。

そして、環境対策やエネルギー政策のみならず、防災面や地域振興にも寄与すべく、幾つか例示しますと、風光明媚な佐伯区の湯来は「薪ボイラー」を基調に、安佐南区の戸山では「バイオマス発電」と連動して、南区の似島は瀬戸内の長い日照時間を「太陽光パネル」で活かし、他にも旧市内はデルタへ注がれる豊かな川の流れを、小規模な「マイクロ水力発電」に利用するなど、とにかく始まりは「限定的な集落」など小規模からでも構いません。

再エネの利用率を着実に上げるべく、先ずはモデルとなる「再エネ地産地消エリア」を設定、その後も得られた知見や便益を本市全域にも還元、融通し合う「体制を整えて頂きたい」と熱望するモノで、ココに伺えば「本市も再生可能エネルギーの地産地消に取り組んで頂きたい」と存じますが、ご所見をお聞かせ下さい。

この件を結ぶにあたり今一度、先に紹介した「宮古市の取り組み」を補足させて頂きますと、民間の技術力が集約される現場にて次々と雇われ、活躍するは「定年退職後の市職員」であり、長年に亘り培った行政経験と専門的な知識を、定年後も遺憾なく発揮できる就労環境に、誰もがやり甲斐と生き甲斐を感じ「職場で目を輝かされている」と言われます。

一案として、働き盛りの職員を特定分野の先端企業へ出向させ、経験を積ませては行政へフィードバックさせるなど、官民協働で出来る事に際限は無く、いずれにせよ法制度にも明るく、経験豊富な行政職員さんが定年後も、未来を担う伸び代の多分にある分野へ再就職できる、再エネならぬ「人材の再生」が当たり前の様に図れる土壌を、この広島でも「県域レベル」で築いて行くべきではないでしょうか。

では続いて、ゼロカーボンシティへ向けた取り組みとして「本市の自転車戦略」について伺いますが、顧みれば政府が「2050年ゼロ」の政策を掲げた際に、国内のメディアからは次の様な論調も飛び出しました。

「日本の温室効果ガスの排出量は、世界でも5番目となる全体の僅か4%ほどであり、仮に懸命な努力でパリ協定の公約量を達成しても、それは世界規模の1%が減るに過ぎない」と。

考えてみれば、世界で最も排出量の多い中国は、その規模も「日本の8倍以上」に及びますが、コレを国単位から国民一人当たりで換算すると「日本人が逆転する」のも事実で、しかも世界の僅か1%となる数億トンの排出量を「是が非でも費やし」生活しなければならぬ新興国は多く、オフセットクレジットではありませんが、グロスで捉え「誰かが使える1%に回す」為にも、繰り返しとなれ、今後は一人一人の意識改革と、より一層の緊急行動が必然になって参ります。

そこで「家庭からの二酸化炭素排出量」の内訳を見ると「照明や家電製品など」からが約31%、次に「自動車」からの約26%が続きますので、一つの提起として時節柄、自動車の代替機能を担い始めた「自転車」にスポットを当ててみるとします。

このコロナ禍にあっては“3密”とも成り得る公共交通機関での通勤を避ける為に「社員の自転車通勤」を認める企業が急増しては、この春から夏場に掛けて、販売台数が全国的にも「4割前後」増えた通り、明白に自転車の利用者が増加する昨今、本市でも「自転車都市づくり推進計画」を掲げては取り組み、本年3月には「時代にそぐう」モノへと改定されたばかりです。

改めて、この推進計画にある4つの基本方針、その1つに「走行空間の整備」が掲げられているのですが、コチラは主に、デルタ市街地の“自転車道整備”を段階的に進めて行く事業で、コレまでの実績値としては「6.7km」が整えられ、令和6年度末にはトータル「25km以上」を目標値に定め、今まさに取り組んでいる最中にあります。

では、世界有数の環境都市とは如何なる状況なのか?ココにスウェーデンの「マルメシティ」を取り上げますと、夏場に得られた熱を地下タンクに貯蔵して冬場に利用すれば、ソーラーパネルや風車の普及は勿論、市内を走る200台弱のバスは全てバイオガスで、またゴミ収集車やタクシーも、その半分は同様にバイオガスで走行する「環境先進都市の自転車事情」に迫ってみるとします。

人口 約30万人のマルメシティでは十数年前に、可能な範囲で車道を取り払い、自転車道に再整備しては、その距離「市内に全長500km」。

要所の交差点にはレーダーを取り付け、自転車が近づけば「信号が青になる」専用システムを導入するなど、全人口の3分の1となる10万人が毎日、自転車で移動しています。

コレを「別世界」の話と捉えるのか?それとも「大いなる参考対象」として捉えるのか?そこはゼロカーボンシティへ向けて、達成したい目標の高さと本気度に起因して参りますので、ココに伺います。

