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2013年 6月 議会 一般質問

これより発言通告に従いまして、先ずは、先の予算特別委員会でもご提案させて頂いた「オリジナル・ナンバープレート」について伺って参ります。

他都市での実績も参考に、観光地「広島」の関心度向上や、郷土愛の醸成にも必ずや繋がるとして、私は「広島ならでは」のオリジナル・ナンバーレートを「是非とも導入して頂きたい」と委員会にて提言させて頂き、その際「前向きに検討します」との答弁を頂戴したのですが、コレまでの検討状況、現況について、お聞かせ下さい。

また、導入へ向けての具体的な検討事項として、重要な鍵を握るのは「採用されるデザイン」であり、この選定方法についても、例えば、呉市の様に「著名人に依頼される方法」もありますが、一般の方々の中には数多の才能が存在し、完成までに“市民の方々から継続して注目して頂く”為にも「広く公募する方法」が妥当ではないかと思われます。

いずれにせよ、今後も実現への手順、必要予算など、様々な懸案事項がありますので、コレまでの検討状況と共に、コレからのスケジュールについても、お聞かせ下さい。

続いて、「旧市民球場跡地の活用方策」並びに、そこへ関連した「サッカースタジアム検討協議会」について、伺います。

本市が3月に公表された「旧市民球場跡地の活用方策」について、この度、施設の規模、配置の概略、概算事業費、絵図面など、その基本計画を構成する素材の検討に「870万円」の補正予算が計上されました。

そこで、最終的な活用方策としては、ココまで絞られて来た「4案6パターン」の中から「緑地広場・文化芸術機能」を主とする案が選ばれ、「スポーツ複合型機能」に関してはサッカースタジアム検討協議会を設置後、そこで協議され、挙がって来た素案を、改めて「緑地広場・文化芸術機能」を主とした案と照らし合わせた上、最終決定がなされるスケジュールとなっております。

ココへ対し、5月28日に行われた特別委員会に於いて、一方の案は、行政が、ある程度の予算を設け、専門家を通じて絵図面などを作成しながら、もう一方では、手弁当規模で検討協議会を開催させ、それを最終的に同じ俎上に載せて比較する行政手法が「フェアではない」との意見が、各会派から構成される委員から相次ぎました。

そこで、この度、計上された補正予算、その内訳を見れば、「基本計画を構成する素材の検討業務」に関して、現在の状況の把握や敷地の分析、事例の調査に「267万円」、施設の規模や配置の概略検討に「247万円」、概算事業費の検討に「115万円」、絵図面の検討に「241万円」と、合計で「870万円」が注がれ、その道のプロにより、今後は検討、制作される予定となっております。

一方、サッカースタジアム検討協議会に関しては、メンバー11人に対して、この度、学識経験者への謝礼金「12万5千円」の予算が計上され、行政側からは検討協議会のメンバーへ対して、「事業規模や建設場所の選定、建設資金の確保を含めた事業スキームなどを検討して頂きたい」との要望が出ている訳ですが、例えば、場所に係わる条例や建設時に用いる交付金など、その方面に造詣の深い専門的な知識を持った委員は、メンバーの中に入っておりません。

ここまでを振り返り、市民の皆様をはじめ、誰もが「都心の一等地の活用は菓子博の後、直ぐに次の活用策へ向けて進んで行くモノ」と感じられていた事でしょう。

過去8年間の費やされた時間に諸経費、失われた賑わいなど、当然ながら今現在が「待ったなし」の状態である事は間違いなく、継続される空白など、市民、行政、議会と、誰も望んではいない。

しかし、「二つの案を比較した後、決定を下さなければならない」その出発点から、両者にはココまでの相違が見られるのです。

ならば、この条件下、コレが如何なる案件であっても、最終的に双方から出てきた提案を同じ俎上に載せ、「どちらが適切で、優れているか?」との判断を、果たしてニュートラルな見地から行えるのでしょうか?

