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石橋りゅうじ 議会棟控室

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2018年12月 議会 一般質問

はじめに本市における「都心部の再開発」について伺って参ります。
本市では、都心部に位置する「紙屋町・八丁堀地区」に於いて、更なる民間開発を誘発、また促進すべく、これまで県や商工会議所と共に継続して内閣府へ申し出を行っては、先の10月、同エリアが「都市再生緊急整備地域」に指定される運びとなりました。

ここへ付随して、本市では地権者や民間事業者へ向けて、この度の指定エリア内における容積率の緩和や税制面での優遇、認可手続きの期間短縮など、各種の「説明や相談にのる窓口」を新たに設置しては、現在、更なる民間開発の促進に取り組まれています。

そこで改めて、紙屋町・八丁堀地区の現状に目を向けみますと、林立するビルやマンションなどの建築物にせよ、戦後の復興期から高度経済成長期に掛けて建築された、つまりは「旧耐震基準」の建物が半数以上を占めている通り、都心部の老朽化した建物の更新やエリアの再編は、これまで「活況を持って進んで来た」とは言い難い状況にありました。

いずれにせよ、昨今、頻発する直下型地震などの自然災害に言及するまでもなく「都心部の再開発」は、市民の安全を守り、かつ「都心部の高度利用化を図る」上でも喫緊の課題であり、国の指定により生じる様々なメリットに留まらず、そこを補完すべく、今後も、あらゆる手法を用いては、都心部の再編、再開発を速やかに進めて行くべきかと存じます。

そこで先ずは、他都市の事例として、約15年前「都市再生緊急整備地域」に指定されては取り組む岡山市に目を向けて参りますが、人口「約72万人」を擁する岡山市では、目指すべき将来像に「中四国をリードし、活力と創造性の溢れる交流都市」を掲げ、近年でもJR岡山駅を中心に、老朽化した建築物や時代に取り残された地域を、組合施行をはじめ、官民協力の下で12もの市街地再開発事業を完了させるなど、ひと際、都心の高度利用化を図って参りました。

また、現在も進行中の事業、更に今後、計画、検討されているエリアを含めると、その数は20以上にも及び、明白に変貌を遂げる都市の表情、そのスピード感には目を見張るモノがあります。

こうした背景には「確固たる裏付け」が存在しており、まず岡山市の場合は、かねてより「市街地再開発事業等促進助成金」制度が整えられ、「優良建築物等整備事業」や「街並みデザイン推進事業」などの調査、設計、計画に要する経費や、土地整備に要する経費などを助成する体制が確立されています。

無論、国にも同様のメニューは存在いたしますが、岡山市は独自に制度を設け、殊更、民間企業や地域住民へ対して「手厚く」助成をされており、時に「民間所有物」への補助金支出に対しては、慎重論や反対論も散見される中、市街地の開発を進めれば「多方面に亘り公共性にも寄与する」事実を、長年に渡る行政の取り組みにより実証し、その実績をもって「市民の反対感情」が生じ難い土壌を築かれている点もポイントとして挙げられます。

重ねて、民間施工の再開発事業にせよ、ここへ「行政が積極的に関与する」事により、関係者の信頼と安心、何よりも「保障」が得られ、その後ろ盾を基に、更なる投資が集まっては、事業自体が飛躍的に推進力を得て、完成へと漕ぎ着けており、つまりは、従前より「事業収支の見通し」を付けるに当たっても、行政が多大なる役割を果たしている事を忘れてはなりません。

勿論、この様に市街地再開発事業の推進へ、当該の自治体が制度を設け、補助するケースでは応分に「当初の持ち出し」が必要となりますが、岡山市の先行事例が「如実に物語る」通り、結果的には床の増えた増床分や、都市の高度利用化が進むに当たって路線価など、資産価値も高まる「固定資産税の増収」などにより、一定期間を経た後、十分にペイされており、その際に用いる「起債」にせよ、後に交付税措置で、一定額は戻って来る事が見込まれます。

しかも、市街地再開発事業の場合、その新たなる開発によって、必ずや一定の「公共施設やオープンスペース」を設けなければなりませんので、必然的に市民や観光客が憩える公園の様な機能が都心部の各所へ誕生する事にも繋がり、先述した通り、指定を受けた地域“以外の方々の暮らし”にも寄与する事は強調するまでもありません。

