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石橋りゅうじ 議会棟控室

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2017年10月 決算特別委員会 総務

これより発言通告に従い、「世界平和の推進」について伺って参りますが、まずもって、平和首長会議が掲げる「2020ビジョンキャンペーン」の目標年次が数年後に迫り、核兵器禁止条約に関しましても、現在、賛同する53の国と地域が署名、今後、批准をしては来年中の発効を目指すなど、この辺りを私はまだまだ楽観視しておりませんが、核兵器廃絶を取り巻く環境は、近年、著しい変化を遂げています。

また、先だって国際NGOの「ican」にノーベル平和賞の授与が決定するなど、大きな時代の転換点を迎えている、こうした一連の流れを受けて、これより質疑に移らせて頂きます。

そこで、先ずは平成28年度を振り返り、「2020年までに核兵器廃絶を目指した取組の推進」について伺いますが、実施された数々の施策の中に「核兵器廃絶に向けた国内外の世論の醸成」との取組があり、現在は、先にも触れましたノーベル平和賞を受賞した「ican」が示す通り、市民社会が活動し、声を上げ、国際社会を動かしている実情が挙げられ、また、私は先の12月議会の一般質問で、数々の市民運動、世論の醸成を基調としたパブリック・プレッシャーを「核保有国へ向けて行くべき」との話もさせて頂きました。

つきましては、国内外の世論の醸成として、項目の中に「平和首長会議国内加盟都市会議に合わせた原爆展の開催」とありますが、こちらは、どこで、幾らの実施額を費やし、いつから、何日間、開催され、何人の動員があったのかをお聞かせ下さい。

※行政側 答弁
(千葉県佐倉市の臼井会館で開催され、11日間で、述べ1115人の動員)

2020ビジョンキャンペーンの推進にあたり、被爆の実相を知って頂くべく、こうしたサテライト事業と申しますか、過去から継続されている各所での原爆展は、言うまでも無く、非常に意義のある取組かと存じますが、では続いて、同じ項目にある「ヒロシマ・ナガサキ原爆展の開催」について、こちらも先程と同様に、どこで、幾らの実施額を費やし、いつから、何日間、開催され、何人の動員があったのかをお聞かせ下さい。

※行政側 答弁
(米国シカゴ市の日本文化会館で開催され、25日間で、述べ約1200人の動員)

こと、海外での事業となれば、被爆証言者の渡航費をはじめ、諸々の諸経費が膨らむのは必然ですし、この様に被爆の実相を知って頂く原爆展の開催であったり、平和の推進事業に関しましては、安直に費用対効果を問えるモノではなく、しかし、公金を費やして実施するからには「目の前の1回の事業」にせよ、貴重なる機会であり、少しでも「効果的な事業」にして行かなければなりません。

ならば、あのNYやロスに次ぐ、270万人を擁するシカゴの大都市で、相応の実施額と約1カ月を費やし、動員が「1200人」であった原爆展と、当然の大前提として、簡単に人口が約17万人の千葉県佐倉市で開催された、11日間で「約1100人」を集めた原爆展の比較は出来ませんが、ならば、シカゴ市で開催された原爆展の実施効果は如何だったのでしょうか?

※行政側 答弁

スライド等を使用しての被爆証言や、被爆体験記の朗読会が幾度も行われるなど、実施内容は、濃密であり、展示された遺品の数々も、確か16点に及んだかと思いますが、いずれも来場者の心へ訴えて来る物ばかりで、相応の成果は収めたかと存じますけども、しかし「せっかく開催するからには」一人でも多くの方々に足を運んで頂き、何かを受け止めて頂けるよう、つまりは周知を図る「事前の広報活動(予算を含め)」が大事なのは言うまでもなく、今回、この辺りは充分だったのでしょうか?

