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2015年10月 決算特別委員会 総務

これより発言通告にあります「災害に強いまちづくりの推進」について質疑を行わせて頂きますが、はじめに、決算特別委員会とは、過去の施策や決算額を振り返り、来年度や今後へ活かして行く機会です。

裏を返せば、「直近の現状」を知れば、昨年度の取り組みの適否が見えて参りますので、先ずは伺います。

本市は、先の9月議会に於いて、災害に強いまちづくりの推進に関連した「防災まちづくり事業」の一環として、新たな施策をご提案されては、現時点で不足している取り組みの拡充を図り、補正で予算を計上されました。

改めて、先の9月議会では如何なる施策を提案されたのか、その内容を具体的に、かつ簡潔にお答え下さい。

※行政側 答弁

只今の答弁にもありました通り、直近で申せば、行政は「防災まちづくり基金」を新たに設置されては、自主防災組織へ対して「人材育成の面」で支援を行うべく、また「防災マップの作成支援」や「地域防災リーダーの育成」へ向けて、新たに着手されました。

当初予算にも盛り込めるものを、こうして補正予算として上げられては、早急に取り組もうとされたのは、言うまでも無く、自助、共助の更なる確立、支援の為でもあります。

気候変動により、年々激しい雨が都市へ降り注ぐケースは増加の一途を辿っており、それは気象データと照らし合わせても明らかです。

しかも、本市には急傾斜地崩壊危険個所や土石流危険地域が約6000箇所も存在する折、今後、如何なる地域でも「災害が起こる可能性」は存在しますが、行政として「公助」で取り組める部分には、時間を要すれば、限界もあります。

それ故に、先に触れた補正予算にあった通り、本市としても、自助や共助の拡充を喫緊に図って行かなければならないのですが、現状に目を向けて行きますと、防災について市民・県民に意識調査を行ったところ、先ずは、先の豪雨災害における被災地域の住民について、事前に自らの居住地域の危険個所を把握されていた方々は「48%」にとどまっております。

被災地域で“この数字”ですから、災害が久しく起こっていないエリアをはじめ、市民の半数以上が居住地域の危険個所等を、まだまだ把握されていない現状があり、これが県民対象調査になると更に悪化して参ります。

県内に存在する約3万2千箇所にも及ぶ、危険・警戒地域を把握し、自らの避難場所や避難経路を「事前に」確認されている方々は、約13%にとどまっている実情。

そこを打開するべく、現在も行政として、より情報の盛り込まれた新たなハザードマップの作成や、各自主防災会の方々などが、自らの足で地域を歩き、危険地域を実感しては盛り込んで行く防災マップの作成を支援されておりますが、先の北関東を襲った常総市などは、事前に全21万戸にハザードマップを配布しながら、あれだけの被害と逃げ遅れた方々が発生いたしました。

防災への取り組みには、各地域に於いて熱量の濃淡があり、ご年輩の方々や日中は家を留守にされている共働きの方々、一人暮らしの若者など、全ての人々へ「自らの居住地域の危険個所」を認知して頂いた上で、あらゆる人々に「防災意識を高めて頂く」作業は困難を極めますし、何よりも「自らの身にも災害が降り懸かる可能性が常に存在する」とのリアリティが伴うには、これまで以上に「情報発信のチャンネルを増やして行かなければなりません。

そこで、他都市の先進事例に目を向けて行くとして、福島県の郡山市のHPをご覧頂くと、動画で、3次元ハザードマップを閲覧する事が出来るのですが、過去の災害で、どの地域に、どれだけの浸水があったのか、その被害状況が一目瞭然となり、こんなにもリアルな情報発信はありません。

確かに、ここまで明確に危険エリアが把握できると「資産価値の下落」が懸念されたりと、幾つかの「不安材料」も並行して派生する事になりますが、先の豪雨災害により、土砂災害警戒区域の指定にあたって「まずは住民に説明した後に区域指定」を行うのではなく、「まずは区域指定を行い、その後に住民に説明させて頂く」と改訂された通り、やはり人々の「命」を最優先に考えるべきです。