そして「再開発」と言えば、どうしても大規模な変化に人々の目は「奪われがち」になりますが、我々が注視しなければならないのは、都心部に居住する、住民の置かれている「現状」であり、今現在も、都心部に現存する老朽化の進むビルやマンションでは、各所で水漏れ、ひび割れ、時代にそぐわない共有スペースなど、数々の問題が表面化しては、ビルのオーナーやマンションの管理組合でも、日々、その対応に追われています。

しかしながら、当事者の方々も、リフォームで対応すべきか、全面的な大改修に及ぶのか、根本的に建替えるべきか、それとも周辺も巻き込んで、エリアの再開発を図るのか、ここらの検討にも、当然ながら専門的な視点に相応の事前調査も必要であり、住民の方々も、なかなか方向性を見出せず、将来への不安が払拭できない状態にあります。

ここに改めて、本市に住まうビルのオーナーやマンション住民が遭遇している現状、抱えていらっしゃる不安へ親身に耳を傾けては、早急に対処すべきかと存じますし、岡山市のみならず、名古屋市や長崎市など、数々の他都市では「優良建築物等整備事業」を進めるなど、行政側からも積極的に資金面でのサポートを実施しており、つまりは、この度の指定により「民間開発を促進」するにせよ、良い意味で行政は民間を、民間は行政を利用して、双方「協働しての街づくり」を可及的速やかに推し進め、また完遂させる事が肝要ではないでしょうか。

そこで伺いますが、「都市再生緊急整備地域」の指定後、本市の相談窓口には複数の問い合わせが寄せられ、また同指定を受けたエリア内では、既に幾つかの市街地再開発事業が組合施行により計画され、準備組合も設立されているとも耳にしておりますが、これらの事業計画は、今後、本市の積極的な関与によって「スピード感を持って展開されて行く」と捉えて良いのか、この辺りに関する施政方針を、お聞かせ下さい。

そして、これまでを総括し、市街地再開発事業の推進へ向けては、窓口で相談を受けては回答を示す「受動的」な支援のみならず、本市としては、全庁的に渡って民間へコミットして行く「能動的」な組織、体制づくり、また「優良建築物等整備事業」へのテコ入れなど、新たな制度設計、その運用も必須になって来るかと存じますが、ここに本市のご所見を、お聞かせ下さい。

続いて「防災、減災の街づくり」について、伺います。
本市をはじめ、各地へ甚大なる被害を及ぼした西日本豪雨災害から約5カ月が経過し、顧みれば、近年も本市では数々の自然災害に見舞われ、都度、その教訓を活かしては、更なる防災、減災の街づくりを進めて来た訳ですが、都市や人々の生活に影響を及ぼす豪雨や台風は、規模、頻度ともに年々増大する傾向が顕著に表れており、この度の豪雨でも、残念ながら多くの方々が亡くなられました。

更には、この中四国や九州地方に集中する、真砂土による「崩壊の起き易い地質」にせよ、国でも、こうしたエリアを「特殊土壌地帯」に指定しては、過去60年以上にも亘り対策を打って参りましたが、今回の豪雨では、従来「土砂災害の起こり難いとされて来た流紋岩の地盤」でも、大規模な崩壊が発生するなど、ひとたび“一定量の豪雨”が国土へ降り注がれた際には、もはや地質や地形を問わず、如何なる地域でも被害の及ぶ事実を、我々は改めて、思い知らされる事になりました。

声高に言い募るまでもなく、いつ何時、大規模な自然災害が我々の身に降り掛かって来るかも知れぬ現在にあり、この度の災害を顧みて、一つ大きく表面化した問題に、避難勧告や避難指示、各種の警報が各機関から発信されても、それが「迅速なる住民の避難行動に繋がらない点」が挙げられます。

