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2018年3月 予算特別委員会 総務

発言通告に従い、予算説明資料にもあります、2020年までの核兵器廃絶を目指した取組の推進「全米市長会議年次総会への出席」予算計上額336万9千円について伺って参ります。

今回は平成30年の6月に米国のボストンで行われる年次総会へ市長が出席されるモノですが、まずは主たる「出席の目的」について、お聞かせ下さい。

※行政側 答弁

では、そもそも「全米市長会議」とは、いつ組織され、幾つの加盟都市があり、如何なる動き、働きをされているのか、教えて頂けますか。

※行政側 答弁

ただ今、「1930年代に全米市長会議が誕生した」との答弁を頂きましたが、この時代は、証券パニックから世界恐慌が巻き起こり、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領が大量の失業者を雇用すべく、徹底した公共事業を行った時代背景があり、そこで全米市長会議は「公共事業ばかりでなく、人々の暮らし、生活にも目を向けてくれ」と、大統領へなされた提言からも分かる通り、当時から全米市長会議は「常に基礎自治体として生活者の側に立つ組織」で、ある意味「アメリカの良心」と言っても過言ではありません。

故に、2004年からも一貫して核兵器廃絶を訴えては採択を続けて下さっており、ここで一つ昨年になりますけども「第85回 全米市長会議における核軍縮に関連する決議文」の内容を紹介させて頂きます。

「全米市長会議では核兵器廃絶に繋がる歴史的な核兵器禁止条約交渉が、世界の大多数の国々の参加を得て国連にて開催される事を歓迎するが、米国及び、その他の核保有国が本交渉へ参加を拒否している事を深く憂慮する」「またトランプ大統領、並びに連邦議会に対し、国家予算における優先順位を見直し、現在、核兵器に充てられている予算及び、根拠の無い軍事関連の予算を、崩壊しつつあるインフラ再建と、教育、環境保護、食料や住宅、健康管理等の支援に配分するよう要請する」と、このようなスタンスを米国内でとって下さっている事は、我々としても共感を覚えては、非常に心強いモノです。

この辺りも踏まえながら、過去にも本市では、この全米市長会議の年次総会へ当時の市長が出席されては「広島・長崎議定書」への協力要請をされたり、また全体会議でも市長がスピーチを行われたりしているのですが、今回も、そうした機会は設けられるのでしょうか?

※行政側 答弁

現在は市長がスピーチする機会にせよ未確定であり「調整中」との事ですが、推測の域であれ、おそらく実現するかと存じます。

つきましては、5月に行われるかもしれぬ米朝の首脳会談など、年次総会が開催される6月までには世界でも様々な動きが新たに出て来ると思われますが、しかし日程は刻一刻と迫って参りますので、例えば現時点に於いて、本市としては如何なる協力要請を行い、如何なるスピーチをするかなど、ある程度の方向性は考えていらっしゃるのでしょうか?

※行政側 答弁

出過ぎた提言となりますが、もしもスピーチの機会を本市が得られたならば、未来の平和を築き、継承して行くのは世の若者、子ども達となりますので、その為にも「教育」の重要性をスピーチに盛り込んで頂けませんでしょうか。

重ねて、是非とも「原爆孤児」の事実について、盛り込んで頂ければと思います。

と申しますのも、原爆が投下された当時は、多くの中学生や建物疎開に借り出されていた高等女学校の生徒が犠牲になったのですが、一方でも小学生以下の子ども達は親元を離れて郊外へ疎開しており、爆心地付近で親族を亡くしては、自宅へ戻ろうにも、住む家や引き取り手の無い多くの孤児が生まれました。

正確な人数ではありませんが、残された記録では6500人とも言われる孤児達は、むしろにくるまっては屋根も壁も無い場所で夜を過ごし、広島駅の付近に集まっては靴磨きなどで何とか僅かな収入を得て、草木を食べては空腹を凌ぎ、それでも食べる物が無ければ、柔らかい物を探し、時に新聞紙を水で濡らしては食していたと言われます。

更には、多くの遺体が各所で山積みとなり火葬されていたのですが、子ども達も借り出されては手伝いながら、遺体の頭部が重くゴロンと転がり落ちて来て、その頭部を、子ども達が再び火にくべていたなどの証言も残されています。