世の健康志向や脱炭素社会へのパラダイムシフトを予見すれば、都心部の“走行空間整備”に並行して、一定の「中・長距離」を自転車で移動する、つまりは「郊外と都心部を結ぶ」走行空間の確立も重要かと存じますが、本市としては如何なるご所見を持ち、如何に計画を立てては整備を進めて行かれるのか。お聞かせ下さい。

続いては、唐突に局所的な話となり誠に恐縮ですが、緊急性を要するので触れさせて頂きますと、私は毎日、自転車のペダルを漕ぐ一人として、通勤に通学、昨今は頻繁に行き交うフード・デリバリーを含め、日々確実に増加する自転車の数を実感しており、朝の8時から9時の時間帯など、市役所に設置された駐輪場では「何とか1台分の空きスペースを探し出そう」と、人々が自転車を押しながら右往左往する光景が頻繁に見られます。

何より、花と緑に溢れ、環境に優しい自転車で往来する事に適したまちづくりを進める「本市の市役所」の話であり、早急に改善が求められますが、余剰スペースは限られ、整備費の捻出も伴って参りますので、先ずは取り急ぎ改善を図る代替案として、過去に議会棟横の駐輪場を改修した際、一時的に「本庁南側の歩行空間」を仮設の駐輪場に設定しました。

当時、非常に多くの人々が、その駐輪場を利用しては、出し入れが簡素な事からも非常に好評を得たのですが、今後、未来永劫とまで言わずとも、提示した打開策なりで早急に「この事態へ対応」して頂きたいのですが、如何でしょうか。お聞かせ下さい。

自転車戦略の話を締め括るにあたり、在住の方にヒアリングした「フランスはパリの事情」に触れておきますと、大気汚染問題で都心部への車両の流入を徹底して抑制した当初など、市民の反発は相当なモノだったそうですが、昨今はコロナ禍も手伝い、その対応策は更に加速度を増しており、例えば「市内で6万台分の路上駐車場を削減する」予定であれば、現に都心部の車道を次々と自転車道に変更するなど、世界でもイチ早くレンタサイクルを普及させた都市は、今なお「市民の自転車利用」に拍車が掛かっています。

こうした背景には、かねてより電動自転車の新規購入時に最大で50%、500ユーロまで(日本円にして約6万3,000円)、また保守点検や修理費用に、上限で50ユーロまで受けられる補助金制度などの存在もあり、あれだけ母国の自動車メーカーが名を馳せるフランスにあって「自転車の推奨」は既に国策です。

私にせよ「あらゆる事例を追随すべし」とは申しませんが、例えば10万円前後する電動自転車の新規購入時に「半額補助」となれば、子育て世代の親御さんも非常に助かりますし、環境や健康面のみならず、何よりも経済的な「格安の維持管理費」と、統括すれば、引き続き本市に於かれてもソフト面のマナーにハード面の走行空間や駐輪場、そこへ制度面のサポートも伴い「バランスを持って自転車の普及に取り組んで頂く」事を、ここに要望するモノです。

では次に「縦割り110番」について伺うとして先の9月、菅新総理が誕生後に新たなキャビネットが組まれ、規制改革担当大臣に就任された河野太郎氏は、新内閣の掲げる目玉政策、その一角を担う「縦割り行政の改革」を推し進めるべく、自身の公式サイトへ、規制改革に関する意見を国民から募る、規制改革行政改革ホットライン、いわゆる「縦割り110番」を9月末に開設されました。

顧みれば、こうした「目安箱」とも呼べる機能は、規制改革に取り組む一端として、個人や企業等、民間から広く意見を募る為に、かねてより内閣府に設置されていたモノですが、この度の試みは「大臣自身が寄せられた声に全て目を通す」との触れ込みも手伝い、開設後は多様なる要望が1日平均「百数十件」も寄せられ、その数は僅か2ヶ月間で8000件を突破。

前身の内閣府のサイトでは、規制改革の要望が年間を通じて「700件程度であった」過去と比較しても、コレは12年分の量に当たり、担当部局が業務困難に陥る事から、河野大臣の開設した「縦割り110番」は再開未定とし、11月下旬に一時停止する旨を表明されました。

私も、この一報を耳にした際は「アドバルーンを打ち上げ、短期の宣伝と観測気球の役割を終えては、早々に店じまいしたモノ」と感じていたのですが、この為に全国各地から参集した自治体職員や大臣の動静など、内閣府の動きをつぶさに追ってみますと、寄せられた全ての要望を精査し、改革に有益と判断された案件は各省庁に伝達して行くと謳われている通り「ここに一区切りを付け、今日まで寄せられた多くの要望に、先ずは徹底して向き合う体制を整える為の一時停止である」との本気度が窺えます。

