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石橋りゅうじ 議会棟控室

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2013年 3月 予算特別委員会 総務

平成25年度当初予算「被爆体験の継承・伝承」にある、「平和記念資料館・再整備事業」に盛り込まれた4,305万9千円、並びに、内訳の「東館・改修工事」870万円について、まず、1年前の“総括質問”において、私は、この「平和記念資料館・再整備事業」について、質問をさせて頂きました。

そこで、私が何を質問したのか?改めて、内容を再現させて頂きますと、「平和記念資料館の再整備事業」、この事業目的とは、世界の恒久平和と核兵器の廃絶を目指し、先頭に立って希求、取り組む本市にあり、開館から約60年が経過して老朽化した建物の改修を行なうと共に、被爆の実相を、より分かり易く来館者へ伝える為、常設展示の全面的な更新を行なうモノと伺っております。

「また、この事業は、建物や、内部改修の基本設計などを策定した後、平成29年度の完成を目指しては概算で、施設整備費「31億8千万円」、展示整備費、「14億9千万円」、併せて「約47億円」と、7年の歳月を費やす大事業なのですが、その資料館の再整備事業にあたり、そもそも、なぜ?これだけの「大改修」が必要なのでしょうか?」と。
こう質問させて頂いたわけです。

そしたらば、大改修を施す、その確固たる「目的」(重要なコンセプト)をこう説明して下さいました。

本館は老朽化しており、耐震・補強工事などを施さなければなりませんが、大改修、大改装する最たる理由として…
資料館の観覧に際し、東館から入場された来館者が、そこで時間を取られてしまい、本来、最も目を向けて頂きたい「原爆被害が展示されている本館部分」の見学が“なおざり”となっている。

特に、修学旅行生などは時間制限もあり、本館を足早に通過する事態が起きていて「ここを何としても改善したい」と。

そして、今回、私が予算特別委員会で質疑させて頂くにあたり、事前に、担当職員さんと意見交換をさせて頂いた際も、担当職員さんは、1年前と変わらず、ブレることなく、全く同じ改修理由、改修の目的を口にされておりましたが、ここに間違いはありませんよね?

※行政側 答弁

では、今一度、現在、着々と進められている“整備・改修”の具体的な内容を振り返って参りますが、被爆の実相が「より伝わる」本館部分に観覧時間の比重をシフトさせる為、来館者が、まずは東館から入館後、速やかに本館へ進んで貰うべく、東館内の1階「入口・受付横」に、「1階から3階まで登るエスカレーター」が設置される予定であります。

そして、このエスカレーター設置により、設置先に現存する、建物3階に設けられた平和文化センターの事務所は地下へと移動し、新たな事務所の整備が必要となる。

また、本館へ向かった人々が、観覧を終えた後、再度、出口の設置された東館へ戻って来るので、本館と東館を行き来する、2階部分に設けられた「渡り廊下の拡幅を図る」など、現段階で、他の耐震工事なども含め、トータル「約47億円」もの費用が必要となるモノです。

では、再度、確認させて頂くとして、耐震補強などを行う、躯体調査や、実際の工事費などを除いた、「エスカレーターの設置」、「事務所の移設」、「渡り廊下の拡幅」には、現時点での概算として、おおよそ、いくらぐらいを見込んでいるのでしょうか?

※行政側 答弁

一年前にも申しました通り、私は長年にわたり、年に複数回は平和記念資料館を訪れていて、資料館の「存在意義」などを十分に理解しているつもりですから、平和の発信や歴史の継承にあたり、無条件に「経費を削るべきだ」と、追求している訳ではありません。

しかも、平成22年の7月に“基本計画が決定”されるまでに、8年もの歳月を経て、充分に検討が重ねられた事を重々承知しております。
しかしながら、その時、私は、まだ議員にさせて頂く「前」の話であり、しかも、街のトップである松井市長も、この時は、まだ就任されておりません。
ゆえ、今、こうして質問をさせて頂いている次第であります。