こうした原爆孤児に関する記述、記録は、平和記念資料館や各方面でも極一部しか紹介されておらず、こんな思いを二度と子ども達にさせてはなりません。

そこで繰り返しとなりますが、この度、スピーチの機会が実現したらば、「教育と原爆孤児の話」を盛り込んで頂きたいと切に願うのですが、如何でしょうか。

※行政側 答弁

スピーチに教育や原爆孤児の話も盛り込んで頂くべく、まずは、ご検討の程、宜しくお願い致します。

では続いて、国際交流・国際協力の推進等「国際訓練調査研究所(ユニタール)の研修プロジェクトに対する支援」予算計上額700万円について伺って参りますが、このユニタールに関しましては、これまでも豊島議員や八軒議員が一貫して取り上げては発言されており、昨年の6月議会でも、豊島議員がユニタールの活動に対し、「予算の拡充」等を求める提言をなされました。

私も今日まで、少なからずユニタールの取り組みに参加している事から、豊島議員たちと意を同じくする者ですが、今回「なぜ私が改めてユニタールを取り上げるのか?」を申しますと、本市は核兵器の廃絶へ向け、継続して取り組んで参りましたけども、仮に、この壮大なる目標が達成されたにせよ、今なお世界各地で起きている紛争が無くなるわけではありません。

我々が目指しているのは、核兵器のみならず、紛争、内戦、戦争の無い、また貧困や格差の問題もありますが、最終的には「世界の恒久平和」です。

例えば、この半年間にしても、海外よりシリアやロヒンギャの問題がニュースで流れて参りますが、シリアでは既に30万人以上が亡くなり、その内、民間人も10万人以上が亡くなっては、直近の1カ月間でも数百人規模の死者が発生しています。

ミャンマーのロヒンギャ問題にせよ、昨年の時点で、隣国のバングラデシュへ70万人にも及ぶ避難民が生まれ、その半数以上は「18歳以下の子ども達」と言われており、先の空爆が続くシリアでも、多くの子ども達がSNSを通じて「この事実を知って下さい!」「誰か助けて下さい!」と訴え続けているのは、皆さんもご承知かと存じます。

今現在も、20以上の国と地域で、紛争により15億もの人々が苦しんでいる中、私なども日本に居ながら、いつも「何か出来ないものか?」と自問自答を繰り返し、暗中模索しております。

そうした中で、一筋の光が「ユニタールの存在」とも感じており、まずはユニタール広島事務所の話へ行く前段に、大枠から伺うとして、現在、前述の「世界の紛争地域」をはじめ、国レベルでは如何なる「人道支援」を行っているのか、お聞かせ下さい。

※行政側 答弁

確かに国としても、海外の幾つもの人道支援に着手はしてはいるのですが、紛争地域に直接コミットしているモノではありませんし、繰り返しとなりますけども、何も私に限らず「海外で苦しむ人々に何か出来ないだろうか?」と、同じ感情を抱かれている市民の方々が多くいらっしゃる中にあって、身近な所に、確かな実績を持って存在、活動されているのがユニタール広島事務所です。

そこで改めて伺いますが、このユニタール広島事務所は、どういった目的で設立され、現在は如何なる活動、プロジェクトを推進されているのか、お聞かせ下さい。

※行政側 答弁

ただ今の答弁にもありましたように、数々のプロジェクトを推進されておりますが、今一度、個々のプロジェクトを幾つか紹介させて頂きますと、2017年の4月27日に広島国際会議場にて、アフガニスタンの特命全権大使や駐日アフガニスタン大使館一等書記官、広島大学平和科学研究センター長などをお招きし、ユニタールが「アフガニスタンの現状と今後の展望 日本の支援と役割」とのテーマで、公開セッションを開催されました。

私も参加して来たのですが、日本からの支援も奏功し、現地では如何なる変化が生まれたのかを申し上げますと、まず「アフガニスタンの治安維持、向上の為」に、警察官の給与を上げ、また訓練を強化、識字教育なども行った結果、警察官の数が倍増しては、治安が向上したと。