そこを懸念したからこそ、先にも触れた先月の特別委員会では、予算額に留まらず、倫理的な観点も踏まえ、各会派を超えた沢山の委員から「これは公平公正ではない」との意見が噴出し、また、その模様が大々的に報じられました。

では、改めて伺いますが、こうした現状を行政側は「公平、公正なる検討手法である」と考えているのでしょうか? お聞かせ下さい。

重ねて、先にも触れた通り、検討協議会に関して不足しているのは、強調するまでもなく、街づくりのプロである「市や県の職員」の存在です。

そこで伺いますが、検討協議会を進めて行くにあたり、今後は必要に応じて「行政職員を追加招集し、メンバーへ加える可能性はあるのでしょうか?」 お聞かせ下さい。

また、検討協議会のメンバーに名を連ねる、ある委員さんは、メディアの取材でも次の様に語られております。

「協議会では、大勢がスタジアム建設の方向を向いているが、ただし、市民が赤字を負担する形になっても建設するのか?そこに踏み込まないといけない」「建設の是非も含めフラットに議論する」「最初から建設の方向には突っ走らない」と。

私などが思うに、このご時世、誰も多額の税金を注いではスタジアムを造り、稼働率が低くても「後は野となれ山となれ」、そんな安直な考えを大多数の方々は持ち合わせておりません。

しかも、局所の採算性ばかりに囚われるのではなく「市全体の会計を見据え」、総合的に調整しては「継続して公共サービスを提供する」のが行政であり、例えば、本市では「教育」という人材育成への支出として、毎年に亘り年間平均で、市立大学に運営費交付金として約32億円。

「市民の皆様へ快適なる食を届ける」べく、食肉市場に約15億円、「市民の安全を守る為」べく、道路の維持管理に約30億円弱など各方面に一定の支出額は存在し、ならば、只今列挙させて頂いた金額などは、個別に「全て赤字である」と捉えるべきなのでしょうか?

個々の不採算、その蓄積が「本市の財政負担」へと繋がるのは確かながら、民間では黒字化が簡単では無いモノを公共サービスとして、市全体の会計で“やりくり”しては補完するのが行政の役割でもあります。

また、基本方針に言及すれば、先の特別委員会に於いて、ある委員と市民局長との“やりとり”を振り返りますが、先ずは委員から、次の様な質疑がありました。

「単純にお伺いさせて頂くとして、市長は、サッカースタジアムについて、あるべき姿、ビジョンを、どう思われているのか、お答え下さい」と。

そこを受けて、市民局長からの答弁は、「我々が市長と議論している中で考えているのは、やはり、このサッカースタジアムが、単なるサッカー場だけの機能と言うのではなく、政令指定都市・広島に相応しい、街づくりの核となる様な、そう言った複合的な機能を持つ、やはり政令市である以上は、サッカースタジアムを造るべきと言う思いを持っています」と。

コレを受け、同委員より、「要するに市長としても、広島市としてサッカースタジアムは欲しいと言う事で、確実に前に進んでいると言う事を、今、ご答弁として受け止めさせて頂いても宜しいと言う事ですね」と、再確認が行なわれたところ。

市民局長は明確に、「その様に受け止めて頂いて結構です」と答弁されました。

この度の「サッカースタジアム検討協議会」の設置は、現在、市長を筆頭に、広島市としても「街づくりの核となる複合的なサッカースタジアムを誕生させる」べく、前向きに取り組んで下さっている「最たる証拠」であり、最終的な決断は行政が下のですから、検討協議会の場においては、既に「スタジアム建設の是非」を議論する段階ではないと思われます。

市長に於いても、協議会を立ち上げる前の記者会見にて、「建設に向けての課題を検討し、サッカースタジアムを実現する為の議論にしたい」と口にされておりました。

ならば「スタジアム建設が、本市の財政に多大なる負担を掛けない為には、如何なる手法を用いれば良いのか?」「維持管理費を捻出する方策が重要なので、どういった機能を複合させ、如何なるシステムを構築すれば、建設費を償還しながら黒字化の可能性も見えて来るのか?」「そこを実現するには、コレくらいの規模が適性であり、建設場所はココが適切ではないのか?」など。

検討協議会の本来の目的は、「出来ない理由さがし」ではなく「出来る為には、どうするのか?」であり、ここへ向けて都市が抱える人材を動員し、英知を結集させては「最終的に、これ位の規模と事業主体で、こうした運営法を用いれば、サッカー複合スタジアムが、決して遠くはない未来に、この広島市にも誕生させる事が出来るのではないか?」、こうした“前向きな回答”を導き出すのが検討協議会だった筈です。

しかも、只今、私が話をさせて頂いた内容の旨を委員のメンバーには事前に通達がなされており、また、委員の至上命題としては延々と検討を重ねるのではなく、つまり、設けられた期限内に具体像を練り上げては、それを最終的には「市の決定案への比較対象」として、提示しなければなりません。