そんな中、個別の集落にスポットを当ててみますと、住民、約900人が暮らす愛媛県大洲市の三善地区では、ほぼ全ての世帯が水没しながらも、平素より個々の氏名や連絡先、身体における留意事項などを明記した「災害避難カード」を作成しては、またエリア毎の危険個所や避難経路に、単独で避難が出来ない高齢者などの情報まで盛り込まれたハザードマップならぬ「非難マップ」を作成し、一人の怪我人も出さなかった地域がありました。

他方、県内でも、安佐北区可部東の「新建団地」の様に、平素から自治会が豪雨災害を想定し、自分達で雨量計を設置、地域住民で共有できるHPに10分毎の雨量情報を流しては、また住民へ「QRコード付きの個人カード」を配布した後、人々の位置情報などを把握する「安否確認システム」を導入、早めの避難を促し、まさに「地域で地域を守る共助」を確立され、大きな人的被害を出さなかった地区も存在いたします。

しかし、先の西日本豪雨の際は、本市でも「約27万人」を対象に避難指示を出し、結果的に指定された場所へ避難されたのは全体の「3.4%」ほどに留まり、この人命にも密接に係わって来る難題に対して、行政や住民の方々も答えを導き出すべく、検証を進め、取り組みや体制を強化している最中ですが、現在も明確なる「解決策」が見出せないのが実情です。

そう言った意味では、例えば現在、本市が作成を支援する「わがまち防災マップ」は、成果物となるマップの効果のみならず、マップの作成をキッカケに人々が集い、互いに結ばれ、必然的に意識が高まる事からも、現に一定の効力を発揮しておりますが、ここを「更なる避難行動へ結び付ける」にあたり「何が最も必要か」私見を述べますと、やはり災害の危険性を肌身で感じ取る「リアリティ」ではないでしょうか。

手前味噌で誠に恐縮ながら、私は定期的に森林整備で山へ入り、その際に、手入れが行き届かず痩せ細って浮き上がる木の根、陽の光が差し込む事なく雑草や腐葉土すら見られず、剥き出しとなった山肌。
山々へ降り注いだ雨水が、徐々に集まり流れて来るであろう谷筋、この辺りを実際に見て回る機会を重ねているので「大雨が降ると脆弱な山は危険であり早めの避難が必要である」「山の地形を踏まえ、避難経路は、ここを選択すべき」など実感の伴うリアルな感覚を平素から抱いており、これは「専門的な知識を有する」云々を問いません。

勿論、誰もが簡単に森林や急傾斜地に足を運べるモノではなく、また住民全員に「そうすべき」との極端な話ではありませんが、「土石流の辿り着く」市街地、つまりは「川下」ばかりに囚われず、その発生源となる「川上」のエリアにこそ目を向けるべきで、そこを知る人物が地域に何人かいらっしゃるだけでも、避難時の状況と切迫感は確実に変わって参ります。

そこで伺いますが、この辺りを、わがまち防災マップの作成時や防災リーダーの育成時、更には各種の避難訓練など、今後「市民の防災力向上への取組」を推進されるにあたり、是非とも考慮、導入して頂きたいと存じますが、本市のご所見を、お聞かせ下さい。

続いて、砂防ダムのみならず「緑のダム」を形成すべく森林整備についても伺いますが、近年、全国各地で発生した豪雨災害が物語る通り、この夏の「蓄積型」とも呼ばれる、まとまった長雨や「100年に1度」とも言われる豪雨が山々へ降り注がれた際は、如何なる整備を施した森林にせよ、その崩壊は免れません。

しかし、8.20豪雨災害の原因にせよ、専門家の分析によると発災時の降雨量に留まらず、その前段、数カ月間にも亘る「森林が涵養する水分との関係性」なども挙げられている通り、平素より行き届いた森林整備によって「岩盤を取り巻く土壌」までも健全に整える事で、山々の崩壊を軽減できる可能性は、かねてより提唱されており、ここらを国家規模で改めて着手すべく、本年5月に国会で「森林経営管理法」が可決、成立し、新年度よりスタート致します。

この法律は、森林所有者の高齢化や所有者自体の不明など、これまで諸課題を抱え、手つかずとなっていた森林の整備や適切な管理を、単に「森林所有者のみ」に担わせるのではなく、地元の市町村や意欲と能力のある林業関係者に委ねては「現状の打開を図ろう」と、この度、制定されたモノで、ここへ充てる財源としても、新たに創設された森林環境譲与税(仮称)が31年度から、森林環境税(仮称)が36年度から施行される運びとなっております。