一方でも「元タリバーン兵を社会と統合する為」に、職業訓練を行い、結果的に約1万1千人もの元兵士が社会に復帰するなど、こうした取組の積み重ねにより、個々に、また国に良い自信が生まれ、それが更なる活力へ転化されるといった具合、アフガニスタンでは好循環が生まれ始めています。

補足としては、兎にも角にも現地では「文化を再生させる重要性」に着手しているとの事でしたが、このような広島市で行われる公開セッションにせよ、何が良いかと申せば、国内をはじめ、世界からも関係者やエキスパートが一堂に会しては、その方々が横の連携を図れる「人と人を結ぶマッチングの機会」を創出してくれている事実です。

他にもユニタールでは、例えばアフリカと言えば、マリやソマリアをはじめ紛争の絶えない大陸ではありますが、国内で様々な難しい課題に直面している南スーダンの持続可能な開発と復興の為に、日本国外務省の支援を受けながら2015年に「南スーダン奨学プログラム」を立ち上げられ、南スーダンの公共機関、民間組織、教育機関、市民団体から若手・中堅の専門家が参加しては、それぞれが所属する組織の変革に貢献すべく、プロジェクトを作成し、取り組まれております。

また記憶に新しいところでは、1970年代のソ連軍アフガン侵攻をはじめ、1990年代のタリバーン出現と、長年にわたり情勢不安を抱えて来たアフガニスタンの「女子代表サッカーチーム」を、世界でも冠たる復興都市である広島市に招き、国際親善試合を行っては、市民間交流を含む幾つもの研修プロジェクトを実践し、非常に大きな成果を収めています。

そこで伺いますけども、本市は過去より継続してユニタールのプロジェクトに対して予算措置を行っては、その活動をサポートして参りましたが「過去5年間の予算額の変遷」を教えて頂けますか?

※行政側 答弁

それでは補足までに、「県」がユニタール広島事務所へ対して同様に設定している年間の予算額を教えて下さい。

※行政側 答弁

市が年額700万円で、県が年額1億円と、私は安直に「市も県に習うべし」なんて言うつもりはありませんが、裏を返せば「このままで良い」とも考えておりませんので、再度「市の予算額」について伺いますけども、先程、過去5年間の予算額の推移、変遷を伺った際に、唯一「予算額が増えていた」のが、平成27年の被爆70周年記念事業の時であり、その際にユニタールが開催されたワークショップの半額サポート分が、予算増額分の内訳でもありました。

このように、平素の人件費などを予算でサポートする事は難しいとされながら、個々の企画などに対してバックアップが可能であるならば、被爆何周年云々に留まらず、未だ紛争、内戦の続く国や地域へ対して「何が出来ないのか?」と切に感じるに当たり、今後もユニタールや県と「更に密なる行き来」を行い、様々な企画を共に立案、実施、そこへ予算措置を施して頂きたいと考えますが、如何でしょうか?

※行政側 答弁

人類70億人の平和も、まずは「お一人お一人の安寧な暮らし」から、その総和でしかありませんので、引き続き、一歩一歩とはなりますが、行政のみならず議会も取り組んで参りますので、知見と経験の伴った人材を有するユニタールへの支援を、宜しくお願い致します。

続いては、サッカースタジアムに係る調査・検討の項目「魅力あるサッカースタジアムの整備に向け、スタジアムの多機能化等について調査・検討を行う」に関する予算計上額25万円について伺うとして、この度のサッカースタジアムに係る新年度予算案に対しては、時に「わずか25万円なの?」との論調も耳にしますが、私は、この貴重な25万円を決して悲観しておらず、この25万円を最大限、有効活用すべく、これより話を展開して参ります。

最初にJリーグを取り巻く環境について、最近の傾向、並びに今後の見通し等について幾つかデータを示させて頂くとして、まずモニターに「Jリーグ観客動員の推移」を棒グラフにしたモノを映しておりますけども、現在Jリーグが「1000万人構想」を掲げ、取り組みを継続している通り、ご覧のように2001年あたりから順調に右肩上がりを続けては、昨年2017年に「過去最高」の観客動員を記録しております。

また広島に目を向けても、数年前にサンフレッチェ広島が、市内在住の老若男女1000人以上を対象にアンケート調査を行った結果、「貴方はエディオンスタジアムへサッカー観戦に行った事がありますか?」との設問に「YES」と回答したのは約5割であり、つまりは今後、まだまだ残り5割もの「のびしろがある」と言えるのではないでしょうか。