今一度、河野大臣のサイトとは別に、従来の内閣府に設置されている規制行政改革ホットラインには、届いた要望に対する「所管官庁からの回答」も掲載されており、そこへは「次の法令により、対応は不可」「事実に誤認がある」。

一方では「今後、検討を進める」「改善に着手する」など、個人や民間企業から寄せられた提案の内容、各種制度の現状や該当する法令、対応の行方まで明記され、改革へ向けた提案の採用・不採用を問わず、送り手と受け手、双方がブラッシュアップされています。

また、今回の成果の一例では「救急車の緊急搬送」の事例が度々、引き合いに出されておりますけども、コチラは救急車が緊急搬送を終えた後、消防署へ戻る際に「高速道路を利用した場合の無料区間の線引き」など、全国でもまちまちであった規定が、縦割り110番への要望に基づき、国交省や消防庁が連携して検討した結果「完全なる無料化」に漕ぎ着けました。

如何なる自治体も諸課題を内包しているのは間違いなく、私共は真摯に広く耳を傾ける姿勢を忘れてはならず、重ねて「行政や議会の常識は、世間の非常識ではないのか?」と、関係者の誰もが常に自問自答すべきであり、ココに伺います。

あらゆる人々の英知を市政運営に結集させるべく、本市に於かれましても、縦割り110番とも言える「行政改革目安箱となる機能を設置すべき」かと存じますが、本市のご所見をお聞かせ下さい。

続いて「サッカースタジアム」について伺うにあたり、先ずはスタジアムに関する動向を押さえておきますと、先の9月議会に於いて、向こう4年間の債務負担行為となる事業費「257億400万円」の予算案が議決を経た後、10月下旬に同事業の公募型プロポーザルが公示され、翌11月の中旬には「2社以上で構成するJV」を対象に、参加表明書の受け付けが行われました。

今後は年をまたぎ、来年の2月中旬に技術提案書などを提出し、3月下旬に行われるプレゼンテーションを経ては、設計や施工、工事管理業務の一括発注先となる「優先交渉権者」を選定され、数ヶ月以内に本契約が締結されるなど、開業時期の2024年を目指し、徐々にではありますが、スタジアムの絵姿が輪郭を帯びながら浮上して参ります。

そして今一度、私共に自覚が促されるは、広島のスタジアム建設は現在「スタジアムやアリーナを核に人々が集う街づくり」を掲げる国の方針とも相通ずるモノであり、広く国民の方々からも国庫を通じてサポートを頂戴すれば、2015年の吹田スタジアムや2020年の京都スタジアムなど近年に着工、完成したスタジアムを私共が基本計画を策定する段階からも大いに参考とさせて頂いた通り、今なお新スタジアム構想を抱く他都市は後を断ちませんが、こうした各自治体は「格好のモデルケースにしよう」と、広島の事業動向に熱い視線を注がれている点にあります。

この様に「広島のスタジアム構想」は、既に国家プロジェクトの一役を担っており、また今回のプロポーザルにより提示されて参ります「世界レベルの技術の粋と溢れる創造性」を県市が培って来た知見と融合させては、人々が恒久平和を願い、現世の平和を謳歌する、こうした広島の新スタジアムを築くにあたって、あくまで波及効果の基準は「県内」にあらず「世界」であり、私共の尺度となる「国際平和文化都市」がブレてはなりません。

そして「機を見るに敏」として事業を進めるべきで、適例を挙げますと2019年に「改正労働基準法」が施行され、あらゆる業種で「働き方改革」が進められておりますが、建設業界では職人さんの高齢化や担い手不足が顕著なところへ時の建設ブームも相まって「長時間労働」が常態化しており、働き方改革へ急速に対応する事が難しい同業界に対しては、国が激変緩和となる「5年間の移行期間」を設定しました。

故に現在、建設業界は1カ月の内、完全に幾日かは現場を閉め切る「閉所日」を設けるなど、段階的に休みを増やし、長時間労働の是正を試みる只中ですが、5年の猶予が切れて罰則付きの一般則が適用される期日が、奇しくもスタジアム開業とほぼ重なる「2024年の4月」であり、今後はA Iの導入やI C T化によって生産性は向上して行くにせよ、あらゆる事業に於いて「納期の見極め」は重要度を増し、ここへ付言すれば、その変動が事業に直結して来る「市場動向」にも私共は目を配る事を忘れてはなりません。

