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石橋りゅうじ 議会棟控室

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2016年3月 予算特別委員会 経済観光環境

先ずは、この度、新規事業としてご提案されている「魅力ある里山づくり」について伺って参りますが、改めて冒頭に、本市の現状について再確認しておきたいと存じます。
広島市は、市域面積の約67%が森林であり、この内の約4割が、人々の手を施しては維持管理を行なわなければならない「人工林」で、ご存知の通り、政令市の中でも、高い森林面積、森林率、人工林率を誇っております。
また、森林が有する、木材やバイオマス資源など林産物の供給、水資源の涵養、地球温暖化の防止機能、土砂災害の防止から、市民の皆様へレクリエーション機会を提供するなど、その有形無形なる効能は殊さら強調するまでもないのですが、我が国の国土面積における73%が里山などから構成される中山間地域である事を鑑みても、後手に回る里山等の整備については、本市が抱える喫緊の課題でもあります。
そうした中でも、内包される大きな諸問題を二つ挙げさせて頂けば、一つは、戦中、戦後に復興資材として、並びに高度経済成長期の木材需要に応えるべく、過去には大々的に皆伐が展開され、多くの山々が荒れ果ててしまい、その対応策として徹底的に植林が進められた時代でもあるのですが、当時、植えられた木々が、現在は50年〜60年と経過して「最も木材として活用されるべき時期」を迎えております。
こうした木々の樹齢は、人間と同様、まさに「団塊世代の世代」とも言い換えられ、この最も適した樹齢を迎える木々を、そして、今後はドイツの様に80年〜100年が経過しては、高価な木材として活躍するであろう木々が、林業従事者の高齢化や人手不足により、伐採、製品化が一向に進まない問題が表面化しています。
そこへ並行して、仮に樹齢、林齢のボリュームゾーンを占める木々を伐採できたとしても、まさに「森林の少子高齢化」とも呼べる、後の世代の若い木々、いわゆる「植林が一向に進んでいない」現況があり、着手が1日遅れれば、それだけ改善への道程は遅れてしまう。
現在、植えられた木々の恩恵を受けるのは、我々の子供達、そして孫達の世代であり、今に生きる我々が、今こそ能動的にアクションを起こして行かなければなりません。
そこで、この度、本市では新規事業として「中山間地域“自伐”林業モデル事業」に263万円、「半林半X 移住者支援事業」に27万1千円の予算案を提示されており、改めてここに伺いますが、本市が如何なる趣意を持って「自伐」の部分に着手、そこへ力を注ごうとしているのか、お聞かせ下さい。

※行政側 答弁

林業の場合は、農業と違い、山の所有者の殆どが伐採や維持管理を専門家や森林組合に「委託」しますので、必然的に外注する諸経費が必要となりますが、昨今は材価の低下等により、例えば、1ヘクタールの森林を整備したとしても、 所有者が得られるお金は50万円ほどで、しかも、伐り出した後は、それが個人の所有する山々であろうと公共性は生じますので、次世代へ向けて「植林」する必要性もあり、その諸経費には約100万円を要するなど、管理、手入れをすれば、する程に採算が合わない「負のサイクル」へ陥ってしまいます。
ここを解決するに当たっては、現在、国策でも掲げられている通り、木材需要を喚起させて材価を上げれば「林業が抱える諸問題は解決へ向かう」と林業従事者は口にされておりますけども、そこが一足飛びに進展しない折、「木材を如何に低コストで伐り出し、如何に低コストで搬出ができるか」との自伐型林業に注力するは、各国のトレンドにもなっておりますが、いずれにせよ「里山を整備したい」「林業に従事したい」「山々を守って行きたい」等、意識の高い若者は国内でも増加傾向にあれ、実情として、若者は「自らの山」を持っていません。
広島市の森林における「所有」形態に目を移せば、個人有林が「67%」、会社等の保有が「14%」、国有林が「8%」の 市有等が「7%」で県有等「3%」と、ある程度、融通が利いて整備に入られる山々は、市有のわずか「7%ほど」となりますけども、ここで他都市の先進事例をご紹介したいと存じます。
取り上げるのは、鳥取県の智頭町になりますが、こちらは街の面積の93%が森林であるなど、山々とは切っても切れない関係性のある自治体で、こちらの町が何を展開しているかと申しますと、先ず民間は、林業従事者や林業に関心を持って智頭町へ移住して来た20代〜40代の若者10人ほどで「智頭ノ森ノ学ビ舎」と言う団体を結成いたしました。
次に行政は、町有林の整備、管理を同団体に無償で委託しており、その結果、行政は町有林の維持管理経費が不要となり、森林は若者に整備され、人材が集まっては経験を積み、若者団体の伐り出した木材は、団体「自らへの収入に充てられる」など、森林整備、若者の地域定着、林業の人材育成に多大なる貢献、好循環を生み出しております。
本市でも「参考にするべき」と存じますが、本市での実現性は如何でしょうか?