更に、広島のみならず「中国地方の可能性」にもスポットを当ててみると、Jリーグの2018年シーズンが開幕後、3月の現時点は「シーズン序盤」と言えますけども、サンフレッチェが開幕4連勝、J2のレノファ山口、ファジアーノ岡山が共に開幕3連勝、J3のガイナーレ鳥取も開幕戦勝利と、中国勢は負けなしです。

勿論、長いシーズン「これから」ですが、例えば山口や岡山のチーム力を分析しても、これまでの好成績は決してフロックではなく、近い将来、J1の舞台で隣県との中国ダービーが実現し、相互にサポーターが行き交っては「更にJリーグが盛り上がる」可能性を大いにはらんでいます。

しかも、今季からはV・ファーレン長崎がJ1に昇格し、スポーツの出来る平和を尊び、謳歌する広島との「ピースマッチ」の機運も高まっている現況、全くの余談となりますが、アウェイの地にも2千人から3千人が大挙して押し寄せる、熱狂的で有名な浦和レッズのサポーターの話をさせて頂くと、丁度、先週には長崎と浦和の対戦が長崎のホームで行われました。

その試合の翌日、世界文化遺産でもある長崎の軍艦島ツアーに、これまたレッズのサポーターが大挙して申し込まれ、予約が即座に埋まるなど、こうした副次的な文化交流が生まれるのも、忘れてはならない「Jリーグの良さ」の一つでもあります。

続いて、近年のスタジアムに関するトレンド動向に目を向ければ、世界的にも進んでいるのが「ITスマート化スタジアム」であり、説明させて頂くと、スタジアム内に高性能のネット環境が整備され、観客は「スタジアム専用アプリ」をダウンロードする事によって、デジタルでの発券、お手元のスマートフォンやタブレットで試合映像の再生(VTRでプレーの再現映像)を視聴が出来れば、観戦中に自分の席まで飲食物のケータリングも可能となり、常にアンテナの高いカープ球団などは、近い将来に導入されそうですが、こうした時代が既に到来しています。

次に、スタジアムの芝に関しましては、先の特別委員会の視察で訪れた神戸でも導入されていた、天然芝に人工繊維を織り交ぜるハイブリッド芝の登場に、まるで絨毯のように速やかなる芝の張り替えが行なえるビッグロール工法や保温シートの導入で、年間を通して芝の常緑化を図るなど、サッカーのみならず、ピッチ上で自主事業や各種イベントを行い「スタジアムの利活用を更に進めて行く」べく、既に鹿島アントラーズが取り組むターフプロジェクト等々、枚挙に暇はありませんが「天然芝だから養生の為に稼働率が低下する」は、徐々に過去の話になりつつあります。

こうした背景もあり、例えばノエビアスタジアム神戸の「昨年度の利用実績」にせよ、Jリーグ、なでしこリーグ、アマチュアサッカー、ラグビー等で約40試合、約36万人の観客を集めながら、並行してピッチやスタジアム内の施設を利用しては、寄席、グランドゴルフ、リレーマラソン、成人式、歌謡ショー、各種セミナーにフェスタ、ウェディング等を開催し、年間を通じて約60万人の集客がありましたが、ハイブリッド芝を導入される今後は、更にピッチの稼働率も上がって行くモノと推察されます。

補足までに、神戸の場合、スタジアム内にスポーツジムが設けられており、1900人の会員がいらっしゃるのですが、担当者から話を伺ったところ、常設されているお風呂を目的に、平日の朝から地域の方々がスタジアムにやって来られるそうで「地域コミュニティの再生、醸成にも寄与している」と述べられておりました。

本市に於いても、今回のスタジアムに係る調査・研究で「鹿島を訪れる予定」との答弁がありましたが、鹿島にもスタジアム内にスポーツジムが設置されては8000人にも上る会員がいらっしゃれば、また整骨院などクリニックもあって、試合日とは別に平素から人々がスタジアムへ訪れる体制を構築されておりますので、先に触れましたターフプロジェクトと併せ、この辺りも担当職員さんは視察して来て欲しいと願います。

そこで改めて、今回「スタジアム多機能化についての調査・検討」とありますが、現時点でも、ある程度は「サッカー以外に、こうした機能を盛り込みたい」との目星を付けているのでしょうか?