しかし一方では、この法施行に伴い、これまでの間引く「間伐」とは違い、木々を「とにかくお金に」と、伐採量だけを重視した広範囲にも及ぶ主伐が横行する恐れも既に懸念されており、単に「伐る」に留まらず、健全なる森林を持続的に担保すべく、新たに木々を植える「植林」の重要性も欠かせません。

そこで伺いますが、今回の森林経営管理法の施行に伴い、全国的にも林業に詳しい実務者が減っている各市町村へ、今後、森林管理の更なる権限が託される事となり、その熱量と力量が、あからさまに問われて参りますが、本市としても新たな財源収入が継続的に見込めるにあたり、現在、如何なる準備を進めながら、今後、如何なる展開を考えていらっしゃるのか、お聞かせ下さい。

重ねて、県と同様に、まずは出口を確保、確立する上でも、県産材の使用を「より一層」促進させる取り組みを後押ししては、例えば県産材を使用した「木造の保育園を新設」するなど、本市としても、人々の耳目を集めるロールモデルが必要かと切に感じるのですが、本市のご所見を、お聞かせ下さい。

続いて「核兵器廃絶」へ向けた本市の取り組みについて伺います。
本市では、原爆の投下による惨禍、その実相を知る都市として、今日まで「核兵器廃絶」へ向けて取り組んで参りましたが、近年、ここを取り巻く世界情勢に目を向ければ、まずは大きな潮目として、昨年の7月に国連で「核兵器禁止条約」が採択され、現在では既に多くの国や地域が署名を終え、同条約の発効に必要な50の国や地域の批准も、「来年の後半には達するであろう」と言われています。

しかしながら、現時点で賛同を示し、批准している所は「核兵器を持たない国や地域」ばかりであり、ひとたび核兵器禁止条約が発効されたとしても、そこへ二の足を踏む国連安保理の常任理事国をはじめ、核兵器を保有する国や核の傘に依存する国々を、これより「如何に法的拘束力で囲い、実効性を伴わせるのか」は、依然、不透明のままで予断を許さない状況です。

また、核保有国にせよ、米国は昨年の12月に臨界前核実験を行い、今年の2月には小型の核開発などを盛り込んだ新たな核戦略指針「NPR」を公表、更に先の10月末には、トランプ大統領が中距離核戦力全廃条約「INF」からの離脱を表明するなど、2021年に期限を迎えるにあたり、米国とロシアの間で延長交渉に臨む方向で進んでいた「新戦略兵器削減条約」の更新も危ぶまれております。

こうした状況下、本市では平和首長会議とも相まって、核兵器禁止条約の締結へ向け、国へ要望書を提出されては、何より2003年に策定した核兵器廃絶の為の緊急行動「2020ビジョン」の実現に継続して努めている訳ですが、そんな最中、広島県では厳しい現実を見据え「核兵器の無い世界の実現」、その目標年度を、新たに被爆から100年の「2045年に据える」方向性も浮上して参りました。

勿論、県も先ずは「2020年までの達成を目指す」との事ですが、人類の頭上に投下される「3発目の核爆弾」を防いで来たのは、間違いなく被爆者の方々のご尽力とご功績であり、今後、目標年度として「2045年」が色濃くなるのであれば「後の人々が生き地獄を体験しないよう、生きている間に何としても核兵器の無い世界を実現したい」と懸命に取り組まれて来た被爆者の方々は、如何なる心情を覚えられるのでしょうか。

米国にロシア、中国が繰り広げる、加熱する軍拡競争に、欧州の核保有国も「核兵器を巡る現状は、合法的で安全である」とも述べられる様に、こうした情勢下「2020年」の目標達成が厳しいのは現実ですが、何としても被爆者の方々がご存命の間に「核兵器廃絶の道筋を示し、最終的な実現に漕ぎ着ける」、この決意を改めて本市は、世界へ示すべきではないでしょうか。