※行政側 答弁

私は、本市の所有する森林を「すぐに民間に委託しろ」と拙速な提言をしているのではなく、それはそれで森林組合さんなどの民業圧迫へ繋がってしまいますが、しかし、個人所有の山々も、現在は所有者が高齢化してしまい「たとえ自らへの収入に繋がらずとも整備をして欲しい」方々は沢山いらっしゃるのが現状で、「そうした方々を一定数は募り、智頭町の様な取り組みを用いる事も出来るのではないか」と提言するものです。
また、森林整備を進めるに当たり、何よりも大きな問題は、個人所有の割合が最も高い本市の森林状況にあって、意欲ある若者やボランティア団体が、街に隣接した里山をはじめ山々の整備を進めようとも、一方で、山の所有者が「公共財の山を手入れしなければ」と感じても、隣の所有者との「境界線」が分からなくなっていて、容易に山へ立ち入れない事です。
そもそも「所有者自体が分からない」ケースも非常に多く、例えば、北広島町や安芸高田市などは過去の国土調査等により、ある程度「境界線」の確認、確立が進められており、本市でも合併前に進めていた湯来町が唯一の例外であれ、こうした境界線の明確化が進んでいるのですが、総じて本市における所有者の区分、境界線を明確化する「公図」の現状は、どうなっているのでしょうか?

※行政側 答弁

今日までも、山々がキチンと相続されず、所有者が不明であったり、境界線が有耶無耶のまま、当該の所有者が他都市へ転居されたりと、ここを明確化するには、相応の時間と費用、労力が必須となりますが、この大きな課題を先延ばしにすれば、本市は所有者不明の土地を安易に受け入れられないので、自明として、本市には今後「永遠に立ち入れない山々」が急増する事となります。
つきましては、自伐林業に注力する事は、非常に賛同するところではありますが、幾つか提言させて頂くとして、まずは民間とも連携を図り、国からの交付金制度などもありますので、兎にも角にも「境界の明確化」を直近の課題と捉え、本市としても強く推進して頂くこと。
また、森林整備を進めたい山の所有者と、そこへ着手したい意欲ある市民を繋ぐコーディネーター役が現在は確立されておらず、そこは、やはり区役所の担当にもなりますので、橋渡し役となる「区役所機能の強化」を図ること。
次に、若い頃から山々に触れ合っておくと、必然的に成長過程での問題意識にも変化が見られるでしょうから、「子供達が自然と触れ合える機会の創出」に努めること。
そして、現在も賛否は渦巻いておりますが、今後、TPP関連が進んで来る国際情勢を鑑みれば、経済が不活発になりつつも、未だ中国や韓国の木材需要は高く、相応に木材が輸出されている現状を捉え「更なるマーケットの確立」へ向けて、本市も諸外国への販路拡大へ取り組むべきかと存じます。
この辺りを強く要望して、魅力ある里山づくりへの質問は以上とさせて頂きます。