※行政側 答弁

これまでを鑑み、人々の行動、消費についてのトレンドにも話を広げれば、近年は「モノ消費からコト消費へ」と、明白に消費行動の変化が表れており、言わずもがな、モノ消費とは、消費者がお金を使う際「所有」に重きをおいては物品購入の消費行動で、コト消費とは、スポーツ観戦や芸術鑑賞、旅行にレジャーなど「体験や思い出」に重きをおく消費行動ですが、内閣府の調査でも、こうした傾向が顕著となっています。

故に、全国各地でも「時代の趨勢に呼応する」と申しましょうか、続々と活発な動きが出て来ており、国も2025年までにスポーツ産業を15兆円規模に拡大しようと取り組み、そこを実現すべく数々の国のメニューも増えている事から「全国のスタジアム建設へ向けた今後の動向」を見てとりましても、モニターに映した一覧表にある通り、ざっと見ても「20以上」の地域がスタジアム建設へ舵を切り始めている現状があり、しかしながら、私も「次々と他都市は良いなぁ」と羨んでいるわけではなく、「後発だからこそ、他都市には無い抜きに出たスタジアムを広島に創り出しましょう!」と、希望に溢れています。

ならばと、冒頭にも申しました通り、この度の新年度予算案25万円を「如何に有意義に活用するか」の話に移って参りますが、一つ目を向けて頂きたいのが、先のコト消費の典型とも言える「音楽業界」であります。

まずは国内における音楽業界のマーケット、その動向を見て行きますと、1997年から2016年までの約20年間でコンサート等の公演数は3倍以上に拡大、今なお右肩上がりの状態であり、昨今、ネット配信等のダウンロードにより「CDが売れない時代」などとも言われますが、しかし音楽業界はライブにも力を入れ、頻繁に催されては、人々へ生音を届け続けています。

これはコンサート等の入場者数も同様で、過去20年間で約3倍以上も増加しており、その観客を動員するハコ(場所)別のデータを見ると、基本的な音楽ホール以上に、スタジアムやアリーナでの開催が最も多く、広島の場合では広域公園を利用して「数年に1回ほどライブが行われる」印象がありますが、全国では1つのスタジアムに於いても、年に多い所では「7回前後」のライブが行われている実情で、こうしたコンサートの売上にせよ過去20年間で5倍にも増えていながら、唯一、2015年から2016年は若干の減少が見られました。

この下降した理由と言うのが、首都圏では老朽化等により大きな会場の改修が相次ぎ、兎にも角にも「ハコ」不足に陥っていた事が挙げられ、ビッグアーティストを呼んで来ても、東京で3公演の後、名古屋で8公演も行われたり、広島にせよ「大阪から福岡へ」と有名アーティストの公演が広島をまたいでスキップされる現実も散見されますが、集客云々より「ハコが押さえられない」との理由によるところも多く、これは国内全体にも共通する傾向です。

そこで最近では、業界のプロモーター企業が自前で大規模なアリーナの建設を予定しており、横浜でも地上4階、地下1階、1万人規模のアリーナが既に着工されていれば、数年後には同じく横浜に民間出資で2万人規模の新たなアリーナが誕生予定など、アリーナが投資対象となっては、2018年の2月時点でも全国ではアリーナや体育館の建設構想が20以上も存在するのですが、国内のバランスを見ると、この西日本は手薄状態となっている感は否めません。

補足までに、既存のドーム球場等でイベントやコンサートが行われる際は「1日分の会場使用料」となる1千万円から2千万円ほどが施設の管理者に入って参りますし、前日の準備日やイベント後の撤去日にせよ、その半額程度の収入が得られ、「全国ツアーのスタート地」に選ばれると、音響やライティング等、リハーサル日で1週間ほど会場が押さえられては相応の使用料が入って来る事もあり、これは会場の維持管理費に充てられます。