掲げた目標の達成へ至るプロセス、その段階であっても、最終的な実現に勝るとも劣らない「生きる原動力」、その「希望」を人々へ届けるのが為政者の役割でもあり、そこで伺います。
本市は、この広島県が打ち出さんとされる「2045年」を核兵器廃絶の目標年とする事を如何に捉え、また2020ビジョン、その後についても、県と同様、現時点で如何に考え、今後、取り組んで行くおつもりなのか、お聞かせ下さい。

また、核兵器禁止条約が発効された暁には、その後、1年以内に「締約国会議」が、更に発効から5年後には「再検討会議」が開催されて参りますが、日本国のみならず、核保有国や核の傘に依存する国々が、こうした会議に参画し、発言、提言に至るまで積極的に関与する為には「本市が担う重要な役割」もあるかと存じますが、如何にお考えなのか、重ねて、お聞かせ下さい。

続いて「スポーツを通じた街づくり」について伺います。
最初にスタジアムの建設へも密接に関わる「今季のサンフレッチェ広島」を振り返れば、昨年度の残留争いから一転、優勝争いを繰り広げるなど、最終的には準優勝を飾ったのですが、他方、今シーズンの最も印象的なシーンとしては、広島と長崎を本拠地とするクラブの初対戦、冠として掲げられた「ピースマッチ」が挙げられます。

まず、サンフレッチェが4月に長崎へ出向いた試合では、会場でも広島の選手やサポーターが万雷の温かい拍手で迎えられ、また平和の祈りを込めた無数の風船が大空へ放たれては、長崎のサポーター席より「互いの都市から平和を希求して行こう」との横断幕まで掲げられました。

更に8月、Vファーレン長崎を広島に迎えたホームゲームでは、試合前に両都市から平和大使として選ばれた高校生が、双方の平和記念式典で使用される「平和の鐘」のレプリカをピッチ上で寄贈し合い、また両都市の市長が立ち合いの下、「若い力で広島・長崎の地から平和の心の発信に努めて」行くと、学生による共同の「平和宣言」も行われるなど、このピースマッチは全国的にも話題を集め、多くの感動を呼びました。

そして、今季のサンフレッチェがスポーツ界のみならず「本市に新たな変化」を及ぼしたのが、タイの英雄、ティーラシン選手の獲得が物語る通り、現在、Jリーグ全体でも力を入れ、進めている「アジア戦略」です。

近年、インド、タイ、ベトナム、インドネシアなど、アジア各国のサッカーリーグは軒並み拡大の一途を辿っており、若年人口が多く、所得水準も右肩上がりの経済を背景に、東南アジアをはじめ、アジアのサッカーマーケットは、今後も「更なる急成長を遂げるであろう」と言われています。

この辺りの趨勢を踏まえ、これまで「国内マーケット」のみを対象に成長して来たJリーグでは、新たに「日本へアジア中のスター選手が集まり、そのゲームをアジア中のファンが観戦できる状況」を目指す中長期的ビジョンを掲げ、2012年にアジア戦略室を創設、グローバル戦略をスタートさせました。

そして、サンフレッチェの事例では、ティーラシンの加入により、今季の地元開幕戦など、スタンドにはタイの国旗が溢れ返り、現地で、この試合に立ち合われたタイ国の総領事は「日本で、これだけのタイ国旗が振られる光景を目にしたのは初めてであり、大いに感動した」と、こうしたスポーツを通じて生まれた交流を契機に、今ではタイの首脳がサンフレッチェや広島市、更にはタイに進出した日本企業へ対しても多大なる理解を示し、観光をはじめ、様々な面でバックアップして下さっております。

私も長年に亘りサンフレッチェの試合を観戦しておりますが、これほど多くの外国人を試合会場で目にするのは過去に例がなく、その副次的効果として、平和祈念公園でもユニフォームを着用した外国人が多く見られる様になるなど、世界の為政者に留まらず、世界中から一人でも多くの方々に、
この広島市へ訪れて欲しいならば「本市だからこそ有する資産」とも呼べる、各スポーツクラブ、スポーツ文化を、率先して、フル活用すべきかと存じます。

そこで、地域の抱えるスポーツを最大限に活用しては、観光客や交流人口の促進を図るなど、この様な都市戦略を明確に打ち出し、組織化しては実際に機能させているのが「スポーツコミッション」です。