しかし、初会合の場では「まずはスポーツ文化を考えたい」などの意見も飛び交いました。

繰り返しとなりますが、この度の検討協議会は、「スタジアムを実現する為の議論」を行い、協議会での素案を期限内にキチンと市側へ提示する役割を担っており、そこで質問させて頂きますが、この度、設置されたサッカースタジアム検討協議会では、初会合前に各委員の方々へ、どれだけ、こうした趣旨の事前説明、意思統一が図られたのか? ここに伺うモノであります。

また、関連事項として、先日、安佐南区の伴地区を初め、広域公園・周辺住民の方々が来庁されては「サンフレッチェの本拠地を移転しないで欲しい」「現在の広域公園内で、既存施設を改修して新たなスタジアムを」との要望が市側へ提出されました。

では、何故「こうした要望が起きたのか?」と申せば、例えば、昨年末も市長は、新スタジアムの候補地の1つとして、あくまで「案」としながら「中央公園」を挙げられたり、市民局長の答弁にもあった通り、現在、行政が「街づくりの核となる様なサッカー複合スタジアムの建設へ向け、確実に前進している」と明言されており、勿論、全てが最終決定されている訳ではありませんが「可能性として広域公園からの本拠地移転をはらんでいる」事は、否定できません。

しかし「現本拠地への対案、活用方策」が示された跡は無く、地元周辺の方々から不安の声が上がるのは、必然でもあります。

そこで伺いますが、「サッカースタジアムの議論と並行して、広島広域公園の活性化策を検討するべき」と思われますが、如何お考えなのか? お聞かせ下さい。

次に、本市における「都市計画のマスタープラン」について、伺って参ります。

人口減少や、超高齢化社会を目前に、また環境面への配慮や、効率的な財政運営へ向けても、市街地の無秩序な拡散を抑制し、居住機能、生活サービス機能を集約するべく「集約型・都市構造」、いわゆるコンパクト・シティへ向けて、現在、本市をはじめ、あらゆる都市が取り組んでおります。

無論、こうした施策は、決して「郊外の切り捨て」にはならず、それ相応の裏付けがあるのですが、最優先されるべきは、何より「コンパクトな街」をつくる事であって、その方策の一つが、中心市街地に多様な一次都市機能を集め、中心市街地を再生させる事でもあります。

また、本市に於いても、30年後、50年後を見据え、街が抱える既存ストックを最大限に生かしながら「新たに戦略的な施策」を打ち出し、活力と賑わいを生み出す“都市基盤”を実現するべく「都心の求心力」を高めて行かなければなりません。

そこで、先ずは「都心部の賑わい」の観点からも、この度、盛況の内に幕を閉じた「第26回全国大菓子博覧会」を検証して参りたいと存じます。

同博覧会は、24日間で「80万7千人」が会場へ足を運ぶなど、「都心部の賑わい」が物心両面に於いて市民へもたらす効果を改めて示してくれた催しとなり、先の本会議でも、田尾議員への答弁にありました通り「周辺への波及効果」も、例えば、隣接したシャレオなどは期間中、前年同期と比べ、飲食関係では売り上げが「120%」も増え、周辺百貨店などへの客足も軒並み伸びれば、市内の主なホテルや公共交通機関の利用者も、10%前後、増加。

他に、こども科学館の来場者など「175%」も増えており、正に「外から内へとヒト・モノ・カネを誘引するインバウンド事業」として、地元民へ好影響をもたらしました。

こうした菓子博ですが、予算を含めた「収支」に目を向ければ、先ず「収入」として、市・県・菓子業界から各1億円で「合計3億円」の予算が設けられ、また、当初より「80万人の来場」を予想した「事前の収入・見込み」として、入場料「約9億9千万円」、各ブースの出展料・収入や協賛金が「約2億円」など、合計で「16億円」の収入を見込んで開催された博覧会です。

裏を返せば、事前に「事業費の支出」が概算されておりますが、旧市民球場跡地へ「仮設パビリオン」の設置、空調設備、展示の装飾などに「約6億7千万円」、会場運営費に「約2億3千万円」など、合計で「約16億円」の出費が見込まれるが故、そこを賄うべく「各方面から協賛を募る」などの資金繰りがなされました。

こうした大規模イベントを頻繁に行なう事は難しいながら、事前に、ある程度の来場者や収益が見通せるなど計画性が見込めれば、今後も定期的に打てる企画はある筈で、菓子博で得られた、経験、教訓を未来へ反映させなければ、この度の博覧会は「一過性の花火」で終わってしまいます。

顧みれば、今回の菓子博では、都心に位置するファミリープールに「子供達が集っては遊べるフワフワ・ドーム」を幾つも設置すれば、他にも売店が軒を並べるなど「会場の一部」として有効活用され、沢山の家族連れに大変喜ばれるスペースとなりました。

都心の一等地にありながら「夏の2ヵ月間」しか限定利用されていない場所を、普段であれば閉園期間にゲートを開き、新たな交流の場へとアレンジして活用したのです。

何故、こうした「やろうと思えば実際に出来る」取り組みが、今日まで、行なわれて来なかったのでしょうか?