また、先に基金を設置しては「人材の支援を行う」との話も上がりましたが、現在は「次世代の防災意識の高い人材育成」へ向け、各地で「防災教育」に力が注がれております。

呉市では、小中学校の9年間を通して学ぶ、新たな防災教育のカリキュラムを導入されますし、本市でも今月から西区の小学校の社会科で、土砂災害や復旧・復興へ向けての取り組みを学ぶ授業が始まっており、県レベルでも各高校で「ハザードマップの判読」を行うなど、今後も各自治体では更に防災教育へ注力されて行く事となります。

そこで、海を渡りアメリカに目を向けてみると、ある州の公立小学校では「三次元データ」により作成された「地形の模型」を利用した授業が全学年で実施されております。

現在、国内でも国土地理院がHPでアップされている「全国の地形3Dデータ」を持ち寄り、3Dプリンターの環境が整えば、こうした各エリアの模型が作成可能となり(参考模型を手持ちで説明)、繰り返しとなりますが、本市で先の豪雨災害で“最も被害の大きかった場所”の3Dデータを活用、そこへデータ処理、加工を施せば、「傾斜図」も作成できては、過去に災害のあった際に生じた扇状地や沖積推も判読する事が容易となります。

こうした模型は、防災教育や防災訓練にて、格好の教材となるではないでしょうか?

先程、「国土地理院が全国の3Dデータを配信されている」と申しましたが、しかし個別のエリアに限定しては重点的に測量を行ったものではありませんので、決して「精度が低い」とは言えませんが、この広島市に関しても「高精度のデータ」とは言い難い面もあります。

そんな折、千載一遇の機会と申せば大袈裟ですが、今現在、広島県では、県内各地の地形を測量して、危険地域を割り出しては、土砂災害警戒区域の指定を促進させるべく、今年の1月から二班に分かれて飛行機を飛ばしての「航空レーザ測量」を行っております。

様々な「危険個所、危険地域」が、約6000箇所も存在する広島市内でも、「中区」「南区」「安芸区」、そして「安佐北区の一部のエリア」は、既に航空レーザ測量を終えており、今後も業務を継続されては、平成30年を目途に県内全域の測量を完了させる予定です。

そこで伺いますが、この度、県が「航空レーザ測量」を実施して得られたデータは、県民税を用いての「公益財産」とも言い換えられ、本市でも、その得られたデータを今後は県と共有し、また「災害に強いまちづくり」へ向けて、活用すべきかと存じますが、本市では現在、如何お考えでしょうか?

※行政側 答弁

「県が所有するデータなので、利用可能であれば利用させて頂き、今後は、その活用方法に関しましても各部局で連携しながら研究して行きたい」との答弁でしたが、「研究を進めている間」にも、災害が本市や市民を襲ってくる可能性は常に存在し、悠長な時間はありません。

また「利用可能であれば」と言われましたが、ならば市民の税金も注ぎ、人々の命を守るべく地形の測量を行っている事に関しまして、果たして「利用できない」阻害要因が存在するのでしょうか?

「県と共有」できるんです。絶対にできる。早急に、まずはデータの共有を押し進めて頂きたい。

重ねて、ここで他都市の先進事例に目を向けると致しまして、佐賀県は有する森林の内、「人工林」が占める割合が全国でもトップレベルに高く、しかし、人工林の長期にわたる手入れ不足と、森林の持つ防災機能が低下しては、また木材の生産における「森林の現状把握」が困難を極めるにあたって、平成21年に経済対策交付金を用いては航空レーザ測量を行いました。

ただし、「測量を行ったまま」では、極端な話、従来の「航空写真の撮影業務の域」から脱しません。

何が必要となるのか?それは、得られたデータを専門的な知識とスキルを持つ業者に「情報解析」を行って頂き、更なるフィルタリング(データ処理)、加工を行っては3D化するなどして、はじめて航空レーザ測量データが活きて参ります。