現在、北は北海道から南は九州、沖縄まで、全国で既に約100団体のスポーツコミッションが結成され、例えば様々なスポーツキャンプの誘致とリゾート地を絡めた地域戦略を打つ宮崎県などは有名なところですが、国では、掲げる「第2期スポーツ基本計画」に則って、2021年度末までに更なる団体の設立、拡大を目指しており、今後も各地での動きが活発化して行くモノと推察されます。

また、お隣の岡山県でも、国内外からの大会や合宿の誘致、開催支援、県内に拠点を置くクラブの観客動員にも取り組むなど「スポーツを全面的に打ち出し、都市を活性化させて行こう」と、商工会議所、経済同友会、県体育協会、大学、観光連盟、行政に、各報道機関までも集う16団体で連携の上、今年の6月に「岡山スポーツプロモーション機構」を発足させ、現在も、この団体の手でスポーツコミッションを設立すべく、準備委員会を立ち上げては熱心に取り組まれております。

この様に、他都市が着実に「スポーツでの地域活性化」を図る中、本市でも、今年は旧市民球場跡地で開催されたフィセをはじめ、国際的なテニス大会にフィギュアスケート競技大会、ヨットのハンザクラス・ワールド大会まで、大規模なスポーツ大会の誘致、開催へ漕ぎ着け、そこへの尽力には心から敬意を表しますが、引き続き、国内でも突出した「真のスポーツ王国広島」を目指して、今後も、プロにアマチュア、大会の大小を問わず、更なる上積みを目指して行くべきかと存じます。

補足までに、近年の自治体でも、沖縄県の「文化観光スポーツ部」や秋田県などの「観光文化スポーツ部」の様に「文化と観光にスポーツ機能を絡める組織」への再編が行われ、本場とも言える欧米でも、スポーツイベントの招致へ専門的に取り組む行政組織が非常に活発であり、年間で百数十にも上るスポーツイベントを誘致しては「エリア内での宿泊数」を飛躍的に伸ばす実績も重ねております。

こうしたスポーツ大会の誘致やスポーツツーリズムにより派生する「地元への宿泊数や消費額の増加は通常の観光よりも数倍に及ぶ」などの統計は勿論の事、まずは広島へお越し頂き、未来のリピーターや広島の宣伝マンにまで成って頂く上でも、また地元市民の方々が、スポーツを「やる」「観る」環境を更に整備する上でも、思い立つ日を吉日に、産学官と連携を図りながら「体制づくり」の地ならしを進めては「スポーツコミッション」の設立、ここを切望するのですが、本市としては如何お考なのか、お聞かせ下さい。

話をスタジアムへと移せば、現在、躍進する広島カープにせよ、あの万年Bクラスの不遇の時代に夢の器が誕生しては、その後、都市へもたらした一体感に感動たるや何物にも代え難く、近年では「少しでもカープの傍に居たい」「カープのある街で暮らしたい」と、広島へ転居される方々も現れて下さる域に達しております。

一般論ながら、郷土愛が深く、地域への愛着が高い人ほど「町内会の活動や街づくりのアクティビティにも熱心に取り組んで下さる」傾向がある通り、スポーツの持つ力、その可能性は無限に広がり「広島市へのサッカースタジアム誕生」は、必ずや、その一助に成り得るモノです。

市政に携わる職員や、議会を構成する議員にせよ、いつかは、この街づくりの中枢より身を引く事になりますが、この有限なる時間の中で、我々は後生に何を築き、残せるのか?

それは、政治に携わり取り組んだ結果により「この街に生まれ良かった」「この街で暮らして良かった」、そして「この街を更に良くして行きたい」と受け継いで下さる、こうした「市民」を、僭越ながら「一人でも多く誕生させる」事が、我々の使命ではないでしょうか。

そこで、最後の質問となりますが、端的に伺います。
先に市長選への出馬を表明された市長は「選挙公約」として、サッカースタジアムを、いつ、どうされるおつもりなのか、ここに、お聞かせ下さい。

私の一般質問は以上となります。
ご清聴、誠に有り難うございました。