冒頭にも触れましたが、旧市民球場跡地の検討では過去にも大々的にコンペが開かれた際、民間業者からは、こと細かな事業内容や明確なるイメージパースまでも含め、ある程度の予算と時間を費やされた“26”もの提案がなされ、この中には「ファミリープールも一体的に取り入れた作品」などが幾つも存在します。

例を挙げてみれば、ファミリープールの敷地内に「健康増進施設や市場を増設する」案や「観覧車を設置するなど遊園地とする」案に「宿泊施設などを新設してはウォーターパークとする」構想まで、全て建設や運営のスキームまで熟慮されておりました。

重ねて「中央図書館に機能を集約させる」構想など、提案書の中には“今なお”ワクワクする作品が多く、こうした足跡は、都市がストックした「知的財産である」にも拘らず、近年、その扉が開けられた形跡は見られません。

物事には両面があり、今回の菓子博など、これまでの本市を“如実に”物語るモノで、例えば24日間の開催期間終了後、会場の設置と運営に約9億円も費やされながら、結局は解体されたパビリオンに、敷いては剥がされるアスファルト。

再びフェンスで囲われては、未利用地に戻った旧市民球場跡地ではありますが、都心の一等地で、これだけ非効率、不経済な取り組みもなく、もしも、後の都市開発まで念頭に置いて菓子博を開催していたらば、注ぎ込んだ資金、税金が「後世まで生きては未来へ活用され続けていた」事は、ココに言及するまでもありません。

私など、持論として「都心の求心力を高める」べく、旧市民球場跡地の活用方策にしても、緑地広場、イベント広場、芸術文化機能にサッカー複合スタジアムと、そこを天秤に掛けるのではなく、周辺エリアを含む“一体構想”としながら「全ての共存は可能である」と、かねてから訴えて参りました。

発想の転換をすれば、芸術機能やイベントホールを四方に築く、いわゆる、この度の菓子博で申せば、ココが「仮設のパビリオン」と同様の役割を果たしますが、その上部に観客席を設け、サッカー場などの広場機能を「魅力ある中庭」の感覚としてランニングさせて行く。

サッカーの興業では、菓子博の様な「多大なる事前準備」を不要として、最低限は年間に数十万人の集客が見込めれば、一定規模の博覧会やイベントを定期的に開催するにしても、菓子博での仮設の様に、多額の資金を注いで設置した後に訪れる「都度の解体作業」も不要となります。

また、スタジアムの観客席にしても、その屋根やイスを活かし、菓子博で役割を果たしたグリーンアリーナの様に、来場者や観光客、修学旅行生が昼食を採る休憩場所となり、8月6日など、強い陽射しの下、大型ビジョンを活用しながら「平和祈念式典のサブ会場」として使用すれば、その映像は「国際平和文化都市・広島」として世界へ配信される事でしょう!

重ねて、トイレやシャワー、厨房も常備されており、空調も兼ね備えていれば、セキュリティー面でも、一定期間に亘り継続される催しなど施錠で効率よく管理が行え、他にも観客席が防音壁となりて、都心部での野外コンサート開催も、既に実践済みです。

言われる緑地広場にしても、猛暑の突き刺す様な日差しの下、また、冬場の寒風、吹きすさむ折、誰も気軽に公園へ足を運ぶモノではなく、夜間の治安も含め、緑地公園の年間稼働率は決して「高い」とは言い難い事を、忘れてはなりません。

繰り返し申し上げますが、全てを融合、共存させれば、事前の集客や協賛金、ブースの出展料なども見込んで、毎月、各種の博覧会を開催する事も可能となり、都心の賑わいを刹那に終わらせるのではなく継続させて行く事は、決して壮大なる夢では無い筈です!

国内に留まらず、今後はアジアや世界までもが都市間競争の相手となる時代にあり、国際競争力を高める為にも、ココでしか生み出せない「広島らしさを徹底追求」するべきで、時にリスクは伴いますが、この勇気ある挑戦が、必ずや、この広島に人々を惹きつけます!