そして、私は総括質問の際、最後に、こう質問させて頂きました。
「街のトップも代わり、方針も変わって行く」。
「まずは、全ての“再整備・事業費”が適正なる経費であるのか?」
「並びに“限られた予算”との制限があるからこそ、そこから創意・工夫が生まれるわけで、エスカレーターの設置などにしても、今一度、精査、検討する必要性があるのではないか?」
「確かに、バリア・フリーは求められるが、平和記念資料館には、入口すぐ横にエレベーターが設置されており、本館への“動線・簡素化”を含め、新たに「エスカレーターを設置する」計画とは別に、足で歩き、一つでも多くの展示品と触れ合っては、自らの呼吸と共に
「身を持って資料館を体感するのも平和学習の1つであり」
こうした選択肢も必要かと思われる」。

再整備事業には膨大な諸費用が見込まれているが、基本計画にある「エスカレーターの導入」をはじめとし、来館者の動線プラン、整備内容、展示内容、概算の事業費は「適切である」と考えるのか、お聞かせ下さい」と。

この私の質問へ対し、頂戴したご答弁を振り返れば、こうありました。
「議員ご指摘の、概算事業費が適切かどうか?という点につきましては、現在、進めております基本計画を先ずは仕上げた上で、次の工事の実施段階において、全庁的に行っております事務・事業の見直しの一環として、その内容や事業費について、改めて、検討する機会もあるものと考えております」と。

そこで、この御答弁から1年が経過した今、改めて、お伺いして参りますが、「私の質問の後、今日まで、何か検討をして頂けたのでしょうか?」

※行政側 答弁

では、これよりブレてはならない、当初からの改修目的に迫って参りますが、まず、現在の平和記念資料館の「動線」、いわゆる来館者が進む「順路」をここで再確認するとして、現行の順路は、まず東館から入場しては、そこで、かつては「軍都」であった“本市の歴史”などを見て参ります。

そして、いかにして戦争へ突入して行ったのか?
また、原爆が完成されるまでの、アメリカ軍の研究や計画が紹介され、被爆前、被爆後の広島市の状況、平和記念・都市建設法、制定への歩みなども学ぶことが出来、東館を1階から3階まで登った後、現在、本市が、来館者の方々に「もっとも触れて頂きたい」と比重を置かれている本館へと、渡り廊下を通じては、足を運んで行く。

言ってみれば、表現は不適切にあたるかもしれませんが、起承転結と言った具合に、ストーリー性がキチンと設定されているわけです。
当然、1994年の6月に東館が開館される際も、事前に十分なる協議、検討が行われ、現行の順路を設定しているはずであり、そこには、それ相応の明確なる「意図」が存在したと推察できますが、では、この「現行ルートの設定意図」を、改めて教えて頂けますでしょうか?

※行政側 答弁

しかしながら、今回の新たな「再整備事業」を“このまま”進めるとなると、ある意味、全く正反対となるアプローチ法を試みる事となりますよね?

確かに、新たな順路にすれば、東館から新設されたエスカレーターで、入口から3階まで一挙に駆け上り、そこで、歴史を多少は振り返るアウトラインが提示、展示される予定ですが、規模から言えば、あくまで、「補足的な要素」とも言える、小規模です。

そして、いきなり「被爆の実相」に迫るわけですが、例えば、他県における、こうした平和関連の施設に目を向けてみても、おおよそ、現行の資料館と同じ順路、展示・意図を用いており、最初に、如何に戦争へ突入し、如何なる背景があったのか?を学び、重要なる「展示物」を、効果的に用いております。

この辺りが、180度、全く逆の展示となるのですが、ここに関しては、いかが、お考えなのでしょうか?

※行政側 答弁

私、今年に入っても、複数回は資料館へ足を運び、そこで、実際に修学旅行生へインタビューを行いました。

すると、どの修学旅行生も、東館に持ち時間が20分、本館に25分間と、合計で50分から1時間前後の「観覧時間」が設けられているのですが、本館で「被爆の実相」を目の当たりにする展示物をシッカリと見られるよう、事前に、キチンと学校側から時間配分が設けられているんですね。

つまり、外国人観光客であったり、一般的な来館者は、時間的な制約を、自らの裁量、自らのペース配分に任せられるのですが、次世代の“貴重なる伝承者”となる若者、修学旅行生に関しましては、まさに、ここまでの本市が目指さんとして来た通り、いずれの学校も、限られた平和学習の時間の中、「被爆の実相がダイレクトに語りかけて来る」本館部分に比重を置いて、既に、取り組んで下さっているのです。

こうした動かぬ事実がありながら、まだ「本館部分が疎かになるので、1分でも早く、まずは本館へ足を運んで頂きたい」と考えるのでしょうか?