いずれにせよ、意中のアーティスの公演となれば、ファンは新幹線や飛行機を利用して全国各地へ足を運ばれますし、県外からも多くの人々を広島に呼び込む一つの手段に成り得ますので、スタジアムの建設、並びに複合化、多機能化に際して、連携を図るべき一つは「音楽業界」と言え、業界関係者もハコの新設、確保へ向けては数十億円からの投資にも前向きな姿勢を明確に表明されている昨今、そこで伺います。

この度の調査・研究で、せっかく関東圏まで足を運ばれるのであれば、スタジアム関連のみならず、本市が抱える幾つものホール、その今後も考慮して、こうしたコンサート事情を把握すべく、例えば先にも触れました「一般社団法人コンサートプロモーターズ」等にも取材に伺って頂きたいと希望しますが、如何でしょうか。

※行政側 答弁

是非ともご検討、また実現して頂きますよう要望しておきます。

では続きまして、実際に音楽との融合も含めた「スタジアムの多機能化」について、世界の前例も加味しながら話を進めますが、はじめに紹介するのはフランスのリールにある「スタッド・ピエールモーロワ」です。

こちらは先日、サッカー日本代表が国際試合を行ったスタジアムでもありますが、ピッチの半分がスライドする事によりスペースが確保され、モニターでご覧を頂いているのは大きなテニスの大会「デビスカップ」の模様で、他にもバスケットの試合、コンサートにフットサル、アイススケートやXレースも開催が可能です。

以前、私は同じく委員会の場で、旧広島市民球場跡地に屋根付きスタジアムを落とし込んだ広島版スタジアムのイメージパースを用いて説明させて頂いたので、今回は「中央公園広場に概略プロットした場合」で説明させて頂きますが、フランスのスタジアムのような手法を用いた場合、ピッチの反面を西側へ移動させるにあたり、要する時間は僅か30分程度で、移動後もピッチには日中、ふんだんに太陽光が注がれます。

ニューヨークのマジソンスクウェアガーデンなどは、365日で400回もの興業が行われており、これは先述のような舞台装置を備えているから故で、仮の広島版でも、サッカーの試合以外にピッチのアレンジで2万人規模のホールの確保、稼働が可能となり、この規模の「ハコ」は広島のみならず中四国地方にも存在しませんので、一定の需要が見込まれるであろう事が一つと、屋根が音響の反射板の役割も果たしては10分程度で開閉が可能な上、例えば東京ドームにせよ利用されて約30年が経過いたしますが、あのドームの屋根は一度も張り替えられていません。

つまりには屋根に用いる素材の選択や建物の構造計算により、イニシャルやランニングのコストは、いくらでも軽減できます。

またコンサートの誘致競争に打克つ為に、全国ツアーでは何台もの機材を積んだトレーラーが行き来する通り、積載の大部分が照明や音響セットなのですが、最初からコンサートの開催も見込んで照明や音響の設備をスタジアムに整えておけば、他都市よりもアドバンテージが得られる事は言うまでもありません。

そこでイニシャルコストを概算で出してみたのですが、モニターの一覧表にある金額は、ショートしてはいけないので、あくまで多めに見積もった数字でありますけども、スタジアムの建設費にプラス50億円を追加すれば、先にも述べて参りました多機能スタジアムが造れるわけで、勿論、この50億円はペイが出来て更に相乗効果を生む50億であり、返す返すも、安物買いの銭失いにならぬよう、目先のコスト数十億円を絶対にケチるべきではありません。

当然ながら、それを全て「血税で」なんて申しておりませんし、現在、スタジアムを建設する際のコストは、一つの目安として「1席が50万円」と言われ、3万人規模のスタジアムであれば150億円くらいになるのですが、大阪の吹田スタジアムなどはプレキャスト工法等を用いながら4万人規模で140億円、つまりは「1席が35万円」のコストでスタジアムを建てています。

実際に、都市として同規模を誇る仙台や千葉も100億円前後で立派なスタジアムを建設しておりますし、改めて、稼げるスタジアム、何より国際平和文化都市に相応しいスタジアムを、多少はイニシャルがかさんでも目指すべきと考えますが、担当課としては如何お感じなのか、お聞かせ下さい。

※行政側 答弁

縷々述べて参りましたが、兎に角「1日でも早い完成」へ向けて取り組んで頂く事を強く要望し、質問を以上とさせて頂きます。