では、「情報解析業務」を行えば、「災害に強い街づくりの推進」へ向け、如何なる「有意義なデータ」が作成されては、今後「如何に多方面に亘って活用できるのか?」を、これより幾つか実例を挙げて提示してみたいと存じます。

近年の土砂災害で申せば、1999年の6.29豪雨災害がありますが、今回は2010年に庄原で起きた土砂災害に目を向けるとして、航空写真のままだと、木々で隠れた地表の変化は分かりませんが、データ解析業務を施すと、隠れた部分が立体的に可視化され、先程の傾斜図と同様、容易に地形、危険個所、“今後の危険要因”の把握が可能となります。(モニター映像で説明)

こうした危険地域の把握や、その後の警戒区域の指定は、当然ながら専門的な知識と経験がある「県」が行うのですが、私が切に訴えたい事は、地域や地形の現状を「オープン・データ化」しては、市民の皆様にも自由にアクセスして頂き、リアリティを伴って「認知して頂きたい」「知って頂きたい」のです。

勿論、自然災害から身を守るには、山々からの土砂災害もあれば、海や河川の氾濫、浸水も想定しなければなりませんが、得られた測量データに、フィルタリングを掛けて、解析、加工を行えば、等高線図などより、容易に標高差の把握も可能となり、雨水の集まり易い場所、浸水の可能性が高い場所が、一般市民の方々でも判読し易くなります。

しかも、庁内で横断的に機能を発揮するべく、また「危機の発生を未然に防ぐ」事を設置目的に、本年度より新設された危機管理室ですので「防災林」の話にも繋げれば、現在は人工林の手入れ不足などにより森林の「緑のダム」としての機能低下が懸念されており、ひとたび間伐など山の整備に入ろうとしても、私有林が多い本市にあり、その所有者の境界線や「木々の生態(種類)の把握」が困難を極めているのが実情。

しかし、レーザ測量のデータを分析すれば、先に触れました佐賀県の先進事例に習う通り、木々の種類、密度を把握しては、分布図まで作成する事ができ、全国的にも問題となっている「ナラ枯れ」の状況まで把握し得ます。

重ねて、例えば、新たに砂防ダムを、橋梁を、道路を、建物を新設する計画が浮上した際も、データ上に原寸大で建築物を落とし込む事が可能となり、議会への、また住民への説明、合意形成にも役立ちます。

前述の通り、先ずは測量データにデータ処理を施し「オープン・データ化」しては、広く市民の皆様が活用できる様にすれば、「我が町の防災マップの作成支援」や「防災教育」の格好の教材に成り得る事は強調するまでもありません。

そこで最後に伺いますが、局長さんと目が合いましたので、局長に伺います。

航空レーザ測量で得られたデータを県と共有して「まずは解析業務を行い」、続いて自助・共助の一助として、新たなハザードマップ、防災マップの作成、本市や各区役所のHPへの掲載などへ絶対に取り組むべきかと存じます。

局長は、新設された危機管理室に於いて、初めて就任された局長であり、リードオフマンです。

局長が塁に出るか如何により、今後、打線が繋がって行くのかは、ある意味、局長の手腕に掛かっており、局長は今日まで、市民の生活を数々「救って来られた」かと存じますが、今後は「市民の命」を救えるのです。

局長、ここまでの話を聴かれて、如何お考えでしょうか?

※行政側 答弁

前向きな答弁を頂戴して有り難い限りですが、「災害に強いまちづくり」を推進するにあたり、言うまでも無く、その出発点であり目的地は「市民お一人お一人の生命や財産を守る事」であり、過去の災害での経験を未来へ活かしては、今後、人知の及ばぬ自然災害が必ずや発生する事は確実ですが、その訪れるであろう災害発生で、尊い命が二度と奪われぬよう、危機管理室に留まらず、庁内で横断的にデータを共有、活用しては、取り組んで頂く事を切に要望して、質疑を以上と致します。