※行政側 答弁

こちらの「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」は、昨年度に引き続き米国で行われるなど、過去から数十回は開催されており、現地にすら足を運んでいない私が、安直に事業の成否を問えませんが、しかし繰り返しとなりますけども「実施するから」には、一人でも多くの方々に足を運んで頂き「反響」が広がるよう、引き続き、事務的になる事なく、広報活動を現地の方々に全て丸投げするのではなく、初めて開催する様な初々しさを決して失わず、今後も出来る限りの事前広報に努めて頂きたいと存じますが、この度の告知も含め、その辺りは如何に考えていらっしゃるでしょうか?

※行政側 答弁

今回の質疑に於いて「私の趣旨」を申しますと、一つは海外で原爆展等を開催するにあたり、過去の実施例が物語る通りで「場所を提供して下さる」方々が、そこかしこに存在する訳でなく、昔は被爆証言の会が米国の教会で開催された事もありました様に、場所の選定、確保は簡単な話ではありません。

そこで、今回の様に米国の市街地にある「日本文化会館」で開催される場合、どうしても「日本コミュニティ」の方々ばかりが集ってしまう傾向にあり、当然、そこは否定されるモノではありませんが、この度で申せば、少しでも現地のアメリカ人に足を運んで頂く、「やるからには多様なる人々に触れる機会を少しでも確立する」べく、事前の告知を含めた広報活動は、必須であり重要かと存じます。

その為には、相応の予算、諸経費が必要となりますし、あくまで今回は「原爆展」を取り上げさせて頂きましたが、これは核兵器廃絶を目指すにあたって「あらゆる施策」に共通する話でもあり、核兵器禁止条約の発効も控える今、これまでと同様、また、それ以上に大事な「向こう数年間を迎える」事になりますので、引き続き「必要な所には相応の予算が配分される」よう、本日は財政局長もいらっしゃいますが、何卒、宜しくお願い致します。

続いて「平和首長会議の強化」について伺いますが、現在、約7450もの都市が加盟する平和首長会議は、核兵器廃絶へ向けても、大きな力を発揮できる組織である事に疑いはなく、そこで「2020ビジョンキャンペーンの展開」、「平和首長会議の体制強化」、「平和都市連帯の呼び掛け、その他」との項目がありますけども、個々の事業では、具体的に、如何なる取組を行ったのか、また、如何なる成果を上げられたのかを教えて下さい。

※行政側 答弁

正に、掲げられては着実に実績を重ねている通り、今後も体制の充実強化や平和都市連帯の呼び掛けを継続して頂きたいのですが、この平和首長会議では現在「2020年までに1万都市の加盟を目標」として熱く活動されており、この辺りは、先に平和首長会議のリーダー都市の一つ、米国では中心的な役割を果たされている、アイオワにあるデモイン市のフランク・カウニー市長も、世界へ向けて「是非!お力を貸して下さい!」と訴えられています。

また、核兵器廃絶へ向けて重要な鍵を握る米国に於いて、210もの都市が加盟する全米市長会議では、2004年に「核兵器禁止条約の交渉をとにかく進めよう」と全会一致で採択され、現在もトランプ大統領へ向けて「我々、市長の意見に耳を傾けて下さい」と熱心に力を注がれています。

ならばと、一つのエポック・メーキングにも成りえ、効果的なニュースとしても報じられるであろう「2020年までに1万都市の加盟目標」の達成に向けた更なる取組と、何より核兵器を保有する超大国、この米国の世論を動かすべく「全米市長会議と、より密な連携を図って頂きたい」と切望しますが、本市としては如何に捉え、今後、取り組んで行くお考えでしょうか?

