[an error occurred while processing this directive]

日記|DIARY

2009年11月23日  『報道』とは? (後編)


(前号からの続き)


では、報じられた紙面を読み比べるとします。


まずは「A紙」から。


「旧 市民球場の活用探る スポーツミーティング」


「広島のスポーツ振興や応援機運を高め、スポーツ界を活性化させようと、学生や市民でつくる広島スポーツ応援サークル『エントランス』が22日」。


「中区立町の広島国際学院大立町キャンパスで第3回広島スポーツミーティングを開いた」。


「旧広島市民球場(中区基町)の今後について、市民の関心を集めようと提案や議論が盛り上がった」。


「プレゼンテーションでは、エントランスが同球場を『スポーツを通じて平和を訴える施設に』と主張」。


「復興資料館を球場内に作り、『世界から注目を集め、戦禍からの復興に着目した珍しい展示をしたい』と提案」。


「市民団体『ALL FOR HIROSHIMA』は『原爆ドームも取り壊しが検討されていたが、市民らの声で残った。世界遺産にもなり、今は平和の象徴』と提起した」。


「ドームと球場を『戦禍復興の二つで一対の広島のシンボル』と主張し、球場保存を訴えた」。 


続いて「B紙」。



「旧球場跡地活用で学生が討論」


「広島市内の大学生が旧市民球場(中区)の跡地活用を考える討論会が22日、中区の広島国際学院大立町キャンパスであった」。


「スポーツ施設や平和の発信拠点としての活用を求める意見が出た」。


「プロ野球観戦などの学生サークル『エントランス』が主催した」。


「エントランスのメンバーが、跡地に緑地広場や折り鶴ホールなどを整備する市の計画などを説明した」。


「パネル討論には学生3人が登壇」。


「エントランス学生部長の広島修道大4年佐藤文香さん(22)は『スポーツ施設が残らないのは寂しい。スポーツを通じて平和を訴え続けていくことが重要』と指摘した」。


「NPO法人ピースビルダーズ(中区)の広島修道大3年藤本直樹さん(21)は『若者文化を発信する場にしてほしい』と求めた」。


「旧球場をテーマに自主制作映画を作った市立大4年広岡美佐子さん(23)は『市民の思い出が詰まった跡地の利用法はみんなの意見で行方が決まる。声を上げよう』と締めくくった」。


如何でしょうか?


いずれも同じ現場を記事にしながら、社が違うと、ココまでの「違い」が発生する。


返す返す、今回の会合で最も多く登場した“キーワード”は「球場の保存」でした。


「復興の象徴である球場を解体すること無く、地域の活性化や平和発信の為に有効活用しよう」と。


しかし、一方の紙面では「保存」なり「解体の是非」に関する「一語」すら、活字として登場しない。


うがった見方をすれば、エントランスが「現在の市の計画案を最終結論とし、それを丁寧に説明した」かの様に報じられています。


そもそも、市の計画案に対して市民より異論が噴出しているので、「ならば若者も積極的に考えよう」と催された会合。


こうして、事実が「歪曲」とまで言えないまでも、主観でなく「気遣い」が加えられた後に発信されている事実。


何も、今回だけではありませんが。


新聞媒体は、インターネットの急速的な普及や広告の減少で、購読者が激減しているのは誰もが周知。


記事に広告チラシは、ワンクリックで読める時代。迅速で、場所も取らなければ、毎月の購読料も不要です。


それは、若年層へ向かうに連れ、顕著たるモノ。


正式な発行部数とて、「落ちている現実」は広告収入等の営業面にも響きますので、公表し難く。


そんな最中、大きなイベントは打つ、広告は打つ、何より莫大な資金(税金)を懐に抱えている市政は「大クライアント」であり。


そこが押し進める事に、例え「報道」と言う名目はあれ「異を唱え辛い」のは地方紙の宿命。


至上命題は「真実は曲げずに社の存続」で、「気遣い」は必須です。


でも、「ジャーナリズム」って何なのか?


私は、昨日の会合を、こう締めました。


「本日は、ご多忙中、報道機関の方が取材に駆けつけ下さいました。誠に有り難うございます」。


「ただ、報道や情報とは急速に消費されるモノで、この会合の記事も、明後日まで憶えている人々が、どれ程いらっしゃる事か?」


「それ故、報道の方々は現場リポートのみでなく、例えば市の現行案、また学生達が提案したアイデアならば、どれだけのメリットやデメリットがあるのか等々」。


「多角的な提案や問題提起を“継続して”行なって頂きたい」。


「反権力とまで行かずとも、常に弱者の味方であり、市民の生活向上に寄与して下さい」と。


ちなみに本文で、「記者」でなく「社によって記事が違う」としたのは、いくら現場が試みても、デスクから「NO」と言われれば、そこで終わってしまうから。


まあ私ならば、そこで絶対に戦いますけども。


己を偽る以上に、「真実の報道」精神は裏切れないでしょう。

過去の日記

インフォメーション

石橋りゅうじ 議会棟控室

Tel.(082)504-2442

スマホ版サイトは以下のQRコードから。