現在、本市は「苦しい財政事情」と言われる中、数千にも及ぶ事務・事業を、事業の妥当性や有効性の観点から見直し、市・全体の事業の中から、切り詰めて、予算、財源を捻出しております。

一例を挙げれば、既に他都市でも着手している様に…
公共施設の使用料に関しても、受益者負担の公平性等を鑑み、ご年配の方々にも、ご協力を頂くなど、一歩一歩、時代に即したシステムへ皆様で身を削りながらも前進している最中、「平和関連」だからと言い、「ここだけが聖域化されるべき」ではありません。

そこまで「本館」への簡素化なるアプローチにこだわるのであれば、例えば、数億円も用いて、「本館へ一足飛びに足を運んで頂く」のではなく、その前段階で、訪れて下さる修学旅行生、その学校へ対して、十分に「本館の意義」を“事前告知”して、市職員のマンパワーで改善が図られるのではないか?とも考えられますが、如何、お感じになられるでしょうか?お聞かせ下さい。

※行政側 答弁

全国的に少子化が進む中にあり、「本市へ訪れる修学旅行生の数」に目を向ければ、ここ5年間を見ても、ほぼ横ばい、もしくは、1万人、2万人と、徐々に増えているのが実情で、これは、本市が全国の学校や旅行会社へ対して、地道に「誘致活動」に取り組んできた、何よりの成果です。

この、キチンと「結果を残している取り組み」にプラスして、わずかなる要望、事前説明を加えるだけで、本館の重要性、そこへの認識は、より高まり、かつ理解を得られるものかと存じます。

確かに基本計画は決定され、そこへ向け着々と事業は前進しておりますがしかし、「本館の展示に比重をおいて欲しい」との本来の目的は、ある意味、達成されつつもあるのです。

今一度、エスカレーターの設置が適正なのか?
また、現状でも、来館者が多い時であれ、どうにも「行き来できない」とまで、混雑を極めない渡り廊下を、果たして拡幅する事が求められているのか?

繰り返し申し上げますが、私は、オートマティックに「コスト・カット」や予算の執行に意義を申し立てているのではなく、当初の設置目的は、ある程度、改善が図られているのにも拘わらず、ひとたび、決定されたからと言い、このまま進んで行くのですか?と、問いただしている次第です。

今なお、粛々と進んでいる計画に対し、担当課では、簡単に判断が下せるモノではないかと思われますので、市長は如何お感じになられるでしょうか?お聞かせ下さい。

※行政側 答弁

最後に、ここまでの60年間で、資料館は幾度も展示内容が更新、改善されて参りましたので、こうした背景により、一つ一つの展示ブースは、ある程度、容易に移動展示が行えるよう、設計されております。
エスカレーターの設置などに、必要以上に囚われるでなく、展示ブースの配置転換、まさに知恵と工夫で賄える部分はあるはずです。

重ねて、現行の順路は、全ての展示物に目を通した後、本館・北側に位置する、ガラス張りの、平和公園や記念碑が一望できるロビーへと足を運ぶ構造になっており、つまり来館者の心へ、様々なメッセージを届け、そこから、出口となる、平和公園の南側、1階部分へ歩みを進める事となっている。

これが、新たに決定された基本計画では、東館から入り、全てを観覧した後、最後に来館者の心のケアを考慮しては、また、平和について考える時間を設けるなどワンクッション入れるべく、「東館を出口に設定する」としています。

体感する「ストーリ性」を鑑みても、これは、あくまでも私見ながら、現状の順路は、来館者への心情へ語りかけ、平和記念公園に、その鮮度をたもって降り立てるよう、絶妙なるルート設定となっております。

事業の見直しで言われる、妥当性、有効性を、今一度、ここで再検討して頂き、平和記念資料館を、より良いモノへ改善して頂く事を、ここにお願いをして、質問を以上とさせて頂きます。