※行政側 答弁

実際の話、米国では「核兵器禁止条約の進捗」に関する報道が、頻度にせよ「あまり熱を入れて報じられていない」現状があり、こうした米国の世論を新たに形成、醸成して行くと共に、現在、核保有国と非保有国の「橋渡し役を務める」と唱える日本政府ですが、唯一の被爆国であり、それだけの影響力を持っている日本を動かすには「米国」と言っても、過言ではないかと存じます。

勿論、米国だけに偏重、特化する事は得策ではありませんが、被爆の実相を広島と長崎で知って頂く「迎える平和」と並行し、時には大きな国際会議とは別に「米国の会議へ出向く」などして、是非とも「更なる全米市長会議との連携」を、ここに強く要望しておきます。

続いて「青少年、平和と交流の支援事業」について伺いますが、コチラに関しましても、改めて具体的に如何なる取組を行ったのか、また、如何なる成果を挙げられたのかを教えて下さい。

※行政側 答弁

次世代を担う若者に、こうした機会の提供は非常に意義深く、引き続き、熱を入れて継続して頂きたいと存じますが、そこで、本年の5月の話になりますけども、2020年NPT再検討会議へ向けた「第1回準備委員会」に合わせて、市長がウィーン市へ足を運ばれた際に、エルバラダイIAEA 名誉 事務局長より平和首長会議へ対して、「特に若い世代にメッセージを届けるようにすべきだ」との提案がありました。

そこを受けて、市長も「50年先を見据え、次の世代をターゲットとした、平和教育の施策を打って行きたい」との意向を示されましたが、担当局、担当課としては、この辺りの一連のやり取りを如何に受け止め、また、今後「若い世代に更なるメッセージを届けるべく」あらゆる要因を加味しながらも、確立して行けるものかをお聞かせ下さい。

※行政側 答弁

この7月に国連で採択された核兵器禁止条約の前文には、「核兵器使用の被害者、ヒバクシャの苦しみに留意して…」、「ヒバクシャが行っている努力を認識し…」と、今日まで一貫して被爆の実相を訴え続けられた被爆者の方々のご尽力、ご労苦へ対して、多大なる敬意が表されておりますが、一方でも、次世代を担う若者が主導となり、今後、新たなムーヴメントを起こし、核兵器を取り巻く世界情勢が変化する可能性は充分はらんでおりますので、「次の世代をターゲットとした数々の新たな施策」の考案、発案を、改めて強く要望しておきます。

続いて「被爆体験の継承・伝承、その他」の区分にある「海外でのウェブ会議システムによる被爆体験証言」について伺いますが、この施策についての実施額、また、如何なる内容で実施し、どう言った反響があったのかを教えて下さい。

※行政側 答弁
(9都市へ向けて10回実施、約500人の動員)

これまでも、このウェブ会議システムを海外へ配信するにあたり、海外の現地では関連イベントが開催されるなど、非常に広がりを見せました。

しかし、現在、平均年齢「約81歳」を迎えられた被爆者の方々は、誠に失礼な物言いで甚だ恐縮ですが、かつての様に海外へ足を運んで「被爆証言を行う」事が、徐々に困難な状況を迎えております。

こうした現状を踏まえ、被爆者の方々の肉体的なコンディションにも充分に配慮しながら、この予算(22万4千円)を拡充し、と申しますのも、安易に「1回の開催を20回に増やせ」との意味ではなく、例えば効率的に「1回の開催を20カ所へ配信する」など、出来れば国内外を問わず「更にウェブ会議を開催して行くべき」と考えますが、如何でしょうか?

※行政側 答弁

是非とも、実証言をリアルタイムで「一人でも多くの方々が受け止められる」よう、拡充の実現を宜しくお願い致します。

これまで縷々述べて参りました質疑を総括し、この度は決算ですから、昨年度の取組を踏まえた上で、今後にも目を向けて行きたいのですが、冒頭にも触れました通り、あくまで現状を加味した推測として、50以上の国や地域が批准された後、来年には核兵器禁止条約が発効されるであろうと思われます。