例えば現在の労務単価は、近年の職人不足による雇用確保の為、社会保険など法定福利費の充実を図る背景も手伝い「高止まり」の状態から、今後は「更なる高騰」が目され、一方では資材単価にせよ、このコロナ禍で需要が低迷し、鉄鋼関係などは大手が軒並み減産にシフトした結果、マーケットで「底値」を打っている状態にありますが、昨今は中国経済の回復で原材料価格に上昇基調が見られるなど「今後はメーカーが応分の値上げを打ち出して来る」可能性を、業界は危惧されています。

つまるところ、有り体な物言いながら経済学にもある、注いだ事業費に対して、その対価を最大限にする「Value For Money」の概念を突き詰めるならば、まず肝要なるは、この機を逃す事なく、しかも事業を遅延させない事です。

加えて私は、かねてより唱えている通り、スタジアムにせよ、それは世界でも“稀有なるエリア”を築く「目的」の為に用いる、あくまで「手段」の一つであって、裏を返せば「他にも如何なる手段を用いるべきなのか?」。

コンセプトの統一を図るのは勿論、収支にせよ「エリア全体でのマネージメント」が大前提になって参ります。

では、一つ問題提起に、この度は「青少年センター」に着目するとして、近年の緊急安全確認の耐震診断結果に於いても、震度6強以上の大規模地震に対しては「最も倒壊・崩壊の可能性が高い」と位置づけられており、築53年を迎える旧耐震構造の建築物は毎年、本市による多額の持ち出しに支えられながら、あの都心に鎮座します。

現代の潮流として「民間に任せられるモノは極力、民間へ」と、自治体が抱え込む資産を見直してはサービスの向上に結び付けて収益も生み出して行く、そして近未来では「民間が提供しては、役所がユーザー側に回るのでは?」とも口にされる昨今、命に直結する建築物の安全性も含め、私共は「青少年センターの在り方」を問わなければなりません。

一方、過去に同施設の存続が問われた際に「機能の存続を求めて」若者グループが署名活動を行った通り、かつてはフォーク音楽の聖地でもあった、その文化と機能は、私も必ずや守り、継承すべきかと存じます。

ただし、現代は既に、若者の集うスペースなどは敢えて各商業施設などに確保、点在させては人々の回遊性を図るなど、一カ所に多くの空きスペースを抱え込んで「局所的にオペレーションを完結させる」時代に無く、今後の方向性としては、青少年センターのスペースを市内各所へ戦略的に点在させた上で、商議所の移転に加え、同センターも前向きな移転を成し遂げたらば、それだけで都心部の収支は改善され、利便性も向上、耐震化に対して利用者の安全も担保されて参ります。

また「都心部の再編」にはポストコロナの時代を念頭に、世界的にもデジタル図書館化が進む折、中央図書館にせよ、読書が生涯の友である私は、安直に機能の廃止など求めませんが、その在り方を時代にキャッチアップするのは必須であり、積み残された宿題は後回しにする程、その代償は高くつき、私共が懐古主義に囚われていては「将来世代の未来」は描けません。

そこで、先ずは「現状を皆様で再確認」すべく伺いますが、現在、都心部の中央公園広場を含めた各公共空間、公共施設は、指定管理制度を用いて、利用料金では賄えぬ部分を「本市が補填し続けている」状況にありますが、その金額は今後、エリアマネージメントを確立するに当たって“恰好の材料”となりますので、果たしていくらになるのか?

対象を挙げますと、中央公園広場、ファミリープール、青少年センター、こども文化科学館・こども図書館、中央図書館、映像文化ライブラリー、以上、トータルの金額をお聞かせ下さい。

また「中央公園の今後の活用に係る基本方針」は策定されながら、コレまではスタジアム建設地の行方もあり、施設群の具体的な着地点に係る検討は留保されていましたが、スタジアムの建設場所が決定し、具体的な建設のフェーズに入るこのタイミングを「都心部の改革元年」とすべく、新年度予算には相応の検討費を盛り込み、庁内でも各局に渡り、横の連携を図りながら今こそ「夢に溢れる大きな未来予想図」を描き、その実現に着手すべきかと存じますが、本市のご所見をお聞かせ下さい。

結びに、このコロナ禍にあって「大規模な建設事業」に関しましては毀誉褒貶が渦巻く事も、私は一人の議会人として真摯に受け止める次第ですが、サッカースタジアムは「人の命を救う」事は叶わずとも、必ずや「人々の魂を救う」事は出来ます。

新スタジアムでのキックオフへ向けて引き続き、広島県民でチーム一丸となりては、微力ながら私も全力で取り組む事を誓い、一般質問を以上と致します。