続いて、恵下埋立地について伺いますが、こちらの事業に関しましては、H13年度から新規埋立地の選定作業に着手しては、H18年度に恵下地区を最優先候補地として選定し、H20年度には恵下地区を新規埋立地として決定、そしてH27年度末を迎え、現在は、新年度より造成工事、下水管布設工事等を待つばかりの状況になっております。
確かに、この事業は相応の年月とプロセスを経て今日を迎えているのですが、建設合意を含め、賛同、推進者がいらっしゃる一方で、当該地権者など地元有志の方々や子育て世代の地域住民団体、また市域全域にまたがる若い世代を中心とする団体などから、事業の推進にあたり「切に市民の声へ耳を傾けて頂きたい」とのご要望が発せられ、多くの請願や陳情が寄せられている現況。
私なども、例えばこの1カ月間は、何十人もの方々からフェイス・トゥ・フェイスでご意見を伺ってまいりましたので、これより、その声を幾つかご紹介させて頂くといたします。
「安心・安全であると行政が保証する計画ならば、そこをキチンと説明して頂きたい」「先ずは何よりもここが望みです!」とのご意見や「太田川の源流に関連するなど広島市全体の問題、事業であり、市民全体に周知して頂きたい」「ビオトープ案などを盛り込んだ、他都市から視察団が訪れたり、子供達が見学できるような親和性と先端技術を有した施設にして欲しい」「農業振興地域とゴミの最終処分場が共存、共栄している、市民が誇れる場所にして頂きたい」「迷惑施設とのイメージを“180度”変えて行きたい」「この度の建設を契機に、分別や減量化等、ゴミ処理に対する理解を市民全体で深められれば」「だからこそ建設着工から、建設時、完成、供用開始、そこから未来へ至るまでプロセスを大事にしたい」等々、お分かりになる通り、声を発せられる市民や地域住民の方々は、何も「恵下地区から余所へ持って行け!」「全面反対だ!」とは、申されておりません。(未だ強く反対を示される方々もいらっしゃる事を忘れてはなりませんけども)
そこで今後は、住民と行政の相互の理解を深め、合意形成を図り、市全域の安心・安全なるゴミ行政を確立して行くに当たり、いわゆる「ボタンの掛け違い」と言われる部分を一つ一つ改善しては、相互の誤解や不信を払拭して行かなければなりませんので、はじめに伺います。
先の2月24日の常任委員会では、同案件について委員から発せられた質疑に対して、局長は「住民の方々と若干の“誤解”が生じている」と述べられましたが、この「誤解」とは、何をもって誤解と受け取られているのか、先ずはご所見をお聞かせ頂けますでしょうか?

※行政側 答弁

繰り返しとなりますが、戸山地区は農業振興地域でもあり、井戸水を飲料水や農業に用いられるなど、重ねて、工事期間や供用開始後も、運搬大型車両が田畑や学校の近くを走行するといった具合、住民の方々が最も不安視されるのは、あらゆる面での「安全」です。
そこで行政として、工事の着工後や供用開始後も、現状の報告やご意見を住民側と交換するなどの「連絡協議会」を設置するお考えはあるのでしょうか?
また、HP等を通じて、多くの市民へ向けて、広く情報発信されるお考えはあるのでしょうか?お教え下さい。

※行政側 答弁

現行の事業計画に並行して、住民の方々は「子供達が見学へ訪れたり、ゴミの最終処分場と農業振興地域が融和の図れる、地域住民が誇れるエリアにして欲しい」と切望されています。
その最適解が、何らかの施設なのか?新たに設けられるスペース、エリアなのか?イベント等の仕掛けなのか?今現在、私などは妙案を持ち合わせておりませんが、今後も、そこへの実現へ向けて、本市は柔軟性を持って取り組んで頂けますでしょう?

※行政側 答弁

この度の一件に留まらず、例えば今後、地域の防災・防犯を押し進めて行くに当たっても、あらゆる政策の展開に際しても、また自治を確立して行くにあたっても、市民の方々から自発的なご協力を得る「自助や共助」は欠かせません。
いわゆる如何なる場面に於いても、住民のご理解、ご協力は欠かせないわけで、現在、相互の不信感が募るままで、新年度に入り「最初のスコップを入れてしまう」と、更に双方の溝が深まり、後世にまで禍根を残しかねませんし、行政が「このまま進める」は、ある意味、容易であり必然であるかもしれませんが、しかし、そこまでに市民が抱えられる疑問や不信を一つでも多く払拭し、一人でも多くの方々に安心を届けるべく、あくまで表現となりますが「最初のスコップを入れるまで」に、今一度、市民、住民の方々と1回でも、1日でも多くの「説明」や「意見交換」の場を設けて頂けますでしょうか?

※行政側 答弁

私は、これまでの玖谷地区と同様に、市域全体の為に、誰かが、そこを受け入れて下さらなければならない折、色々な要望はあっても、事業自体を受け入れて下さっている戸山や水内地区の方々には、深い謝意と敬意を持っており、そうした方々が「負の感情を多く抱えたまま向こう30年以上も日々の生活を送って欲しくありません」ので、是非とも、住民の方々に寄り添って事業を進めるべく、ここに強く要望して、私の質問を以上といたします。