しかし、例えば「NPT」の場合でも、核保有国であるフランスや中国が交渉のテーブルに就くまでに20年以上の年月を費やしており、今後は「全ての国の条約締結」を促進すべく、核兵器禁止条約に後ろ向きな核保有国や、その同盟国、NATOに加盟する大半の国々、そして、未だ慎重な姿勢を崩さない日本政府への更なるアプローチが必須となりますが、長年に亘り核兵器の廃絶を訴え、その向こう側にある「世界の恒久平和」を希求して来た本市として、「核兵器禁止条約の署名に応じない各国政府」へ対して、今後は如何なる手法を用いながら、そうした国々の署名、批准へ向けて取り組んで行くお考えなのか、出来れば具体的に、お聞かせ下さい。

※行政側 答弁

 

この度、ノーベル平和賞の授与が決定した、国際NGOの「ican」は、2010年の国際会議の場で、長崎市で被爆された「谷口すみてる」さんの被爆証言を交えたスピーチを拝聴され、その内容が「核兵器を考える上での全ての土台になっている」とコメントされています。

その谷口さんは「核兵器が、この世から無くなるのを見届けなければ安心して死んで行けません」と口にされ、世界を飛び回り、一貫して「核の非人道性」を訴え続けながら、この夏に亡くなられました。

また、この広島に於いても、身元不明者や引き取り手のない約7万人分の遺骨が眠る、平和記念公園内にある「原爆供養塔」に通い続け、清掃活動と、一人でも多くの遺骨を家族の元へ返そうと、熱心に取り組まれた「佐伯としこ」さんが、10月に亡くなられました。

いつの日か、悲しいですけども現実として「被爆者の方々からの実体験を直に聞く事が出来ない」世の中が訪れます。

何としても、被爆者の方々がご存命の間に核兵器廃絶を果たすべく、現在は「緊急性」が求められており、いずれにせよ「オーストリアの誓約」にも明記されている通り、全世界、全人類の安全保障を目指すにあたって、「絶対悪」の非人道的な核兵器を「必要悪」として、その傘を我々が握り続けている限り、前進はありません。

核兵器の廃絶へ向けては、簡単な道程でない事は、それこそ世界の誰もが、取り組めば、取り組む程に重々承知していますが、声を上げ続けなければ、現在の揺れ動く不安定な国際情勢を見ても、広島、長崎に続き「みたび」同じ事が繰り返される可能性をはらんでいます。

そこで結びに、一つこの場で言っておきたい事を補足させて頂くとして、世界では核兵器を所有しながらも「破棄した」国があり、それが南アフリカです。

破棄した理由には諸説ありますが、この南アフリカの人が平和記念公園に訪れた時の話をさせて頂きますと、広島の現地ガイドさんから「この舗装された平和公園の下には、未だ多くの遺骨が眠っている」との話を聴いた際に、南アフリカの人は「このままでは死者の方々と対話する事が出来ない」と、履いていた靴を脱がれたそうです。(ケニア人でも同様の事例がありました)

この様な、亡くなられた方々へ対する畏敬の念と申しましょうか、今を生かされている事に思い上がらないと申しましょうか、こうした想像力と感受性を持った国民性があったからこそ、南アフリカは核兵器を破棄する事が出来たのではないでしょうか。

現在、サーロー節子さんの様に、最も辛い思いをされた被爆者の方々が、最も核兵器の廃絶へ向けて取り組んで下さっている状況にありますが、あの前オバマ大統領が広島を訪れた際に、日本側の代表としてオバマ氏と熱い抱擁を交わされた「森しげあき」さんが、「全世界の個人個人が、核を無くす努力をしなければならない」、「平和とは、個人も行動しなければならない大きな問題である事を一人一人が認識して欲しい」との言葉を、今一度、皆さんで共有したいと思います。

そして、来年の予算特別委員会では、新たな予算説明書に「目標の実現へ向け、緊急性を持って、こんな予算を設けました、こんな施策にも挑戦します」との内容が明記されている事を期待して、私の質疑を以上とさせて頂きます。