そこへ、「交流人口の拡大と定住人口の確保」へ向けても、本市は3大プロの1つとして広島交響楽団を擁しておりますが、クラッシック専用ホールは持ち合わせておらず、この広響は、日常の練習に「アステール・プラザの練習用ホール」などを利用している状況ですが、このキャパシティ60席の練習用ホールへも「クラシック・ファンが日常的に足を運ぶ」など、市民に愛される芸術文化の財産、これが広響でもあります。

ならば、本市の中心部には、数キロ四方に多目的ホールが林立しておりますけども、全てのホールが「多目的」であるが故、クラシック音楽を“良質の音響”で味わう事は難しいのが現実です。

しかしながら、その中でも、建設時から「クラシック音楽」の演奏などを最も考慮されているのは、平和記念公園内にある、キャパシティ1500人の「フェニックス・ホール」となりますが、実際に同ホールで長年に亘り演奏されているベテラン奏者に、実情を伺ってみました。

すると、同ホールは誕生から25年以上が経過しており、重ねて、天井も十分な高さが確保されていない為、どうしても演奏者や観客の方々が味わう音響は、最先端のクラシック専門ホールと比べ「全く別モノになってしまう」と。

本来のクラシックホールは、楽器が奏でる音が生み出す音響、また、そこに生じる残響をストレートに活かし、まさに「生音で観客へ音色を届ける」べく環境が整えられていながら、しかし、広島の幾つかのホールで演奏する際は、首都圏のサントリー・ホール等での演奏時と比べ、管楽器など「通常よりも敢えて大きな音を出すよう」演奏されるなど、そこへは明白に「無理」が生じている状況です。

現場の演奏者は「ホールまでもが一つの楽器なのである」と口にされる通り、本市は芸術文化の発展を掲げながら、こうした環境を20年来ずっと続けて来たのです。

ですから、海外から名のある交響楽団が来日され、世界最高レベルの音楽を堪能しようとも、そうした楽団は東京から大阪、そして広島をスキップして福岡へ向かわれる。

そこで「既存ストックの利活用」との観点から申せば、仙台の東北大学には、かつて創立50周年の際に建設された、キャパシティ1900人の「川内萩ホール」が存在しました。

このホールを、同大学の生誕「百周年記念事業」の一環として一般の方々も広く利用できるよう、ホールの横幅を削減しては、ステージも大編成のオーケストラが演奏できるようアレンジを施し、克つ車イスのスペースも新設されるなど、大々的な改築を行い「世界でも最高水準を誇る音響ホール」を地域に誕生させたのです。

当然、稼働率も熟慮され、クラシック専門ホールに留まらず、500インチの巨大スクリーンに、6か国語の同時通訳ブースなど「国際会議も開催できる機能を備える」時代に沿った改築であります。

もしも、フェニックス・ホールを、こうした世界最高水準の音響を堪能できるホールへと改築したならば、広島発信の「音楽」という芸術文化、世界の共通言語を通じ、人々を広島へ呼び込む事が、また、国際会議の誘致へ向け、MICE戦略の一助と成り得るかもしれません。

仙台のケースで特筆すべきは、この改築に掛かった事業費が、全て寄付金で賄われている事です。

いずれにせよ、この広島には、他都市には無い歴史と文化、育まれた土壌があり、「広島らしさ」を追求すれば、本市でも有機的に再生を果たせるエリアは幾つも存在し、この広島を「新たに世界へ向けて発信して行ける」と確信するモノであります!

過去の本市では、各所の開発や諸問題に対して採られて来た個別対策により、部分的には改善がなされても、結果的に「全体的な最適化」には繋がらず、その多くのツケを市民が負わされる結果になっていて、大事なるは、スタート地点となるマスタープランとビジョンの共有、その実現性へ向けた「戦略」です。

そこで伺いますが、今年の8月には、新たな都市計画のマスタープランが改訂されようとしておりますけども、改訂素案には、私も触れさせて頂いた様に「選択と集中」、「求心力のある都心の形成」、「集約型都市構造への転換」などの記述があり、従来の拡大基調を改め、集約的なメリハリのある都市像を目指して行くように見受けられますが、ならば本市は「都心」について、今後は具体的に、どう取り組んで行くのか? お聞かせ下さい。

最後に、都心部の開発に於いて、本市は事ある毎に「建築家・丹下健三氏」を引き合いに出されますが、丹下氏は、自らの設計の根幹に、「ヒューマンスケールからの脱出!」「紋切型である人間の尺度、その向こう側の世界」を目指されていました。

Impossible is nothing! 我々チーム広島に、不可能などありません!

未来へ向け、皆さんで一緒に「笑顔」と言う花を、この街に、いっぱい咲かせて参りましょう!